レジリエンスは、厳しさよりも支えてくれる大人との関係が土台になるかもしれない

子どものレジリエンスは、我慢強さだけで決まるものではありません。Harvard Center on the Developing Childの資料をもとに、支えてくれる大人との関係を家庭でどう考えるか整理します。

この記事でわかること

  • レジリエンスを「我慢強さ」だけで考えない理由
  • 支えてくれる大人との関係が、子どもの回復力に関係しうること
  • 家庭でできる、失敗やストレスの受け止め方

ざっくり言うと

レジリエンスという言葉は、「折れない心」「逆境に強い力」と説明されることがあります。けれども、子どもに対してこの言葉を使うときには注意が必要です。

「もっと強くなりなさい」「つらくても我慢しなさい」という意味で使ってしまうと、子どもが助けを求めにくくなることがあります。子どもの回復力は、本人の根性だけで育つものではありません。

Harvard Center on the Developing Child は、レジリエンスについて、子どもの内側だけでなく、周りの環境や支援との関係で説明しています。特に、困難な状況の中でも子どもを支える要素として、安定した大人との関係や、少しずつ対処する力を育てる経験が重視されています。

家庭で考えるなら、レジリエンスは「子どもを厳しく鍛えること」ではなく、困ったときに戻れる関係や、少しずつ立て直す経験を持てることとして見るほうが現実的です。

研究・公的資料ではどう見られているか

Harvardのレジリエンス資料では、深刻な困難を経験してもよい方向に進む子どもたちには、保護的な要因があると説明されています。その中でもよく取り上げられるのが、少なくとも一人の、安定して関わる支援的な大人の存在です。

ここでいう支援的な大人は、親だけに限りません。祖父母、親戚、先生、地域の大人、支援者など、子どもが「この人には話せる」「この人は見てくれている」と感じられる人も含まれます。

レジリエンスは、つらいことをなかったことにする力ではありません。ストレスがあったときに、気持ちを落ち着ける、助けを求める、次に何をするかを考える、少し休んでまた動き出す。そうした力が、関係性や経験の中で少しずつ育っていくと考えられています。

また、レジリエンスは一度身につければすべての場面で同じように働くものではありません。学校では踏ん張れるけれど家庭では崩れる、友だち関係では平気でも受験では不安が強い、ということもあります。だからこそ、子どもを「強い・弱い」で分けるより、どの場面でどんな支えが必要かを見ることが大切です。

家庭で参考にするなら

家庭でできることの一つは、失敗したときに、すぐ評価に入らないことです。

テストで思うように点が取れなかった、友だちとうまくいかなかった、習い事で失敗した、忘れ物をした。そういうときに、親はすぐ原因を探したくなります。「だから言ったでしょ」「ちゃんと準備しないから」と言いたくなる場面もあります。

ただ、最初の一言が責める言葉になると、子どもは次から困ったことを隠すかもしれません。まずは「それは悔しかったね」「困ったね」「話してくれてありがとう」と受け止める。その後で、「次はどこを変えられそうか」を一緒に見るほうが、立て直しにつながりやすくなります。

もう一つは、子どもが自分で対処できる小さな範囲を残すことです。親がすべて解決してしまうと、子どもは楽になる一方で、「自分で少し動かせた」という経験を得にくくなります。

たとえば、「先生に聞く文を一緒に考える」「明日の準備を一つだけ本人が決める」「友だちにどう伝えるかを2案出して選ぶ」などです。大人が横にいて支えながら、最後の一歩を子どもが選ぶ形にすると、対処の経験が残ります。

気をつけたいこと

レジリエンスを理由に、子どもにつらさを我慢させすぎないことが大切です。

困難に向き合う経験が成長につながることはありますが、強すぎるストレスや長く続く不安を、子どもだけで抱える必要はありません。いじめ、暴力、家庭内の深刻な緊張、強い不登校傾向、眠れない状態、食欲の大きな変化、自傷をほのめかす発言などがある場合は、家庭の声かけだけで解決しようとしないでください。

また、親自身が疲れ切っていると、子どもを支える余裕がなくなります。支援的な関係は、親が一人で全部担うものではありません。学校、自治体、親族、地域の相談先など、複数の大人で支える視点が必要です。

今日できる小さな一歩

今日できる一歩は、子どもが困った話をしたときに、最初の一言を変えてみることです。

「なんでそうなったの?」の前に、「話してくれてありがとう」。

それだけで、子どもは「困ったことを話してもよい」と感じやすくなります。レジリエンスは、子どもを一人で強くすることではありません。困ったときに戻れる関係を持ちながら、少しずつ自分で立て直す経験を重ねることから始められます。

この記事は、子どものレジリエンスに関する研究機関の情報をもとにした一般的な参考情報です。つらい経験やストレスへの反応は、年齢、環境、心身の状態によって大きく異なります。強い不安、落ち込み、学校生活の困難、家庭内の深刻なストレスがある場合は、学校・自治体・医療機関などの専門的な相談先につないでください。