3行まとめ

  • 2026年分(令和8年分)の所得税では、親が扶養控除を受けられる子の給与収入は136万円以下。2025年分の123万円、それ以前の103万円から二年続けて上がった。
  • 19歳以上23歳未満の子は、136万円を超えても「特定親族特別控除」があり、159万円までは63万円の控除が続いて197万円まで段階的に残る。16歳から18歳にこの段階措置はない。
  • 税とは別に、健康保険の被扶養者は年間収入130万円未満。ただし19歳以上23歳未満は150万円未満に変わった。基準は制度ごとに違う。

この記事でわかること

  • 「103万円の壁」が、いま何円になっているか
  • 親が見る136万円と、子ども本人が見る178万円の違い
  • 19歳以上23歳未満にだけある、段階的な控除のしくみ
  • 高校生年代と大学生年代で結果が変わるところ
  • 9月のうちに家庭で確かめておけること

「103万円」のまま止まっている会話

アルバイトのシフト表を見せられて、「これ以上働いたらまずい?」と聞かれる。そのときに家庭で出てくる数字が、たいてい103万円です。長いあいだ動かなかった金額なので、親世代の記憶にもしっかり残っています。

ところがこの数字は、2025年分(令和7年分)に123万円へ、2026年分(令和8年分)に136万円へと、二年続けて上がりました。子どもの年齢によっては、そこにさらに別の控除が重なります。古い数字のまま「103万を超えないように」と話していると、入れられたはずのシフトを削ることにも、逆に気づかないうちに境目を越えることにもなります。

覚え直す数字が増えた、という話ではありません。どこを見れば自分の家に当てはまるかを、9月のうちに一度確かめておく話です。

2026年分の目安は、136万円と178万円

国税庁の資料によると、令和8年度の税制改正で二つの控除が上がりました。給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円へ、基礎控除は合計所得金額132万円以下の人で104万円へ。この二つを足すと、給与収入178万円までは所得税がかからない計算になります。ただしこれは、子ども本人にかかる税の話です。

親の側が見る数字は別にあります。扶養控除の対象になる「扶養親族」の要件は、合計所得金額62万円以下、給与収入だけなら136万円以下。改正前は58万円以下(給与収入123万円以下)でした。子の給与収入が136万円を超えると、親はその子について扶養控除を受けられなくなります。

控除額のほうは、16歳以上の一般の扶養親族で38万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族で63万円です。どちらも、その年の12月31日時点の年齢で判定します。つまり親が気にする136万円と、子ども本人が気にする178万円は、別の線だということです。一つの数字で両方をまかなうことはできません。

2026年分の三つの目安を示した図。子ども本人は給与収入178万円までは所得税がかからない(給与所得控除74万円と基礎控除104万円の合計)。親の扶養控除は子の給与収入136万円まで、控除額は16歳以上で38万円、19歳以上23歳未満で63万円。19歳以上23歳未満はさらに給与収入197万円まで特定親族特別控除が段階的に残る。
図1:2026年分(令和8年分)の三つの目安。見る人が違えば、見る数字も違います。

同じ金額でも、高校生と大学生で結果が違う

19歳以上23歳未満の子には、2025年分から「特定親族特別控除」というしくみがあります。給与収入が136万円を超えても控除がすぐには消えず、159万円までは63万円のまま。そこから164万円で61万円、169万円で51万円と段階的に下がっていき、197万円で終わります。境目をまたいだ瞬間に控除がまるごと消えることのないよう、階段状に作られています。

一方、16歳から18歳の子には、この段階措置がありません。給与収入が136万円を超えた時点で、38万円の扶養控除がまとめて外れます。同じ「136万円を少し超えた」でも、高校生年代と大学生年代では起きることが違うということです。段差が急なのは、むしろ高校生のほうだと言えます。

年齢はその年の12月31日時点で見るので、学年とはずれます。大学1年生でも、12月31日時点で18歳なら特定扶養親族ではなく一般の扶養親族の扱いで、特定親族特別控除の対象にもなりません。誕生日が年の後半にある子ほど、学年の感覚と実際の区分が食い違いやすくなります。

年齢による扱いの違いを比べた図。16歳から18歳(高校生年代)は、給与収入136万円までは扶養控除38万円、136万円を超えると段階措置がなく控除が外れる。19歳以上23歳未満(大学生年代)は、136万円までは特定扶養親族として63万円、136万円から159万円までは特定親族特別控除63万円が続き、そこから段階的に下がって197万円で終わる。年齢はその年の12月31日時点で判定する。
図2:同じ金額を超えても、年齢の区分で起きることが変わります。判定はその年の12月31日時点です。

税とは別に、健康保険の扶養がある

税の話が片づいても、確かめる基準はもう一つあります。親の健康保険で子どもを被扶養者にしている場合、日本年金機構が示す認定の収入要件は、年間収入130万円未満です。

この要件も2025年に動きました。扶養認定日が令和7年10月1日以降で、認定を受ける人が19歳以上23歳未満の場合(被保険者の配偶者を除く)は、130万円未満ではなく150万円未満に変わっています。税で出てきた136万円とも197万円とも違う、三つ目の数字です。

さらに、年間収入が130万円未満であっても、勤務先で4分の3基準や短時間労働者の要件を満たすと、子ども自身がその勤務先の健康保険・厚生年金の被保険者になります。金額だけでは決まらず、働き方でも変わるということです。税・健康保険・勤務先の加入条件は、それぞれ別の物差しで動いていると思っておくほうが、あとで驚かずにすみます。

9月に見ておくと、12月に慌てない

アルバイト収入は、その年の1月から12月までの合計で数えます。年度ではなく暦年です。9月のいまなら、残りのシフトで着地をある程度調整できます。

確かめかたは単純です。子どもに給与明細か、勤務先のアプリの支給履歴を出してもらい、1月からの合計を足すだけ。ここまでの合計に、残り約4か月の見込みを足せば、どのあたりに着地しそうかが見えます。交通費が金額に含まれるかどうかといった細かい点は、勤務先に聞くのが確実です。

今回の改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。国税庁の資料では、令和8年11月までの給与の源泉徴収事務に変更はなく、12月の年末調整でまとめて精算する扱いです。親が勤務先に出す「扶養控除等申告書」や、19歳以上23歳未満の子について出す「特定親族特別控除申告書」は、その11月から12月にかけて配られます。紙が回ってくる前に子どもの合計額を把握しておくと、その場で迷わず書けます。

家庭で試す3つの工夫

  1. 給与明細を1月分から並べてみる:通帳の記録や勤務先のアプリの支給履歴でも構いません。1月からの合計を出しておくと、「あといくら働けるか」が推測ではなく数字になります。月ごとの差が大きい仕事なら、多かった月と少なかった月を並べるだけでも見通しが立ちます。
  2. 12月31日時点の年齢を確認する:扶養の区分は学年ではなく年齢で決まります。高校生のアルバイトを始める前に、家庭で決めておきたいことで扱った働く時間の決まりとあわせて、年齢の欄も一度見ておきます。
  3. 勤務先に聞くことは、子ども自身に頼む:交通費の扱い、年末調整の書類、社会保険の加入条件。親が代わりに調べるより、本人が勤務先に確かめたほうが正確ですし、働く仕組みを知る機会にもなります。

声かけの言い換え例

  • 「103万を超えたらダメだからね」→古い数字で行動を縛ってしまい、働けたはずの時間まで削ることになる。
  • 「今年から目安が変わったらしいよ。一緒に調べよう」→数字を確かめる作業を、親子で共有できる。
  • 「稼ぎすぎ。うちの税金が上がる」→働くこと自体を責められたと受け取られ、収入の話をしなくなる。
  • 「1月からの合計、いまどのくらい?」→事実の確認になり、次のシフトの相談につながる。

家庭で確認するチェックリスト

  • 子どもの1月からの給与の合計額を、家庭で把握している。
  • その年の12月31日時点で子どもが何歳になるかを確認した。
  • 136万円と197万円のどちらが自分の家に関係するかが分かっている。
  • 健康保険の被扶養者の要件を、加入している健保に確認した。
  • 年末調整の書類が配られる時期を、親も子も知っている。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

ここで挙げた金額は、2026年分(令和8年分)の所得税についてのものです。この2年で二度動いたことからも分かるとおり、制度は年ごとに変わります。令和10年分以後は物価の動きに合わせて見直す仕組みも決まっているため、来年も同じ数字とは限りません。その年の国税庁の案内で確かめてください。

住民税は所得税と控除額も基準も違い、判定の時期もずれます。目安の案内は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の住民税の担当窓口に聞くのが確実です。また、奨学金や授業料の減免の判定は、ここで扱った扶養の基準とは別の基準で行われます。奨学金の仕組みを、進学前に親子で整理するもあわせて確認してください。

この記事は制度の見取り図であって、それぞれの家庭で税額がいくら変わるかを示すものではありません。実際の金額は、親の所得や他の控除によって変わります。具体的な計算や書類の書き方は、勤務先の年末調整の担当、所轄の税務署、加入している健康保険組合や協会けんぽに確認してください。子どもの働き方そのもので困ったことが起きたときは、学校や都道府県労働局の相談窓口に相談する選択肢もあります。

出典・参考

  • 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」(令和8年4月)
    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2026kaisei.pdf(確認日 2026-09-07)。
    この出典で確認した記述
    1ページの「⑵ 給与所得控除の最低保障額の引上げ」に「給与所得控除について、65万円の最低保障額が74万円に引き上げられました」とあり、1ページの基礎控除の表に、合計所得金額132万円以下(収入が給与だけの場合206万円以下)の令和8・9年分の基礎控除額が104万円と示されている。本文の「給与収入178万円までは所得税がかからない計算」は、この74万円と104万円の合計による。2ページの「⑶ 扶養親族等の所得要件の改正」の表には、扶養親族・同一生計配偶者・ひとり親の生計を一にする子が改正後「62万円以下(136万円以下)」・改正前「58万円以下(123万円以下)」、特定親族が改正後「62万円超123万円以下(136万円超197万円以下)」・改正前「58万円超123万円以下(123万円超188万円以下)」、勤労学生が改正後「89万円以下(163万円以下)」・改正前「85万円以下(150万円以下)」と記載されている(かっこ内は令和8・9年分における収入が給与だけの場合の収入金額)。同ページの参考表では、特定親族特別控除額が合計所得金額62万円超85万円以下(給与136万円超159万円以下)で63万円、85万円超90万円以下(159万円超164万円以下)で61万円、90万円超95万円以下(164万円超169万円以下)で51万円、95万円超100万円以下で41万円、100万円超105万円以下で31万円、105万円超110万円以下で21万円、110万円超115万円以下で11万円、115万円超120万円以下で6万円、120万円超123万円以下(給与194万円超197万円以下)で3万円と示されている。1ページには「これらの改正は、原則として、令和8年分以後の所得税について適用されます」「令和8年11月までの給与等及び公的年金等の源泉徴収事務に変更は生じません」、3ページには令和10年分以後の基礎控除額と給与所得控除の最低保障額を2年ごとに全国消費者物価指数の変化率で見直す旨も記載されている。本文の136万円・159万円・164万円・169万円・197万円・178万円・63万円、および施行と年末調整での精算に関する記述は、すべてこの資料による。
  • 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
    https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026kiso/index.htm(確認日 2026-09-07)。
    この出典で確認した記述
    令和8年度税制改正により「所得税の基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ及び扶養親族等の所得要件の改正等が行われました」こと、これらの改正が「令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用される」ことの根拠。改正の詳細をまとめた「源泉所得税の改正のあらまし」および「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」への入口ページで、具体的な金額はそれらの資料に記載がある。本文の「令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます」の根拠。
  • 国税庁 タックスアンサー No.1177「特定親族特別控除」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1177.htm(確認日 2026-09-07)。
    この出典で確認した記述
    特定親族特別控除の対象となる親族の要件が「年齢が19歳以上23歳未満であること」であること、控除額が合計所得金額に応じて63万円(58万円超85万円以下)から3万円(120万円超123万円以下)まで9段階で逓減すること、この控除が「令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適用」されることの根拠。本文の「19歳以上23歳未満の子には、2025年分から特定親族特別控除というしくみがあります」「63万円のまま」「段階的に下がっていき」の根拠。なお同ページの合計所得金額の区分は令和7年分の給与所得控除(最低保障額65万円)を前提としており、令和8年分の給与収入換算は前掲の「源泉所得税の改正のあらまし」による。
  • 国税庁 タックスアンサー No.1180「扶養控除」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm(確認日 2026-09-07)。
    この出典で確認した記述
    控除対象扶養親族が「その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人」であること、扶養控除の額が一般の控除対象扶養親族で38万円、特定扶養親族で63万円であること、扶養親族の要件に「納税者と生計を一にしていること」が含まれることの根拠。あわせて、扶養親族の合計所得金額の要件について「令和7年12月1日以降、上限が58万円以下に引き上げられる(令和7年分から適用)」旨の注記があり、その後さらに令和8年分から62万円以下となったことは前掲の「源泉所得税の改正のあらまし」で確認した。本文の「16歳以上の一般の扶養親族で38万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族で63万円」「その年の12月31日時点の年齢で判定」の根拠。
  • 国税庁 タックスアンサー「専門用語集」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/yogo/senmon.htm(確認日 2026-09-07)。
    この出典で確認した記述
    「控除対象扶養親族」が「扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の方」、「特定扶養親族」が「控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の方」、「特定親族」が「あなたと生計を一にしている親族…その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満」の方と定義されていることの根拠。本文の「年齢はその年の12月31日時点で見るので、学年とはずれます」「大学1年生でも、12月31日時点で18歳なら特定扶養親族ではなく一般の扶養親族の扱い」の根拠。
  • 日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」
    https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202508/0819.html(確認日 2026-09-07)。
    この出典で確認した記述
    「扶養認定日が令和7年10月1日以降で、扶養認定を受ける方が19歳以上23歳未満の場合(被保険者の配偶者を除く。)」に、「年間収入130万円未満」が「年間収入150万円未満」に変わることの根拠。あわせて日本年金機構の年金Q&A(短時間労働者)では、健康保険の被扶養者の収入要件が年収130万円未満であること、および年収が130万円未満であっても「4分の3基準または4要件を満たした場合は、厚生年金保険・健康保険の被保険者となります」と示されている(https://www.nenkin.go.jp/section/faq/kounen/tekiyoukakudai/tanjikan/fuyounintei.html、確認日 2026-09-07)。本文の「健康保険の扶養」の節はこの2ページによる。

この記事について

本記事は家庭での話し合いを整理した一般的な情報であり、特定の学校の合否・優劣・進学先を判断・推奨するものではありません。個別の家計・投資の助言や、特定の金融商品の推奨も行いません。費用・選抜・支援制度は年度や地域によって変わるため、公式情報をご確認ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

筆者コメント