本の話をすることは、読む量だけでなく読書への入口になるかもしれない
家庭での読書は、冊数や時間だけでなく、本について話すことや選ぶ経験も大切な入口になります。文部科学省の調査をもとに、無理なく続けやすい関わり方を整理します。
この記事でわかること
- 家庭での読書を、冊数や時間だけで見ない考え方
- 本について話すことが、読書の入口になりうる理由
- 読書が苦手な子にも使いやすい小さな関わり方
ざっくり言うと
子どもの読書というと、「何冊読んだか」「毎日読んでいるか」「文字の多い本を読めるか」に目が向きやすくなります。もちろん、読む時間があることは大切です。
でも、家庭でできる読書の支えは、子どもに本を読ませることだけではありません。本を選ぶ、一緒に眺める、読んだあとに少し話す、図書館で気になった本を手に取る。そうした経験も、読書への入口になります。
文部科学省の「親と子の読書活動等に関する調査」では、子どもと保護者の読書状況、保護者の支援、地域環境などが扱われています。家庭の読書は、本人の努力だけでなく、周りに本があるか、話題にできるか、読書を支える環境があるかとも関係していると考えられます。
研究・公的資料ではどう見られているか
文部科学省の調査は、子どもの読書活動を、子ども本人だけの問題としてではなく、保護者の読書活動や支援、地域の環境も含めて見ています。これは、読書習慣が家庭や地域の中で形づくられる面を持っているからです。
家庭での読書支援というと、読み聞かせを思い浮かべる人が多いかもしれません。読み聞かせは大切な方法の一つです。ただ、子どもが大きくなるにつれて、親が読んであげる形だけではなく、本について話す、感想を聞く、子どもが選んだ本を否定しない、といった関わりも大切になります。
読書の入口は、物語だけではありません。図鑑、漫画、料理の本、スポーツ選手の本、電車や生き物の本、学校で使う資料、地域のパンフレットなど、子どもの興味に近いものから始まることがあります。
大切なのは、「正しい本」を選ばせることより、子どもが本や文章に近づく機会を作ることです。親が勧めたい本と、子どもが手に取りたい本が違うことはよくあります。そこで毎回修正しようとすると、読書が評価される時間になってしまいます。
家庭で参考にするなら
まずは、読み終えたかどうかより「本について一言話せるか」を入口にしてみます。
幼児なら、「どのページが好き?」「この動物は何しているかな」「この色、きれいだね」のように、内容を理解させるより一緒に見る時間を作ります。途中で飽きても、最後まで読めなくてもかまいません。
小学生なら、「その本、どんなところが面白かった?」「知らなかったことはあった?」「次に似た本を探すなら、どんな本がよさそう?」と聞いてみます。読書感想文のようにまとめさせる必要はありません。短い会話で十分です。
中高生なら、親が内容に踏み込みすぎると嫌がられることもあります。その場合は、「最近何を読んでいるの?」よりも、「その分野、どこで知ったの?」「図書館で探せそう?」のように、興味の入口を尊重するほうが話しやすいことがあります。
図書館を使う場合は、借りる冊数よりも「選べる場所に行く」ことを大切にします。子どもが何も借りなくても、棚を見た、表紙を眺めた、気になる本を一冊手に取った、という経験が残ることがあります。
気をつけたいこと
読書は、子どもを責める材料になりやすいテーマでもあります。「本を読まないから語彙が少ない」「漫画ばかりだからだめ」「ゲームより本を読みなさい」と言われると、読書そのものが嫌なものになってしまうことがあります。
本を読む量は、年齢、興味、視力や疲れやすさ、学校生活、家庭の余裕、近くに図書館があるかなどに影響されます。読むことに苦手さがある子もいます。文字を追うのがつらい、音読が苦手、長い文章で疲れる、という場合もあります。
そのようなときは、冊数を増やすことを急がず、短い文章、写真の多い本、図鑑、音声、親子で交代して読む方法など、入口を広げるほうが合う場合があります。気になる困りごとが続く場合は、学校や図書館、教育相談につなぐことも選択肢です。
今日できる小さな一歩
今日できる一歩は、子どもが見ている本や文章について、評価しない一言を返すことです。
「それ、どこが気になった?」「このページ、面白いね」「こういう本が好きなんだね」。
読書習慣は、いきなり毎日30分から始めなくてもかまいません。家庭の中で、本や文章について話してよい空気があること。子どもが選んだものを少し尊重してもらえること。その小さな積み重ねが、読書への入口になるかもしれません。