遊びは、集中力や切り替える力を育てる練習になるかもしれない

子どもの遊びと、集中する力・順番を待つ力・気持ちを切り替える力の関係について、研究機関の考え方をもとに家庭で使いやすい形で整理します。

この記事でわかること

  • 遊びが、集中する力や待つ力の練習になりうる理由
  • 年齢に合わせて家庭で取り入れやすい遊びの考え方
  • 「遊ばせなければ」と親が抱え込みすぎないための見方

ざっくり言うと

子どもが遊んでいる時間を見ると、「勉強とは別の時間」「ただ楽しんでいる時間」と感じることがあります。もちろん、遊びはまず楽しいものであってよい時間です。

一方で、発達研究の分野では、遊びの中で子どもがいろいろな力を使っていることも重視されています。順番を待つ、ルールを覚える、相手の動きを見る、途中でやり方を変える、思った通りにいかないときにもう一度試す。こうした経験は、集中力や気持ちの切り替え、記憶して使う力などと関係する「実行機能」の練習になると考えられています。

Harvard Center on the Developing Child は、乳児期から思春期までの遊びの例を、年齢ごとに紹介しています。そこでは、遊びは子どもを静かにさせるためだけのものではなく、注意を向ける力、ワーキングメモリ、自分を調整する力などを練習する場としても扱われています。

研究・公的資料ではどう見られているか

実行機能は、予定を立てる、注意を向ける、やることを切り替える、複数の情報を頭に置いて動く、といった力を含む考え方です。大人でも、仕事や家事、予定管理で毎日使っています。

子どもは、こうした力を最初から完成した形で持っているわけではありません。日々の関わりや環境の中で少しずつ練習していきます。遊びは、その練習が自然に起こりやすい時間です。

たとえば、赤ちゃんとの「いないいないばあ」は、相手の表情を見る、出てくることを待つ、予想して笑うといったやりとりです。幼児期のごっこ遊びでは、役を覚えたり、相手に合わせて設定を変えたりします。小学生になると、カードゲーム、ボードゲーム、鬼ごっこ、工作、友だちとのルール作りなどの中で、順番、記憶、交渉、切り替えを使います。

大切なのは、遊びを「能力を伸ばすための訓練」に変えてしまわないことです。研究機関の資料が示しているのは、子どもの発達にとって遊びが豊かな経験になりうる、という見方です。親が毎日特別な教材を用意する必要がある、という意味ではありません。

家庭で参考にするなら

まずは、年齢に合った「少し待つ」「少し覚える」「少し切り替える」遊びを、暮らしの中に置いてみると始めやすくなります。

乳幼児なら、顔を見てまねをする、音の出るものを一緒に探す、積み木を倒してもう一度積む、簡単な歌に合わせて手を動かす、というような遊びがあります。長く続けるより、子どもが反応した瞬間に大人が返すことが入口になります。

幼児期なら、「赤いものを3つ探そう」「次はぬいぐるみがお客さんね」「この道を通ってゴールまで行こう」のように、遊びの中に小さなルールを入れられます。子どもがルールを変えたがることもありますが、それ自体が交渉や切り替えの練習になることがあります。

小学生なら、ボードゲームやトランプ、しりとり、料理の手伝い、工作、近所の公園での遊びも使えます。勝ち負けが強く出る遊びでは、勝つ練習だけでなく、負けたときにどう戻るかを親が一緒に整えることも大切です。

気をつけたいこと

遊びを発達のために使おうとしすぎると、親も子どもも疲れてしまいます。遊びの時間まで「ちゃんと伸ばさなければ」と感じる必要はありません。

子どもによって、好きな遊び、疲れやすい遊び、刺激が強すぎる遊びは違います。音や人の多さが苦手な子もいれば、体を動かしたほうが落ち着く子もいます。きょうだいでも同じではありません。

また、遊びの中でうまく待てない、ルールを守れない、すぐ怒ってしまうことがあっても、それだけで問題と決める必要はありません。年齢や疲れ、眠さ、空腹、環境によって大きく変わります。気になる状態が続く場合は、記事だけで判断せず、園や学校、自治体の相談窓口などにつなぐことが安心です。

今日できる小さな一歩

今日できる一歩は、「子どもがいま遊んでいることを一つ言葉にする」ことです。

「高く積めたね」「順番を待っていたね」「もう一回やってみたんだね」「ルールを変えて考えたんだね」。

新しいおもちゃを買わなくても、遊びを長く設計しなくてもかまいません。子どもがすでにしている遊びの中に、集中する、待つ、覚える、切り替える、やり直すという小さな練習が隠れていることがあります。それに親が気づいて言葉にするだけでも、遊びを見る目が少し変わります。

この記事は、研究機関が公開している子どもの発達や遊びに関する情報をもとにした一般的な参考情報です。すべてのお子さんや家庭に同じように当てはまるものではありません。発達や心身の状態について心配がある場合は、自治体や専門機関に相談してください。