3行まとめ

  1. 始める前に年齢・公開範囲・知らない人・個人情報・相談先を確認。
  2. 投稿は一度出すと消えない。出す前に一呼吸おく習慣を。
  3. 設定だけで防ぎきれない。困った時に相談できる関係が最大の安全網。

この記事でわかること

  • SNSを始める前に親子で確認したいチェックリスト
  • 「消えない投稿」「する側」のリスクとの向き合い方
  • 監視より効く、相談できる関係の作り方

SNSならではのリスクを知っておく

SNSは、友だちとつながったり、好きなことを発信したりできる楽しい場です。一方で、ほかのメディアにはない注意点もあります。知らない人と簡単につながれること、個人情報や居場所が広がりやすいこと、投稿が消えずに残ること、ネットいじめや、人と比べての落ち込み——。こうしたリスクを「こわいから禁止」で終わらせず、始める前に知って備えることが、いちばんの対策になります。実際に何が起きているかは、数字でも見えます。警察庁のまとめでは、令和6年にSNSに起因する事犯で被害にあった児童は1,486人。学職別では中学生が715人(48.1%)でもっとも多く、次いで高校生582人(39.2%)、小学生も136人(9.2%)いました。ここでいう「SNSに起因する事犯」とは、SNSを通じて面識のない相手と知り合い、交際や知人関係などに発展する前に被害にあった事犯を指します。

とはいえ、SNSは今や友だち付き合いの一部でもあり、完全に断つのが難しい現実もあります。だからこそ、「させない」より「安全に使えるように準備する」発想が役立ちます。リスクを一つずつ具体的に知っておけば、漠然とした不安は「備えられる課題」に変わります。すべてを一度に教える必要はありません。開設のタイミングで大事なことから順に、折にふれて話していけば十分です。親自身がそのSNSを少し使ってみると、説明もしやすくなります。

始める前のチェックリスト

SNSを始める前に、次の5つを親子で確認しましょう。一つずつ「どうしてそうするのか」も一緒に話すと、納得して守りやすくなります。ただ禁止を並べるのではなく、「なぜ大切か」が腑に落ちていると、親が見ていない場面でも自分で判断しやすくなります。

SNSを始める前のチェックリストの図。年齢・利用規約を確認/公開範囲を限定/知らない人とはつながらない・会わない/個人情報・写真・今いる場所を出さない/困ったらすぐ大人に相談する。
図1:始める前に、5つを親子で確認しておきます。

とくに大事なのが「知らない人とつながらない・絶対に会わない」と「困ったらすぐ相談する」です。SNSでは、親切そうに近づいてくる相手が、実際は別の意図を持っていることがあります。「ネットで知り合った人に会いに行かない」を、はっきりとした約束にしておきましょう。公開範囲は「知り合いだけ」に絞り、プロフィールに学校名や本名、顔写真を載せない設定を、一緒に確認します。なお、多くのSNSは、利用できる年齢の下限を利用規約で定めています。基準はサービスごとに違うので、始める前に、そのサービスの規約で対象年齢を確かめましょう。

同じ警察庁の資料には、もう一つ考えさせられる数字があります。被害にあった児童のうち、やり取りのきっかけとなる投稿を最初にしたのは、被害児童自身が1,071人(72.1%)でした。その投稿内容の内訳を見ると、「援助交際募集」17.8%のような分かりやすいものだけでなく、「プロフィールのみ」17.6%、「日常生活」17.3%、「趣味・嗜好」9.5%、「友達募集」7.8%と、ごくふつうの投稿が並びます。危ない投稿さえしなければ大丈夫、とは言い切れない——だからこそ、公開範囲の設定と、出す情報の絞り方が効いてきます。

写真には、思った以上の情報が写り込みます。制服や校章、家の表札や近所の景色、背景に映る駅名などから、住んでいる場所や学校が特定されることもあります。投稿する写真は「ここがどこか、誰かに分かってしまわないか」を一緒に見てから。位置情報をつけて投稿する設定(ジオタグ)も、オフにしておくと安心です。こうした設定は一度決めて終わりではなく、アプリの更新で変わることもあるので、ときどき見直しましょう。

一度出すと消えない(デジタルタトゥー)

SNSの投稿は、削除しても完全には消えません。スクリーンショットを撮られたり、拡散・保存されたりすれば、自分の手を離れてネット上に残り続けます(デジタルタトゥーと呼ばれます)。軽い気持ちの投稿や、友だちとの悪ふざけが、何年も後に問題になることもあります。投稿の前に「これは、知らない人や将来の自分が見ても大丈夫?」と一呼吸おく——その習慣を、一緒に身につけましょう。法務省も「インターネット上の人権侵害をなくしましょう」というページで、いったんインターネット上に流出した画像は「画像のコピーが転々と流通して回収することが極めて困難となり、被害者は将来にわたって永く苦しむことになる」と書いています。消せば終わり、とはいかないのです。

一度ネットに出ると消せない図。軽い気持ちで投稿→スクショ・保存・拡散される→消したつもりでも残り続ける。投稿前に一生残っても大丈夫かと一呼吸を。
図2:投稿の前に「これは一生残っても大丈夫?」と一呼吸おく習慣を。

「する側」にもならないために

SNSでは、被害だけでなく、知らないうちに「する側」になってしまう危険もあります。軽い気持ちの悪口、仲間外し、人の写真の無断投稿、デマの拡散——。画面の向こうにも、傷つく人がいます。「直接言えないことは、ネットでも書かない」を合言葉にしましょう。匿名でも完全には隠れられないこと、人を傷つける投稿には責任が伴うことも、折にふれて伝えておきたいことです。

もう一つ、見落とされがちなのが「人と比べての落ち込み」です。SNSには、楽しそうな瞬間やうまくいった話が並びます。それを見て「自分だけうまくいっていない」と感じてしまう子も少なくありません。「みんなの投稿は“いいところ”の切り取りで、ふだんの全部ではない」と伝えておくと、比べすぎて疲れることを少し防げます。気分が沈みやすい時は、少し距離を置くのも一つの方法だと、選択肢として渡しておきましょう。

監視より「相談できる関係」

設定やフィルタリングは大切ですが、それだけですべては防げません。限界は数字にも表れています。警察庁のまとめでは、SNSに起因する事犯の被害児童のうち、フィルタリングの利用の有無が判明した801人を見ると、利用なしが720人と大半を占めますが、利用ありも81人いました。何より効くのは、困った時に「実はね…」と打ち明けられる関係です。厳しく監視するほど、子どもは隠すようになり、いざという時に相談できなくなります。「失敗しても、責めずに一緒に考えるよ」という姿勢を、ふだんから伝えておくこと。設定(外側の守り)と相談できる関係(安全網)の両方で、子どもを支えます。最初の段階だけ親も一緒にアカウントを見て、慣れてきたら少しずつ任せる範囲を広げていく、という進め方も無理がありません。

守りは2層の図。子どもを守るを、①設定・フィルタ(公開範囲・年齢設定など)と②相談できる関係(困った時に言える安心)が支える。設定で防ぎきれないことは相談できる関係が支える。
図3:設定で防ぎきれないことは、相談できる関係が支えます。

全部を一度にやらなくて大丈夫です。合いそうなものを一つだけ選んでください。

家庭で試す3つの工夫

  • ① 一緒に設定する:公開範囲・年齢設定・プロフィールを、開設時に親子で一緒に確認・設定します。
  • ② 2つの約束を決める:「知らない人に会わない」「困ったらすぐ相談する」。この2つを最初の約束に。
  • ③ 「責めない」と先に伝える:「失敗しても怒らず一緒に考える」と、トラブル前に約束しておきます。

脅しや一方的な禁止より、一緒に考え、相談しやすくする言葉に変えてみましょう。

声かけの言い換え例

「SNSなんて危ないからダメ!」→ 禁止だけだと、かくれて始めることも。

「始める前に、一緒に設定を見てみよう」→ 一緒に準備し、関与する。

「変なことしたら即解約だからね」→ 脅しは、相談しにくくする。

「困ったことがあったら、いつでも言ってね」→ 相談できる安心を渡す。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

ここで紹介したのは「一つの考え方」です。見知らぬ相手から会おうと誘われた、ネットいじめや誹謗中傷を受けている・してしまった、個人情報や画像が流出したといった場合は、家庭だけで抱え込まず、学校や、警察・各種のインターネット相談窓口(違法・有害情報相談センター等)に相談してください。脅迫や身の危険を感じるなど緊急性が高い場合は、ためらわず警察に通報を。相談先が分からないときは、こども家庭庁が「各種相談窓口」として、各都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口や違法・有害情報相談センターなどの一覧を公開しています。ネット上の書き込みで人権を侵害されたときは、法務省の「みんなの人権110番」(0570-003-110)や「こどもの人権110番」(0120-007-110)もあります。各SNSの年齢制限・設定や最新の安全情報は、公式の案内をご確認ください。本記事は被害対応を保証するものではありません。

よくある質問

SNSは何歳から使わせていいですか。
多くのSNSは利用できる年齢の下限を利用規約で定めているので、まず、そのサービスの規約で対象年齢を確認するところからです。基準はサービスごとに違い、年齢を偽って始めれば規約に反することになります。そのうえで、公開範囲を「知り合いだけ」に絞る、プロフィールに学校名や本名、顔写真を載せない、といった設定を開設時に親子で一緒に確認しておくと、後から直すより楽です。設定はアプリの更新で変わることもあるので、ときどき見直してみてください。
最初に決めておく約束は、何がいいですか。
とくに大事なのは「知らない人とつながらない・絶対に会わない」と「困ったらすぐ相談する」の2つです。SNSでは、親切そうに近づいてくる相手が、実際は別の意図を持っていることがあります。「ネットで知り合った人に会いに行かない」を、はっきりとした約束にしておきましょう。ただ禁止を並べるのではなく、一つずつ「どうしてそうするのか」も一緒に話すと、親が見ていない場面でも自分で判断しやすくなります。
投稿は、消せば大丈夫ではないのですか。
削除しても完全には消えません。スクリーンショットを撮られたり、拡散・保存されたりすれば、自分の手を離れてネット上に残り続けます(デジタルタトゥーと呼ばれます)。法務省も、いったん流出した画像は「コピーが転々と流通して回収することが極めて困難となり、被害者は将来にわたって永く苦しむことになる」と書いています。投稿の前に「これは、知らない人や将来の自分が見ても大丈夫?」と一呼吸おく。その習慣を、一緒に身につけてみてください。
子どもが「自分だけうまくいってない」と落ち込んでいるようです。どう声をかければいいですか。
SNSには、楽しそうな瞬間やうまくいった話が並びます。「みんなの投稿はいいところの切り取りで、ふだんの全部ではない」と伝えておくと、比べすぎて疲れることを少し防げます。気分が沈みやすい時は、少し距離を置くのも一つの方法だと、選択肢として渡しておきましょう。厳しく監視するほど子どもは隠すようになるので、「失敗しても、責めずに一緒に考えるよ」という姿勢をふだんから伝えておくことが、いちばんの安全網になります。

出典・参考

  • 警察庁生活安全局人身安全・少年課「令和6年における少年非行及び子供の性被害の状況」(令和7年3月)
    https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/syonen/pdf_r6_syonenhikoujyokyo.pdf(確認日 2026-09-19)。
    この出典で確認した記述
    「第5 SNSに起因する事犯」の「1 被害児童数」(PDF26ページ、資料20ページ)に、令和6年の総数1,486人(前年1,665人、増減率▲10.8)と記載され、注2に「SNSに起因する事犯とは、SNSを通じて面識のない被疑者と被害児童が知り合い、交際や知人関係等に発展する前に被害にあった事犯」、注1に「SNSとは、本統計では、通信ゲームを含み、届出のある出会い系サイトを除いたもの」と記載されている。同ページの「3 被害児童のフィルタリング利用状況」に、令和6年は「利用あり」81人、「利用なし」720人、総数801人と記載され、注に「フィルタリングの利用の有無が判明した被害児童の内訳」と記載されている。「4 被害児童の学職別」(PDF27ページ、資料21ページ)に、小学生136人(9.2%)、中学生715人(48.1%)、高校生582人(39.2%)、その他53人(3.6%)と記載されている。「5 最初に投稿した者と投稿内容の内訳」(同ページ)に、最初に投稿した者は被害児童1,071人(72.1%)、被疑者218人(14.7%)と記載され、被害児童の投稿内容(総数1,071人)は「援助交際募集」191人(17.8%)、「プロフィールのみ」189人(17.6%)、「日常生活」185人(17.3%)、「趣味・嗜好」102人(9.5%)、「友達募集」84人(7.8%)などと記載されている。本文「SNSならではのリスクを知っておく」節、「始める前のチェックリスト」節、「監視より「相談できる関係」」節の数字はこれによる。フィルタリングの801人は利用の有無が判明した被害児童に限った数である。
  • 法務省「インターネット上の人権侵害をなくしましょう」
    https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken88.html(確認日 2026-09-19)。
    この出典で確認した記述
    同ページに、児童ポルノやリベンジポルノについて「その画像がいったんインターネット上に流出すれば、画像のコピーが転々と流通して回収することが極めて困難となり、被害者は将来にわたって永く苦しむことになる」と記載されている。また「インターネット上に自分の名誉を毀損したり、プライバシーを侵害したりする情報が掲載されても、発信者が誰か分からないことも多く、被害に遭われた方が直接被害を回復するのは困難」と記載されている。相談先として「みんなの人権110番」0570-003-110、「こどもの人権110番」0120-007-110、インターネット人権相談受付窓口(https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken113.html)が案内されている。本文「一度出すと消えない(デジタルタトゥー)」節と「気をつけたいこと」節はこれによる。
  • こども家庭庁「令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」(令和7年3月)
    https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/9a55b57d-cd9d-4cf6-8ed4-3da8efa12d63/0a26134c/20250328_policies_youth-kankyou_internet_research_results-etc_16.pdf(確認日 2026-09-19)。
    この出典で確認した記述
    「概要7 青少年のインターネットの利用状況 -3(利用内容)」(PDF13ページ、資料12ページ)に、いずれかの機器での利用内容の総数として「投稿やメッセージ交換をする」73.6%と記載され、学校種別では小学生(10歳以上)48.6%、中学生80.8%、高校生90.1%と記載されている。「概要13 インターネット利用に関する家庭のルールの有無」(PDF19ページ、資料18ページ)に「学校種が上がるにつれて、「ルールを決めていない」との回答が増え、青少年と青少年の保護者の「ルールの有無に関する認識のギャップ」も拡大傾向。」と記載され、高校生では「ルールを決めている」が青少年46.6%・保護者61.1%と図示されている。「概要14 子供のインターネット利用に関する保護者の取組 -1(青少年の保護者)」(PDF20ページ、資料19ページ)に、実施している取組の上位として「フィルタリング(45.8%)」と記載されている。本文「SNSならではのリスクを知っておく」節と「監視より「相談できる関係」」節の背景はこれによる。
  • こども家庭庁「各種相談窓口」(青少年の安全で安心な社会環境の整備)
    https://www.cfa.go.jp/policies/youth-kankyou/internet_use_soudan(確認日 2026-09-19)。
    この出典で確認した記述
    同ページに、インターネット・ホットラインセンター(https://www.internethotline.jp/)、各都道府県警察サイバー犯罪相談窓口(https://www.npa.go.jp/cyber/soudan.html)、全国の消費生活センター(https://www.kokusen.go.jp/map/)、法務省の人権相談(https://www.moj.go.jp/JINKEN/index_soudan.html)、違法・有害情報相談センター(https://ihaho.jp/)、経済産業省の消費者相談室、総務省の電気通信消費者相談センターが相談窓口として掲載されていることを確認した。本文「気をつけたいこと」節の相談先はこれによる。

この記事について

本記事は家庭での工夫を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。特定の機器・アプリ・設定・サービスを推奨するものでもありません。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

筆者コメント