3行まとめ
- 就学前は一人にしない。小学生は「約束を守れるか・連絡が取れるか・安心か」で判断。
- 来客・電話・火・外出など、安全の約束を始める前に決める。
- いきなり長時間でなく、短時間から段階的に慣らす。
この記事でわかること
- 留守番を始めてよいかの判断のしかた
- 始める前に決める「安全の約束」と連絡の備え
- 短時間から段階的に慣らす進め方と、不安への配慮
留守番は、何歳からさせていいのか(先に決まっていること)
まず、はっきりしている線があります。こども家庭庁「子ども虐待対応の手引き」は、ネグレクトの例として「乳幼児を家に残したまま外出する」ことを挙げ、「乳幼児等の低年齢の子どもだけを家に残したために火災で子どもが焼死したりする事件も、ネグレクトという虐待の結果であることに留意すべきである」と記しています。就学前の子どもを一人にする選択は、ここでは検討の対象にしません。
一方、小学生については「何歳になったら留守番OK」という年齢の線を、公的な資料の中に見つけることはできませんでした。放課後児童クラブ(学童)の対象は、平成27年度の法改正で「おおむね10歳未満」から小学6年生までと明確化されており、高学年だから預け先が要らない、という整理にはなっていないのです。こども家庭庁の調査では、令和7年5月1日現在で学童を利用できなかった児童は16,330人。学年別では小学4年生が5,589人(34.2%)で最も多く、進級と同時に預け先を失う家庭が現実にあると分かります。
だから、年齢で線を引くより、①安全の約束を守れるか、②困った時にすぐ連絡が取れるか、③本人がひどく不安でないか——この3つで考えるのが現実的です。住んでいる環境(家の鍵・オートロック・近所の助け)や、留守にする時間の長さも、判断の材料になります。
同じ家庭でも、状況によって答えは変わります。「昼間の30分」と「夜の2時間」では、必要な備えがまったく違います。きょうだいがいる場合は、上の子に下の子の面倒まで任せると、過度な負担になることもあるので注意が必要です。「一度OKにしたら、ずっと同じ」ではなく、その都度、時間帯や長さで見直すくらいの慎重さがちょうどよいでしょう。子どもが「できる」と言っても、実際の場面を想像しきれていないこともあるので、最終的な判断は大人がします。
始める前に決める「安全の約束」
留守番を始める前に、安全の約束を親子で決め、紙に書いて見える所に貼っておきます。とくに大事なのは、「知らない人が来てもドアを開けない」「電話は決めた相手だけ(または出ない)」「火・コンロ・刃物は使わない」「勝手に外に出ない」「困ったらすぐ連絡する」。一度言うだけでなく、「もし宅配が来たら?」と具体的な場面で一緒に練習しておくと、いざという時に動けます。
とくに「来客」と「電話」は、決め方に迷うところです。ここは警察の示す形に合わせておくのが確実で、警視庁「防犯チェックポイント」は、子どもがお留守番するときの項目として「玄関ドアのカギ、窓のカギは必ずしめる」「ドアチェーンがある場合は、閉めておく」「誰かが訪ねてきても出ない」の3つを挙げています。応対の仕方を子どもに考えさせるのではなく、「出ない」で統一するほうが、迷いが生まれません。宅配は「置き配」にしておく、来訪予定がある日は先に伝えておく——といった、そもそも応対が要らない形をつくる工夫も有効です。電話も、家族と分かる相手だけ出る、知らない番号には出ない、と決めておきましょう。これらは脅すためでなく、「こう動けば大丈夫」という安心の地図として共有します。
戸締まりを大人が確かめる手順も、あわせて作っておきたいところです。警察庁「令和7年の犯罪情勢」によると、侵入犯罪(侵入強盗・侵入窃盗・住居侵入)の認知件数は5万8,492件(前年比4,924件、9.2%増加)、うち全体の約8割を占める侵入窃盗が4万7,233件(同4,197件、9.8%増加)と増えています。短い留守でも鍵をかける、ベランダや窓も閉める——子どもに任せきりにせず、出かける前に大人が一緒に確認する形にしておくと確実です。
連絡の備えと「困った時」
留守番でいちばん大切なのは、困った時に必ず大人とつながれることです。親の連絡先、もう一人の保護者、近くの頼れる人、緊急時の番号(警察・消防・救急)を、一覧にして見える所に貼っておきます。電話やキッズ携帯など、子どもがすぐ連絡できる手段も用意を。あわせて「地震が来たら」「気分が悪くなったら」「停電したら」など、起きそうな場面ごとに、どうするかを具体的に決めておくと安心です。鍵の管理(なくさない・人に見せない・玄関で出しっぱなしにしない・首から下げて見えるようにしない)も確認しておきましょう。
約束と同じくらい大事なのが、留守にする前に、家の中の危ないところを一つ減らしておくことです。消費者庁「子どもの転落事故に注意!」は、窓やベランダからの転落が「3~8歳を中心に幅広い年代で発生」し、「頭を中心に広範囲を受傷」すると注意を促しています。家庭でできる対策として挙げられているのは、「窓には子どもの手の届かない位置に補助錠を付ける」「窓やベランダの手すり付近に足場になるようなものを置かない」など。ライターやマッチ、薬、刃物も、言い聞かせるより手の届かない所にしまうほうが確実です。
初めての留守番は、何分くらいからか
まず15分ほどの短い時間から始め、いきなり長時間にはしないことです。「ちょっと近所へ買い物」など、短い留守番から始め、うまくできたら少しずつ延ばします。短い成功を積むことで、子どもは「自分でできる」という自信を育てます。最初は親が近くにいて、すぐ戻れる状況から始めます。帰ってきたら「ちゃんと留守番できたね」と、できたことを具体的に認めましょう。怖かったことや困ったことも聞いて、次に活かします。
段階的に進めると、子ども自身が「どんな時に困るか」を体験から学べます。最初の数回は、わざと電話をかけて「ちゃんと出られるか」「約束を覚えているか」を確認するのも一つの方法です。うまくいかなかった点は責めず、「次はこうしようね」と一緒に作戦を立て直します。慣れてきても、留守番のたびに「何かあったら電話してね」と一言添える習慣は続けましょう。安全は、一度決めて終わりではなく、くり返し確かめていくものです。
子どもの不安に配慮する
留守番は、子どもにとって心細いものです。「平気でしょ」と決めつけず、本人の気持ちを聞くことが大切。怖がりな子に無理をさせると、強い不安が残ることもあります。安心できる工夫——明かりをつけておく、好きな音楽やテレビ、ぬいぐるみ、いつでも電話していい約束——を一緒に考えましょう。「何かあったら、いつでも電話していいよ」という安心は、防犯の備え以上に、子どもの心を支えます。不安が強いうちは、無理に一人にせず、預け先や時間の見直しも選択肢です。「留守番ができる=偉い」ではありません。発達や気質はその子それぞれで、できる時期にも幅があります。ほかの家庭と比べて焦らず、わが子のペースで進めることが、結局はいちばん安全です。
全部を一度にやらなくて大丈夫です。合いそうなものを一つだけ選んでください。
家庭で試す3つの工夫
- ① 安全の約束を貼り出す:来客・電話・火・外出・連絡の約束を紙にして、見える所に。場面を想定して練習します。
- ② 連絡先を一覧に:親・もう一人の大人・緊急番号を見える所に貼り、すぐ連絡できる手段を用意します。
- ③ まず短時間から:15分など短い留守番から始め、できたら少しずつ延ばします。できたことを認めます。
不安をあおる言葉より、安心と具体策を渡す言葉に変えてみましょう。
声かけの言い換え例
「変な人来ても知らないからね!」→ 不安をあおるだけで、対処が分からない。
「誰か来ても出なくていいよ。困ったら電話してね」→ 具体的な対処と安心を渡す。
「もう大きいんだから一人で平気でしょ」→ 気持ちを置き去りにしやすい。
「心細かったら、いつでも電話していいからね」→ つながれる安心を伝える。
安全を最優先に
ここで紹介したのは「一つの考え方」です。留守番は、年齢・本人の様子・住環境をよく見て、慎重に判断してください。火・水・転落・薬・刃物などの事故、見知らぬ人の訪問、災害には十分な備えを。少しでも不安が残る場合は、無理に一人にせず、学童・ファミリーサポート・預け先・地域の居場所などを優先します。地域の制度や防犯情報は差があるため、自治体・警察などの公式情報を確認しましょう。本記事は安全を保証するものではありません。
よくある質問
- 子どもの留守番は、何歳からさせていいですか。
- まず、こども家庭庁「子ども虐待対応の手引き」はネグレクトの例として「乳幼児を家に残したまま外出する」ことを挙げています。就学前の子を一人にする選択はしません。小学生については、年齢で線を引く公的な基準を見つけることはできませんでした。①安全の約束を守れるか、②困った時にすぐ連絡が取れるか、③本人がひどく不安でないか、の3つで考え、最終的な判断は大人がします。
- 初めての留守番は、どのくらいの時間から始めればいいですか。
- まず15分など短い時間から始め、うまくできたら少しずつ延ばします。最初は親が近くにいて、すぐ戻れる状況から始めると安心です。短い成功を積むことで、子どもは「自分でできる」という自信を育てます。帰ってきたら「ちゃんと留守番できたね」とできたことを具体的に認め、怖かったことや困ったことも聞いて次に活かします。
- 留守番中にインターホンが鳴ったら、どうさせればいいですか。
- 警視庁「防犯チェックポイント」は、子どもがお留守番するときの項目として「玄関ドアのカギ、窓のカギは必ずしめる」「ドアチェーンがある場合は、閉めておく」「誰かが訪ねてきても出ない」を挙げています。応対の仕方をその場で考えさせるより、「出ない」で統一するほうが迷いません。宅配は置き配にする、来訪予定を先に伝えておくなど、そもそも応対が要らない形をつくる工夫も有効です。
- 子どもが留守番を怖がります。無理にさせるべきですか。
- 不安が強いうちは無理に一人にせず、預け先や時間の見直しを優先してください。怖がりな子に無理をさせると、強い不安が残ることもあります。明かりをつけておく、好きな音楽やテレビ、ぬいぐるみ、いつでも電話していい約束など、安心できる工夫を一緒に考えます。学童やファミリーサポート、地域の居場所も選択肢です。
出典・参考
- こども家庭庁支援局虐待防止対策課「子ども虐待対応の手引き」(令和6年3月改正版)第1章 子ども虐待の援助に関する基本事項
この出典で確認した記述
PDF2ページ(本文3ページ)の「三 ネグレクト」に「子どもの健康・安全への配慮を怠っているなど。例えば、(1)重大な病気になっても病院に連れて行かない、(2)乳幼児を家に残したまま外出する、」と記載されている。続けて「なお、親がパチンコに熱中したり、買い物をしたりするなどの間、乳幼児等の低年齢の子どもを自動車の中に放置し、熱中症で子どもが死亡したり、誘拐されたり、乳幼児等の低年齢の子どもだけを家に残したために火災で子どもが焼死したりする事件も、ネグレクトという虐待の結果であることに留意すべきである。」と記載されている。同節にはほかに「子どもを遺棄したり、置き去りにする。」との記載もある。本文「留守番は、何歳からさせていいのか(先に決まっていること)」節の、就学前の子を一人にしないという前提と、FAQ1つめの根拠はこれによる。なお、この手引きはネグレクトの例示であり、小学生が何歳から留守番してよいかという基準を示したものではない。 - こども家庭庁成育局成育環境課「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年5月1日現在)
この出典で確認した記述
1ページの【調査結果のポイント】に「○利用できなかった児童数(待機児童数)全 体 : 16,330 人【前年比 1,356 人減】(令和6年:17,686 人)」と記載され、学年別内訳として「小学1年生: 1,966 人」「小学2年生: 1,805 人」「小学3年生: 3,305 人」「小学4年生: 5,589 人」「小学5年生: 2,644 人」「小学6年生: 1,021 人」が挙げられている。同ページに「・平成27 年度から法改正により対象児童を『おおむね10 歳未満』から小学6年生までと明確化。」と記載されている。13ページの表「17 利用できなかった児童数(待機児童数)の状況」に、小学4年生「5,589(34.2%)」、総数「16,330(100.0%)」と記載されており、本文の34.2%はこの表による。あわせて同ページに登録児童数1,570,645人、クラブ数25,928か所との記載がある。本文「留守番は、何歳からさせていいのか(先に決まっていること)」節と「気をつけたいこと」の預け先に関する記述はこれによる。なお、この数は各市町村が把握した数であり、申込みをあきらめた家庭は含まれない。 - 警視庁「防犯チェックポイント」
この出典で確認した記述
「親子で一緒に確認しましょう」の中の「お留守番するとき」の項目に、「玄関ドアのカギ、窓のカギは必ずしめる」「ドアチェーンがある場合は、閉めておく」「誰かが訪ねてきても出ない」の3点が挙げられていることを確認した。ページにはほかに「遊びに行くとき」「公園などで遊ぶとき」の項目、および「場所ごとの防犯チェックポイント」として「エレベーターや建物の中」「部屋の出入り口」「階段や踊り場」「自転車置き場」の項目がある。本文「始める前に決める『安全の約束』」節の来客・電話の扱いと、FAQ3つめはこれによる。なお「どうしても応答する場合の言い方」は、この資料には書かれていないため、本文からは落とした。地域によって警察の案内は異なることがあるため、お住まいの都道府県警の情報もあわせて確認してほしい。 - 警察庁長官官房「令和7年の犯罪情勢」(令和8年2月)
この出典で確認した記述
本文7ページ(PDF10ページ)の「(ウ) 街頭犯罪・侵入犯罪」に「侵入犯罪の認知件数については5万8,492 件(前年比4,924 件、9.2%増加)となった」と記載され、続けて「侵入犯罪の認知件数の内訳をみると、全体の約8割を占める侵入窃盗が4万7,233 件(前年比4,197 件、9.8%増加)となっており、総数の増加に大きな影響を与えている。」と記載されている。脚注14に侵入犯罪の定義として「侵入強盗、侵入窃盗及び住居侵入」と記載されている。本文「始める前に決める『安全の約束』」節の戸締まりに関する記述はこれによる。認知件数は警察が認知した件数であり、留守番中の家庭に限った数ではない。 - 消費者庁「子どもの転落事故に注意! - 落ちるまではあっという間です。事前の対策で事故防止を -」(2022年7月20日)
この出典で確認した記述
窓やベランダからの転落について「3~8歳を中心に幅広い年代で発生」「頭を中心に広範囲を受傷。高所からの落下は生命に関わる」と記載されている。家庭での対策として「子どもが勝手に窓を開けたり、ベランダに出たりしないように、窓には子どもの手の届かない位置に補助錠を付ける」「窓やベランダの手すり付近に足場になるようなものを置かない」「窓、網戸、ベランダの手すり等に劣化がないか定期的に点検する」「小さな子どもだけを家に残して外出しない」「窓を開けた部屋やベランダでは小さな子どもだけで遊ばせない」「窓枠や出窓に座って遊んだり、窓や網戸に寄りかかったりさせない」の6点が挙げられている。本文「連絡の備えと『困った時』」節の、家の中の危険を減らす記述はこれによる。
この記事について
本記事は家庭での準備を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や、制度の可否を判断するものではありません。研究知見や公的資料は「一つの考え方」として紹介しており、家庭や地域ごとに合う・合わないがあります。気になる場合は、専門機関・学校・自治体にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。