「これ面白い！」が聞きたい。思春期の子と観るべき、親子の距離が縮まるエンタメ作品3選
「最近、子どもとの会話が減ったな…」「思春期の子どもと、どんな話をしたらいいか分からない…」そんな悩みを抱える親御さんは少なくないでしょう。身体も心も大人へと変化していく多感な時期。親としてどう接すれば良いか、戸惑うこともありますよね。そんな時、映画やアニメといったエンタメ作品は、親子の間に新しい共通の話題を生み出してくれる最高のきっかけになります。今回は、子育て情報サイト『parents.jp』編集部が、小学生高学年から高校生のお子さんと親が一緒になって本気で楽しめる、少し大人向けの視点を持ったエンタメ作品を3つ、ジャンルが偏らないように厳選しました。鑑賞後、きっと会話が弾むはずです。
スパイダーマン：スパイダーバース
| ジャンル | アニメ映画、スーパーヒーロー、SF |
| ターゲット年齢 | 小学生高学年～高校生 |
親子で語り合いたいポイント
アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞した本作は、単なるスーパーヒーロー映画ではありません。主人公は、ブルックリンに住む中学生のマイルズ・モラレス。勉強や人間関係、そして警察官である父親からの期待に悩む、ごく普通の少年です。彼がひょんなことから特殊能力を手にし、偉大なヒーロー「スパイダーマン」の後を継ぐプレッシャーと向き合いながら成長していく姿は、思春期の子どもたちが抱える「自分は何者なのか」「どう期待に応えればいいのか」という葛藤と見事に重なります。作品の大きな魅力は、次元の歪みによって集結する個性豊かなスパイダーマンたち。中年太りして人生に疲れたピーター・パーカーや、女性スパイダーマンのスパイダーグウェンなど、完璧ではないヒーローたちがマイルズを導く姿は、「ヒーローは一人じゃない」「失敗してもいい」という力強いメッセージを伝えてくれます。革新的でコミックブックがそのまま動き出したかのような映像美に圧倒されるだけでなく、「信じて飛び込む(Leap of Faith)」ことの勇気や、多様性を受け入れる大切さについて、鑑賞後に「どのキャラクターが好きだった？」「もし自分だったらどうする？」と、深く語り合える一作です。
グランド・イリュージョン
| ジャンル | サスペンス、クライム、スリラー |
| ターゲット年齢 | 中学生～高校生 |
親子で語り合いたいポイント
アニメとは一味違う、スリリングな実写作品はいかがでしょうか。本作は、4人の天才マジシャンチーム「フォー・ホースメン」が、ラスベガスの観客の前でパリの銀行から大金を盗み出すという、前代未聞のショーを繰り広げるクライム・エンターテイメントです。最大の魅力は、観客の度肝を抜く華麗なマジックと、その裏に隠された巧妙なトリックの数々。「近づきすぎると、本質が見えなくなる」という作中のセリフが象徴するように、物語は常に私たちの思い込みや先入観を揺さぶってきます。親子で「あのトリックはどうなってるんだろう？」「黒幕は誰だ？」と推理しながら観る時間は、最高のエンタメ体験になるでしょう。また、彼らの目的が単なる金庫破りではないことが明らかになるにつれ、「正義とは何か？」「見えているものが全てではない」という深いテーマが浮かび上がってきます。情報が溢れる現代社会で、物事の表面だけを鵜呑みにせず、その裏にある意図や構造を考えることの重要性を、親子でディスカッションする良いきっかけを与えてくれます。少し背伸びしたい年頃のお子さんと一緒に、知的な興奮を味わえる作品です。
ミッチェル家とマシンのうた
| ジャンル | アニメ映画、SFコメディ、ファミリー |
| ターゲット年齢 | 小学生高学年～高校生 |
親子で語り合いたいポイント
「最近、親の言うことが理解できない」「子どもの考えていることが分からない」。そんなすれ違いを感じているご家庭にこそ観てほしいのがこの作品です。主人公は、自分のセンスを理解してもらえないと感じている映画監督志望の女子高生ケイティ。そんな彼女と、アナログ人間で不器用な父親、優しい母親、恐竜好きの弟という個性豊かなミッチェル一家が、ひょんなことからAIロボットの反乱に巻き込まれ、世界を救うために奮闘します。本作が秀逸なのは、家族間のコミュニケーション不全という普遍的なテーマを、現代のテクノロジー事情と絡めて、笑いと感動満載で描いている点です。YouTube世代のケイティと、古い価値観から抜け出せない父親との衝突は、多くの親子が共感するはず。しかし、旅を通して互いの「変なところ」や「好きなこと」を認め合い、バラバラだった家族が最強の「チーム」になっていく姿には、胸が熱くなります。鑑賞後には、「うちの家族の“変なところ”って何だろう？」なんて話で盛り上がったり、スマホやSNSとの付き合い方について、家族で改めて考えるきっかけになるかもしれません。笑って泣いて、最後には家族の温かさを再確認できる、現代の家族にこそ観てほしい傑作です。
まとめ
今回ご紹介した3作品は、どれもがただ面白いだけでなく、親子で感想を語り合い、互いの価値観や考えを知るための素晴らしい「対話のツール」になります。少し照れくさいかもしれませんが、「あのシーン、どう思った？」の一言から、普段は聞けない子どもの本音が聞けるかもしれません。エンターテイメントを通じて生まれる新しい共通の話題は、きっと親子の時間をより豊かなものにしてくれるはずです。ぜひ、ご家族でのおうち時間に取り入れてみてください。
※免責事項：本記事で紹介する作品の対象年齢（レーティング）や配信状況は、記事作成時点のものです。視聴・購入の際は、公式サイトや各プラットフォームで最新の情報をご確認ください。また、作品のテーマに触れる上で、軽微なネタバレを含む場合がありますのでご了承ください。
