3行まとめ
- 総務省によると、多くの配信サービスは13歳以上が対象で、小学生はアカウントを作れないことが多い。中高生にも配信年齢・時間・収益の決まりがある。
- 投げ銭は1回100円程度〜数万円。親の端末に登録したカードで、小学生が30万円以上使っていた相談もある。支払いの設定は親が管理する。
- 配信では「顔を見せて」という要求がエスカレートしやすく、写り込みから場所も特定されうる。顔・声・場所のどこまで出すかを先に決めておく。
この記事でわかること
- ライブ配信を始められる年齢と、規約で決まっていること
- 投げ銭が高額になるしくみと、親が見直したい支払いの設定
- 顔出しの要求や写り込みから、身元が知られる流れ
- 始める前に親子で決めることと、困ったときの相談先
「みんな配信してるから」
夕食のあと、子どもがタブレットを見ながら言います。「この人、毎晩ライブやってるんだよ。私もやってみたい」。画面の中では配信者が視聴者のコメントに名前を呼んで応え、ときどき画面に小さなアイテムが飛びます。それが投げ銭だと、親はあとで知ります。
見ているだけなら動画と変わらないように思えます。けれどライブ配信は、その場でお金を送れること、見ている人とその場でやりとりできることが動画視聴と違います。この二つの違いが、そのまま気をつけたい点になります。「やめなさい」の前に、まずどんなサービスで、誰とつながっているのかを一緒に見るところから始めます。
子どもは何歳からライブ配信できますか
多くの配信サービスは13歳以上が対象で、小学生はアカウントを作れないことが多い、と総務省は説明しています。
総務省「インターネットトラブル事例集」の特集「動画配信に関する3つの処方せん」は、保護者のアカウントで配信する場合も、保護者同伴を条件にしているサービスがあると書いています。中学生・高校生については、青少年保護の観点から配信できる年齢や時間、収益の制限など、サービスごとに決まりがあるので、きちんと調べて守るよう呼びかけています。収入には契約が伴うため、年齢を偽ることは契約違反になる、規約で18歳未満が対象外なら18歳まで待とう、とも書いています。
家庭でまずできるのは、子どもが使いたいサービスの規約を一緒に開いてみることです。年齢の条件、配信できる時間帯、投げ銭を受け取れる条件。「できるかどうか」を親が決める前に、サービス自身が決めている線を親子で確かめると、話し合いの出発点がそろいます。
投げ銭は、なぜ高額になりやすいのか
配信を見ながら配信者にお金を送る「投げ銭」は、1回100円程度から数万円までさまざまだと総務省の事例集は書いています。1回ずつは小さくても、応援の気持ちで繰り返すうちに、気づけば驚くほどの額になることがあります。
国民生活センターは、クレジットカードの明細に30万円以上の身に覚えのない請求があり、調べると小学生の子が親のタブレットでライブ配信を見て投げ銭を繰り返していた、という相談を紹介しています。端末にカード情報が登録されていて、子どもも親の操作を見ていたので使えてしまった、という経緯でした。事例集も、クレジットカードはそもそも名義人以外が使うことは許されていないとし、カード決済もキャリア決済も保護者の管理のもとで使うよう求めています。
国民生活センターは、未成年者が保護者の同意なく結んだ契約は民法で取り消せるとしています。ただし、保護者のアカウントでログインした端末で課金した場合は、保護者が決済したとみなされる場合もあるとしています。あとから取り消せるとは限らない以上、頼りになるのは事前の設定です。親のアカウントを子どもに使わせない、決済に承認を求める設定にする、キャリア決済の上限を下げる、明細を日ごろから見る。センターが挙げるこの4点を、一度まとめて見直しておくと安心です。
「顔を見せて」と写り込み
配信する側には、お金とは別の心配があります。総務省の事例集には、マスク姿で配信していた子が、視聴者から「顔を見せてよ」と頼まれ続け、迷った末に応じてしまった相談が載っています。応援してくれる人を失いたくない気持ちは誰にでもあるが、1つ応じると要求がエスカレートすることがある、顔を見せないと決めて始めたなら初心を貫いて、と事例集は書いています。
顔を隠していても、映り込んだものから場所が分かることがあります。事例集は、写真や動画に写ったものから撮影場所や生活範囲が特定されることがあると注意しています。制服、窓の外の景色、近所の店の袋。配信は画面がその場で流れるので、映る前に気づくのが難しくなります。やりとりを長く続けるうちに警戒心が薄れ、個人的な話をしてしまうよう仕向ける相手もいると、事例集は書いています。
警察庁によると、SNSをきっかけに面識のない相手と知り合って被害にあった子どもは令和7年に1,566人でした。小学生は167人で、前年より約2割増え、過去10年で最も多くなっています。この統計のSNSには通信ゲームも含まれます。配信だけを数えた数字ではありませんが、画面越しに知らない人とつながる場で、子どもが被害にあっていることを示しています。
どれも、今日の夕食後に始められます。
家庭で試す3つの工夫
- 規約と支払いを一緒に開く:使いたいサービスの年齢条件と投げ銭のしくみを親子で読みます。同じ日に、端末のカード登録・決済の承認・キャリア決済の上限も確かめておきます。
- 「出さないもの」を紙に書く:顔、本名、学校、家の近くが分かる景色。配信を始める前に出さないものを決め、頼まれても変えない約束にしておきます。
- 応援の予算を決める:投げ銭をしたい気持ちは否定せず、月にいくらまでなら使ってよいか、どの支払い方法なら使えるかを話し合います。親のカードは使わないと決めておきます。
打ち明けてくれたときの最初の一言で、次も話してくれるかが変わります。
声かけの言い換え例
- 「配信なんてだめ」→隠れて始めやすくなる。「どのサービス?規約を一緒に見てみよう」。
- 「何に使ったの、いくら?」→責められると黙る。「話してくれてよかった。履歴を一緒に見よう」。
- 「顔くらい出してもいいでしょ」→線引きがあいまいになる。「顔は出さないって決めたよね。頼まれたら断っていいよ」。
- 「知らない人と話さないで」→現実的でない。「変だなと思ったら、すぐ見せてね」。
親子で確かめたいこと
- 使いたいサービスの年齢条件を、子どもと一緒に読んだか。
- 子どもが使う端末にカード情報や親のアカウントが残っていないか。
- 決済の承認とキャリア決済の上限を設定したか。
- 顔・本名・学校・家の近くは出さない、と決めているか。
- 困ったときに家の大人に見せる、と約束しているか。
家庭の工夫だけで抱え込まないために
身に覚えのない投げ銭の請求に気づいたら、まず明細とアプリの購入履歴で何に使われたかを確かめ、それ以上使えないよう支払いの設定を止めます。そのうえで、子どもを責める前に経緯を聞いてください。取り消しや返金の相談は、お住まいの自治体の消費生活センターで受けられます。窓口が分からないときは消費者ホットライン188につながります。
配信で知り合った相手から、顔や体の写真を求められている、会おうと誘われている、送った画像をばらまくと脅されている、といったときは、迷わず警察に相談してください。総務省の事例集も、やりとりに不安や違和感を感じたら必ず大人に相談するよう、子ども向けに呼びかけています。子どもが自分から言い出しにくい内容なので、打ち明けてくれたこと自体を受け止めることが大切です。配信を続けるかどうかの話は、子どもの安全が確かめられてからで十分です。
よくある質問
- 小学生でもライブ配信はできますか。
- 多くの配信サービスでは難しいです。総務省の事例集は、多くのサービスが13歳以上を対象としており、小学生はアカウントを作れないと説明しています。保護者のアカウントで配信する場合も、保護者同伴を条件にしているサービスがあります。まずは使いたいサービスの規約を親子で確かめてください。
- 子どもが勝手にした投げ銭は取り消せますか。
- 取り消せる場合と、難しい場合があります。国民生活センターは、未成年者が保護者の同意なく結んだ契約は民法で取り消せるとしています。ただし、保護者のアカウントでログインした端末での課金は、保護者が決済したとみなされる場合もあります。早めに消費生活センター(188)へ相談してください。
- 投げ銭の高額請求を防ぐには、何を設定すればよいですか。
- 支払いの入口を親が管理することです。国民生活センターは、保護者のアカウントを子どもに使わせない、ペアレンタルコントロールで利用を制限する、カード登録やキャリア決済の設定を確かめる、暗証番号を管理する、といった対策を挙げています。明細を日ごろから見ることも勧められています。
- 顔を出さなければ、配信しても安全ですか。
- それだけでは十分とは言えません。総務省の事例集は、写真や動画に写ったものから撮影場所や生活範囲が特定されることがあると注意しています。制服や窓の外の景色なども映さないようにし、やりとりが続いても個人的な話は控え、気になったら距離を置くことが勧められています。
出典・参考
- 総務省「インターネットトラブル事例集」テーマ3 動画配信に関する3つの処方せん
この出典で確認した記述
事例集トップ(https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/trouble/)の「実際にあった相談から使い方を考えよう 動画配信に関する3つの処方せん」からリンクされるページ。「相談1:投げ銭や音楽などの購入で高額の請求が…」として「クレジットカードに心当たりがない高額請求があり、問い合わせたら、ライブ配信アプリの課金だった──こんな相談が寄せられています。ライブを見ながらおひねり(チップ)を渡す『投げ銭』機能が使える配信サービスもあり、金額は100円程度~数万円までさまざまです。そのため、気づけば驚くほど高額になっている可能性もありますが、そもそもクレジットカードは名義人以外の利用は許されていません。キャリア決済もカード決済も、保護者の管理のもとで使うようにしましょう。」との記載。「相談2:視聴者から顔を見せてほしいと言われ…」として、マスク姿で配信していたら視聴者から「顔を見せてよ」といったお願いが寄せられるようになり、迷った挙句応じてしまったケースと、「承認欲求は誰にでもあり、自分を認めて応援してくれる人を失いたくない気持ちはわかりますが、1つOKすると要求がエスカレートしてトラブルになる可能性も。顔見せNGと決めて始めたなら、安全のためにも初心を貫いて!」との記載。「相談3:18歳未満ですが動画やライブ配信をして収入を得たい」として「小学生の場合、多くの配信サービスでアカウントが作れません(13歳以上が対象)。保護者のアカウントで配信する場合も、保護者同伴が条件というところもあります。」「中学・高校生は青少年保護の観点から、配信年齢、配信時間、収益(年齢による金額の制限)など配信サービスごとに決まりがあるので、きちんと調べてしっかり守ること。収入には契約が伴うため、『年齢を偽る行為=契約違反』となります。規約で18歳未満NGとなっているのなら、18歳まで待ちましょう。」との記載(3行まとめ・「子どもは何歳からライブ配信できますか」節・「投げ銭は…」節の第1・第2段落・「『顔を見せて』と写り込み」節の第1段落・図1・FAQ第1問の根拠)。同趣旨の特集ページ https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/trouble/special/feature02.html も確認した。 - 国民生活センター 子ども・若者サポート情報 第198号「ライブ配信サービスで投げ銭! 高額課金に気を付けて」(2023年7月19日)
この出典で確認した記述
事例として「クレジットカードの利用明細に、30万円以上もの身に覚えのない請求があった。調べてみると、小学生の息子が親のタブレット端末で動画投稿アプリのライブ配信を観て、投げ銭を繰り返していたことが分かった。クレジットカード情報を登録しており、息子も操作方法を見ていたので、使えてしまったようだ。(当事者:小学生)」。ひとことアドバイスとして「スマートフォンやタブレット端末などのクレジットカードの登録状況やキャリア決済の設定状況等を確認し、暗証番号の管理を徹底しましょう。」「保護者のアカウントを子どもに利用させないようにしたり、ペアレンタルコントロールを利用し、子どもの利用を制限したりすることが有効です。」「子どもが利用しているサービスやその決済の仕組みを理解し、使い方やルールについて、日ごろから家族で話し合いましょう。」「困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。」との記載(リード・3行まとめ第2項・「投げ銭は…」節の第2段落・工夫1と3・「気をつけたいこと」節・FAQ第3問の根拠)。 - 国民生活センター「子どものオンラインゲーム 無断課金につながるあぶない場面に注意!!」(2024年3月13日)
この出典で確認した記述
オンラインゲームの無断課金についての注意喚起だが、端末の決済設定に関する助言は投げ銭にも共通するものとして参照した。保護者へのアドバイスに「保護者のスマホで遊ばせる場合は、保護者のアカウント(AppleやGoogle)は必ずログオフしましょう。」「スマホのアカウント決済とキャリア決済のそれぞれに、決済時の承認(パスワード、指紋認証、顔認証など)を設定しましょう。」「子どものスマホにクレジットカード情報を入力した際は忘れずに削除してください。」「キャリア決済は必要に応じ上限額を低くしましょう。」「日頃から決済完了メールや明細を確認しましょう。」「民法では、未成年者が保護者の同意なく契約した場合は取り消すことができます。ただし、子どもが保護者のアカウントでログインしたスマホで課金した場合は、アカウントの所有者である保護者が決済を行ったとみなされる場合もあります。」「トラブルが生じた場合は、最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう。*消費者ホットライン『188(いやや!)』番」との記載(「投げ銭は…」節の第3段落・図2の手順1と2・チェックリスト第2・第3項・FAQ第2問の根拠)。 - 総務省「インターネットトラブル事例集」17 気をつけてアップしてたはずなのに
この出典で確認した記述
学習のポイントに「投稿内容から撮影場所や生活範囲が特定されると危険」、考えてみようのAに「写ったものから撮影場所が特定されることがあるので、投稿用の撮影には注意しましょう。」、Cに「SNSでのやり取りについて不安や違和感を感じたときは、必ず大人に相談しましょう。」との記載(「気をつけたいこと」節第2段落の根拠)。もっと詳しくに「特定の人に公開するつもりであっても、写真に映りこんだものや訪れた店や地域など生活範囲が推測できてしまうという意識を持つ必要があります。また、…長期間やりとりを続ければ初期の警戒心は段々薄れ、信頼感が生まれ、プライベートなことまで話すようになるのを見込んで近づいてくる人もいます。投稿・やりとりの先にある、脅迫・ストーカー・誘い出し・投資詐欺などの被害の可能性を忘れてはいけません。」「ネットだけの友達には警戒を緩めず個人的な話は控え、少しでも気になったら距離を置く」との記載(「『顔を見せて』と写り込み」節の第2段落・図1の4・FAQ第4問の根拠)。配信の画面にも同じ注意が当てはまるという適用は編集部の判断。 - 警察庁 生活安全局人身安全・少年課「令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況について」(令和8年2月公表)
この出典で確認した記述
PDF14ページ目「2-4.【SNSに起因する事犯】学職別被害児童数の推移」のグラフで、被害児童数の合計がR6 1,486、R7 1,566、うち小学生がR6 136、R7 167。同ページに「令和7年におけるSNSに起因する事犯の被害児童数は、依然として高水準で推移。小学生については、前年より約2割増加し、過去10年で最多」との記載。注記に「SNSとは、本統計では、通信ゲームを含み、届出のある出会い系サイトを除いたもの。」「SNSに起因する事犯とは、SNSを通じて面識のない被疑者と被害児童が知り合い、交際や知人関係等に発展する前に被害にあった事犯」とある(「『顔を見せて』と写り込み」節の第3段落の根拠)。ライブ配信に限った内訳はこの資料にはない。
この記事について
本記事は家庭での工夫を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。特定の機器・アプリ・設定・サービスを推奨するものでもありません。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。