3行まとめ

  1. 親が決めたつもりのルールが、子どもには届いていないことがある。
  2. 決めるのは落ち着いている時。子どもの言い分も聞いて、一緒に決める。
  3. ゲームは途中でやめにくいので、「キリ」と「予告」を相談しておく。

この記事でわかること

  • 一方的なルールが続かない理由
  • ルールを一緒に決める会話の4ステップ
  • そのまま使える、場面別の会話例

一方的なルールが続かない理由

「1日1時間まで!」と親が決めて伝える。よくある形ですが、なかなか守られません。そもそも、親が決めたつもりのルールが、子どもの側に届いていないことがあります。こども家庭庁の令和6年度の調査では、家庭のインターネット利用について「ルールを決めている」と答えた保護者が77.8%だったのに対し、青少年で同じように答えたのは67.5%でした。高校生に限ると、保護者61.1%に対して青少年46.6%。調査自体が、学校種が上がるにつれて「ルールの有無に関する認識のギャップ」も拡大傾向にある、と指摘しています。宣言しただけのルールは、子どもの側では「ある」ことにすらなっていない——まずは、そこから疑ってみる価値があります。

ここからは確かめられた数字ではなく一つの見方ですが、親が決めたルールは「破る相手」が親になってしまう、という面もあります。子どもにとってルールが「親との戦い」になると、いかにかいくぐるかに頭が向いてしまいます。一方、自分も決めるプロセスに加わったルールは「自分との約束」になり、守れたかどうかが、親との勝ち負けではなく、自分の達成になる。同じ「1時間」でも、決め方しだいで意味がまるで変わるのです。だからこそ、最初の決め方に少し時間をかける価値があります。

一方的に決める(1時間まで!と宣言→不満・かくれてやる)と、親子で一緒に決める(何時間にする?と相談→納得して守りやすい)を比較した図。
図1:自分で決めたルールほど、子どもは守ろうとします。

一緒に決める会話の4ステップ

「一緒に決める」とは、何でも子どもの言いなりになることではありません。親の心配も伝えつつ、子どもの希望も聞き、落としどころを一緒にさがすこと。次の4ステップが目安です。とくに大事なのは①。ゲームをやめさせたい場面ではなく、おだやかな時間に話すと、冷静に決められます。

②の「言い分を聞く」では、つい先に反論したくなりますが、まずは最後まで聞きます。「2時間やりたい」と言われても、「ダメ」と返す前に「どうして2時間がいいの?」と理由を聞くと、子どもなりの事情(友だちと一緒にやる時間、攻略の区切りなど)が見えてきます。希望を全部のむ必要はありませんが、まず受け止めてもらえた子は、こちらの心配にも耳を貸しやすくなります。③では、親の心配も具体的に伝え、おたがいが折り合える点をさがします。命令ではなく、相談として伝えるのがコツです。心配を数字にしておくと話が進みやすくなります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、こどもの睡眠について「小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する」ことを推奨しています。起きる時間から逆算すれば、1日のうちゲームに回せる枠はおのずと見えてきます。同ガイドは、就寝時刻の先延ばしを防ぐ工夫として「家庭での電子機器使用に関するルールづくり」が有効な場合がある、とも書いています。

ルールを決める会話の4ステップの図。①落ち着いた時に話す②子どもの言い分を聞く③一緒に決める④紙に書いて見直す。ケンカの最中ではなくおだやかな時に。
図2:ケンカの最中ではなく、おだやかな時に。決めたら試して、また見直します。

ゲームは「終わり方」を相談する

ゲームは、動画以上に途中でやめにくい作りです。対戦やバトルの最中、セーブできない場面で「いますぐやめなさい」と言われても、子どもは切れません。だから、時間の長さだけでなく「どこで終わるか(キリ)」と「終わりの予告」も一緒に決めておきます。「この試合が終わったら」「5分前に声をかけるね」と約束しておくと、終わりの衝突がぐっと減ります。

大人でも、仕事を中途半端なところで急に止められると気持ちが残りますが、キリのいいところまでやれれば切り替えやすいものです。子どもにとってのゲームも同じ。「あと1試合」「このステージまで」と区切りを子ども自身に決めてもらうと、自分で終わる練習にもなります。対戦ゲームなど終わりが読みにくいものは、「次に負けたら(勝ったら)終わり」など、その種類に合った区切りを一緒に考えておくと現実的です。区切りが見えにくいゲームほど、終わりの予告が効いてきます。

ゲームの終わり方の図。いますぐやめなさいは対戦の途中で切れず反発する。キリのいい所で+5分前に予告すると終わりやすい。
図3:ゲームは途中でやめにくい作り。区切りと予告を相談しておくと安心です。

実際の会話のイメージです。セリフ通りである必要はなく、わが家の言い方やお子さんの年齢に合わせてアレンジしてお使いください。

ルールを決める会話例

親:「ゲーム、毎日楽しそうだね。長く続くと心配なこともあるんだけど、どのくらいがいいと思う?」→ 関心+心配を伝え、まず子どもに聞く。

子:「毎日2時間!」 親:「2時間か。宿題や寝る時間と、どう両立できそう?」→ 否定せず、現実とすり合わせる。

親:「平日は1時間、休みの日は2時間でどう? 終わりは試合のキリで、5分前に声かけるね」→ 落としどころと終わり方をセットで提案。

守れなかった時の会話

約束は、最初からうまくは守れません。破った時に大事なのは、罰で押さえつけるより、なぜ守れなかったかを一緒に見直すことです。「昨日は時間が守れなかったね。どうしたら守りやすいかな?」と、責めずに作戦会議に。終わりの予告が足りなかったのか、時間設定そのものが生活に合っていなかったのか——原因を一緒に探り、ルール自体が無理なら遠慮なく調整します。何度かの調整を前提にしておくと、親も子も追いつめられずに済みます。守れた日は「自分で終われたね」と、その事実を認めましょう。国の啓発資料も、同じ順序をとっています。警察庁・文部科学省・こども家庭庁が保護者向けに出しているリーフレットは、家族で決めたルールを書き出す欄を設けたうえで、「ルールを守れなかった場合は、改めてルールについて話し合いましょう」と案内し、その例として「ペアレンタルコントロールの設定レベルを上げる」といった調整を挙げています。取り上げて終わりではなく、決め直すことを勧めているわけです。

守れなかった時に毎回ゲームを没収すると、子どもは「次は隠そう」と考えるようになり、根本の解決から遠ざかります。罰は一時的に効いても、信頼を削りやすいもの。「失敗=ルールを直すヒント」と捉え、責めずに一緒に作戦を練り直すほうが、長い目で見て守られるルールに育ちます。何度か崩れても、それは順調な調整過程だと考えて大丈夫です。

全部を一度にやらなくて大丈夫です。合いそうなものを一つだけ選んでください。

家庭で試す3つの工夫

  • ① おだやかな時に話す:ゲーム中やもめた直後でなく、落ち着いた時間に「ちょっと相談したいんだけど」と切り出します。
  • ② 終わり方をセットで決める:時間だけでなく「どこで終わる」「何分前に予告する」まで一緒に決めます。
  • ③ 紙に書いて、見直し日を決める:決めたルールを貼り出し、「2週間後に見直す」と添えると、納得して守りやすくなります。

命令ではなく、一緒に決める・終わりを予告する言葉に変えてみましょう。

声かけの言い換え例

「ゲームは1時間! 文句言わない!」→ 一方的で、納得が生まれない。

「ゲーム時間、一緒に決めようか」→ 自分で決める形にする。

「もう時間! すぐやめなさい!」→ 途中で切れず、反発を生む。

「あと5分でこの試合までにしようね」→ キリと予告で、終わりを準備させる。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

ここで紹介したのは「一つの考え方」です。一緒に決めても、ゲームをやめると激しく荒れる状態が長く続く、睡眠・食事・学校生活に明らかな支障が出る、高額な課金や見知らぬ相手とのやり取りといった心配がある場合は、家庭だけで抱え込まず、課金・時間制限の設定を見直すとともに、学校や専門の相談窓口に相談してください。無断課金などお金のトラブルは、消費者ホットライン「188(いやや!)」から最寄りの消費生活センターにつながります。ゲームで知り合った相手とのやり取りに不安があるときは、警察相談専用電話「#9110」もあります。本記事はゲーム依存などに関する診断・治療を判断するものではありません。

よくある質問

ゲームは1日何時間までにすればいいですか。
ゲーム時間そのものの上限を定めた公的な基準は見当たりません。手がかりになるのは睡眠のほうで、厚生労働省の睡眠ガイドは「小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間」の睡眠時間の確保を推奨しています。起きる時間から逆算して、宿題や寝る時間と両立できる枠を一緒に考えるのが現実的です。「平日は1時間、休みの日は2時間でどう?」と、時間と終わり方をセットで提案する会話例もありますが、そのまま当てはめる必要はありません。
「いますぐやめなさい」と言っても、やめてくれません。どうしたらいいですか。
時間の長さだけでなく、「どこで終わるか(キリ)」と「終わりの予告」を先に相談しておく方法があります。ゲームは動画以上に途中でやめにくい作りで、対戦やバトルの最中、セーブできない場面では子どもも切れません。「この試合が終わったら」「5分前に声をかけるね」と約束しておくと、終わりの衝突がぐっと減ります。終わりが読みにくい対戦ゲームなら、「次に負けたら終わり」など、その種類に合った区切りを一緒に考えておくと現実的です。
一緒に決めても、結局守られません。どうすればいいですか。
約束は最初からうまくは守れないものだと考えて、罰で押さえつけるより、なぜ守れなかったかを一緒に見直すほうが近道です。「昨日は時間が守れなかったね。どうしたら守りやすいかな?」と、責めずに作戦会議にします。終わりの予告が足りなかったのか、時間設定そのものが生活に合っていなかったのか。ルール自体が無理なら遠慮なく調整してください。何度か崩れても、それは順調な調整過程だと考えて大丈夫です。
守れなかったときに、ゲームを取り上げるのは効果がありますか。
一時的には効いても、信頼を削りやすい方法です。守れなかった時に毎回没収すると、子どもは「次は隠そう」と考えるようになり、根本の解決から遠ざかります。「失敗=ルールを直すヒント」と捉えて、責めずに一緒に作戦を練り直すほうが、長い目で見て守られるルールに育ちます。守れた日には「自分で終われたね」と、その事実を認める声かけもあわせてみてください。

出典・参考

  • こども家庭庁「令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」(令和7年3月)
    https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/9a55b57d-cd9d-4cf6-8ed4-3da8efa12d63/0a26134c/20250328_policies_youth-kankyou_internet_research_results-etc_16.pdf(確認日 2026-09-19)。
    この出典で確認した記述
    「概要13 インターネット利用に関する家庭のルールの有無」(PDF19ページ、資料18ページ)に「他方で、学校種が上がるにつれて、「ルールを決めていない」との回答が増え、青少年と青少年の保護者の「ルールの有無に関する認識のギャップ」も拡大傾向。」と記載され、「ルールを決めている」の割合が、総数で青少年67.5%・保護者77.8%、小学生(10歳以上)で青少年82.1%・保護者89.9%、中学生で青少年73.0%・保護者82.1%、高校生で青少年46.6%・保護者61.1%と図示されている。低年齢層の子供の保護者では81.6%が「ルールを決めている」と回答。「概要7 青少年のインターネットの利用状況 -3(利用内容)」(PDF13ページ、資料12ページ)に、利用内容の総数として「ゲームをする」84.9%、小学生(10歳以上)86.6%、中学生86.7%と記載されている。「概要14 子供のインターネット利用に関する保護者の取組 -1(青少年の保護者)」(PDF20ページ、資料19ページ)に「実施している取組は、フィルタリング(45.8%)、対象年齢にあったサービスやアプリを使わせている(39.2%)、利用してもよい時間や場所を決めて使わせている(37.2%)が上位。」と記載されている。本文「一方的なルールが続かない理由」節の割合はこれによる。青少年3,129人・その保護者3,174人・低年齢層の子供の保護者1,964人からの回収による調査で、ゲーム時間の上限そのものを示した調査ではない。
  • 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月策定、令和6年9月18日一部修正)
    https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf(確認日 2026-09-19)。
    この出典で確認した記述
    「RECOMMENDATION2 こども版」の推奨事項(PDF17ページ、資料15ページ)に「小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する。」「朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして、夜ふかしの習慣化を避ける。」と記載されている。PDF19ページ(資料17ページ)のショートコラム「就寝時間の先延ばし」に「就寝時刻の先延ばし行動としては、テレビを延々と見続けてしまったり、ゲームが止められなかったり、あるいはSNSで交流したり等、本来の就寝時刻を過ぎても、様々な余暇活動を行うことが多いようです」「就寝時刻の先延ばしを予防するためには、睡眠スケジュールの目標を決め、実践できるかを日々モニタリングするといった工夫や、家庭での電子機器使用に関するルールづくりが有効な場合があります」と記載されている。本文「一緒に決める会話の4ステップ」節と「よくある質問」の睡眠時間はこれによる。同ガイドはゲームの時間そのものの上限を定めたものではない。
  • 警察庁・文部科学省・こども家庭庁「オンラインゲーム上には、こどもに迫る犯罪者がいます!!」(啓発リーフレット)
    https://www.npa.go.jp/policy_area/no_cp/uploads/20250707_selfy_2.pdf(確認日 2026-09-19)。
    この出典で確認した記述
    裏面は「オンラインゲームについて家族等と話し合いましょう!」と題され、「家族等で決めたルールを書いておきましょう!」という記入欄に「ペアレンタルコントロール(家族等による管理機能)の設定レベルを決める。」「ゲームの機能を使って、個人情報(住所、氏名、学校名など)や不適切なメッセージ(悪口、いやらしい言葉など)を他人に送らない。」「家族等に相談せずに、ゲーム内で知り合った人と連絡先を交換したり、実際に会ったりしない。」「ゲームで「アイテム」をもらうときは、必ず家族等に相談する。」「少しでも不安を感じたら家族等に相談する。」の5項目と空欄が並ぶ。その下に「ルールを守れなかった場合は、改めてルールについて話し合いましょう」と記載され、例として「「ペアレンタルコントロールの設定レベルを上げる」、「家族等に相談せずに連絡先を交換した相手とは連絡をとらない」など」が挙げられている。最下段に「おかしいと思うことがあれば、ためらわず警察に相談して下さい!! 警察相談専用電話 #9110 ※最寄りの警察本部の相談窓口につながります。」と記載されている。本文「守れなかった時の会話」節と「気をつけたいこと」節はこれによる。
  • 国民生活センター「子どものオンラインゲーム 無断課金につながるあぶない場面に注意!!」(2024年3月13日公表)
    https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20240313_1.html(確認日 2026-09-19)。
    この出典で確認した記述
    「契約当事者が小学生・中学生・高校生のオンラインゲームに関する2022年度の相談件数は4,024件で、契約購入金額の平均は約33万円と高額です。」と記載されている。保護者向けの対策として「「ペアレンタルコントロール」機能を利用して保護者が管理しましょう。この機能で課金を承認制に設定できます。」、決済情報について「クレジットカードは保管場所に注意が必要です。また、子どものスマホにクレジットカード情報を入力した際は忘れずに削除してください。」と記載されている。相談先として消費者ホットライン「188(いやや!)」番が案内されている。本文「気をつけたいこと」節の課金に関する注意と相談先はこれによる。

この記事について

本記事は家庭での工夫を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。特定の機器・アプリ・設定・サービスを推奨するものでもありません。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

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