3行まとめ

  1. 小学校の英語は、3・4年の外国語活動と5・6年の外国語科で目標も扱う領域も違います。前半は聞く・話すの3領域、後半はそこに読む・書くを加えた5領域です。
  2. 2年間で扱う語は600〜700語程度とされますが、解説は「これらの全てを覚えて使いこなさなければならない、ということではない」と明記しています。家庭で単語テストを課すことは、目標の側から要請されていません。
  3. 中学生の全国調査では、必要な情報を聞き取る問題が約8割できる一方、自分の考えとその理由を話す問題は2割前後まで落ちます。家庭で効きやすいのは、この部分です。

この記事でわかること

  • 3・4年の外国語活動と5・6年の外国語科は、何がどう違うのか
  • 「600〜700語」を、家庭がどう受け取ればいいのか
  • 小学校の「書くこと」の目標が、つづりの暗記ではない理由
  • 中学生の全国調査が示す、伸び悩みが集中している場所

英語だけ、何をさせればいいのか分からない

英語で困るときの形は、だいたい三つです。ドリルが毎日出るわけではなく、学校で何をやっているのかが見えないこと。自分が受けた「単語を覚え、文法を習い、和訳で確かめる」英語教育との落差。そして、英会話教室に通っている子の話が耳に入ったときの焦り。焦りが強くなると、家庭の関わり方は「確認」に寄っていきます。単語の意味を尋ね、発音を直し、書けるかどうかを試す関わりは、子どもの側からは「できないことを見つけられる時間」になりがちです。

3・4年と5・6年で、学校の英語は別のものです

最初に押さえたいのは、小学校の英語がひとつづきの教科ではないことです。3・4年生は「外国語活動」、5・6年生は教科としての「外国語科」で、中身が違います。解説は改訂前の課題として、①音声中心で学んだことが中学校で音声から文字への学習に円滑に接続されていない、②発音と綴りの関係や文構造の学習に課題がある、③高学年はより体系的な学習が求められる、の三点を挙げ、その答えとして段階を分ける方法を採りました。

中学年は「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」の三領域、高学年はそこに「読むこと」「書くこと」を加えた五領域です。3・4年生で文字が中心に出てこないのは、意図された順番です。時間は中学年が2年間で計70単位時間、高学年が計140単位時間で、決して多くはありません。

小学校の英語が学年で二つに分かれていることを示した図。3・4年生は外国語活動。聞くこと、話すことのやり取り、話すことの発表の3領域で、2年間で計70単位時間。5・6年生は外国語科で教科。読むこと、書くことを加えた5領域で、2年間で計140単位時間。合計210単位時間で600から700語程度の語を扱う。
図1:中学年は音声で慣れ親しむ段階、高学年でそこに文字が加わります。(文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語活動・外国語編」より作成)

「600〜700語」は、全部覚える宿題ではない

小学校の英語について必ず出てくるのが語数です。解説は高学年の2学年間に指導する語を「600〜700語程度」としていますが、家庭に伝わるときには「小学校のうちに700語覚えなければならない」に変わってしまいます。

けれど解説は、その受け取り方を先回りして否定しています。これは発信語彙と受容語彙の両方を含めた語彙サイズであり、「これらの全てを覚えて使いこなさなければならない、ということではない」と書かれています。「600語」は下限、「700語」は目安であって上限の趣旨ではないとも。子どもが単語を思い出せなくても、それは遅れではありません。

「書くこと」の目標は、つづりを覚えることではない

高学年で「書くこと」が入ると家庭の不安が高まりますが、目標は限定的です。「大文字、小文字を活字体で書くことができるようにする。また、語順を意識しながら音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を書き写すことができるようにする」「(中略)例文を参考に(中略)書くことができるようにする」。何も見ずにつづりを再現することは、この段階の目標に入っていません。

「読むこと」も同じ考え方で、解説は「推測しながら読む」を、音声で十分に慣れ親しんだ単語が文字のみで提示された場合にその読み方を推測して読むこと、と説明しています。目指されているのは、すでに音として持っている語を文字と結び直す作業です。

その先で、子どもたちはどこで止まっているか

次に、その先で実際に何が起きているか。国立教育政策研究所の全国学力・学習状況調査は英語を中学校3年生に実施しており、令和8年度は「聞くこと・読むこと・書くこと」が約86万人を対象に行われました。

結果は、できている場所とそうでない場所がきれいに分かれます。アナウンスを聞いて行くべき階を選ぶ問題は78.7%、メールを読んで時刻を選ぶ問題は72.8%。ところが一段深くなると、発表を聞いて概要を捉える問題は44.4%、物語を読んで気持ちの変化を捉える問題は49.2%、書き手が最も伝えたいことを選ぶ問題は48.1%まで落ちます。

いちばん大きく落ちるのは、自分から出力する場面です。おすすめの季節を一つ挙げて理由を話す問題の正答率は21.5%、書くほうも28.5%で、無解答率は13〜17%にのぼります。この落差は、単語を知らないから生じているのではありません。報告書も、メモを活用せずに簡単な発表を繰り返し、徐々に発話する量を増やしていくことが大切だとしています。

「好き」が下がるのは、小学校から中学校のあいだ

同じ調査の質問紙も見ておきます。「英語の勉強は好きですか」に肯定的に答えた小学校6年生は66.6%、中学校3年生は51.5%です。ただし別の集団で、教科の難易度も評価の重みも違うため単純な因果には結びつきません。家庭にとって意味があるのは、小学生の時点では英語への気持ちが比較的良好だという事実のほうです。

「授業以外で英語を使う機会がありましたか」に肯定的に答えた小6は46.4%でしたが、設問が例示しているのは英会話教室だけではなく、英語のテレビや動画を見る、端末で他者と交流するなども並びます。なお中学生の英語力は長期的には上向いており、CEFR A1レベル(英検3級)相当以上の中3の割合は令和6年度で52.4%です。

家庭でできる3ステップ

ここまでを家庭の行動に落とします。順番には意味があり、学校が音声から文字へ進む流れに合わせています。

家庭で英語を支える3つのステップを示した図。1つ目は音に触れる回数を増やす。意味を尋ねず、聞き流せる時間を作る。2つ目は音と文字が出会う場面を作る。すでに知っている語が文字で現れる機会を増やし、書かせて試さない。3つ目は理由を一つ添える習慣を作る。日本語でよいので、好きなものとその理由をセットで話す。
図2:学校の設計と同じ順番で、家庭の関わりも音から始めます。

①音に触れる回数を増やし、意味を尋ねない。教科書の音声、学習用端末の教材、英語の歌やアニメ。大事なのは、聞いたあとに「今の何て言ってた?」と確認しないことです。確認が入った瞬間、聞き流せる時間はテストの時間に変わります。②音と文字が出会う場面を作り、書かせて試さない。教科書を一緒に眺めて「これ、聞いたことある形だね」と指さす程度で十分です。③理由を一つ添える習慣を、日本語で作る。「今日の給食で一番よかったのは?」に答えが返ってきたら「どうして?」ともう一手だけ足す。日本語で言えるようになるのが先です。

家庭で試す3つの工夫

  • ①「意味を聞く」を「一緒に真似する」に置き換える:「どういう意味?」は確認であって練習ではありません。代わりに同じ言い方を親も真似してみます。発音が正確である必要はなく、むしろ親が下手なほうが子どもは口を動かしやすくなります。
  • ②「授業以外で英語に触れた」の中身を広く数える:全国調査の設問が例示しているのは英会話教室だけでなく、英語のテレビや動画を見る、端末で他者と交流するなど幅広い活動です。家で英語の動画を見た日も、この「機会」に入ります。
  • ③中学入学の前に、音のまま持ち越してよいと伝える:小学校で扱った語は中学校でも繰り返し学ぶ中心的語彙とされています。書けない語があっても、聞けば分かるなら持ち越してよい財産です。

声かけの言い換え例

「この単語、書ける?」→ 高学年の目標は「書き写す」「例文を参考に書く」まで。白紙からの再現は一段難しい課題になる。

「これ、教科書のどこに出てきた?」→ 音で知っている語を文字と結び直す作業になり、学校の設計と同じ向きに働く。

「発音が違うよ、もう一回」→ 声に出すこと自体をためらわせる。慣れ親しむ段階で回数が減るのは避けたい。

「へえ、そう言うんだ。お母さんも言ってみる」→ 親が真似すると子どもがもう一度口を動かす。

家庭で確認するチェックリスト

  • 3・4年と5・6年で学校の英語の中身が違うことを知っている。
  • 「600〜700語」を、全部覚えるべき課題として受け取っていない。
  • 英語に触れた時間のあとに、意味の確認を挟んでいない。
  • 書けるかどうかを試すより、音で出会う回数を優先している。
  • 「どうしてそう思ったの?」と理由を尋ねる場面が、日本語の会話の中にある。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

ここで紹介したのは、学習指導要領の解説と全国調査から読み取れる一般的な考え方です。実際の授業の進め方や教材は学校や自治体によって違い、学校からの案内と食い違う場合は目の前の学校の説明が優先します。特定の教材や学習サービスをすすめるものではありません。

英語のつまずきが目立つとき、その背景に読み書きそのものの難しさが関わっている場合があります。日本語の読み書きでも同じような様子が見られる、練習の量に対して定着が極端に進まないといったことが続くようであれば、担任の先生や特別支援教育コーディネーターに相談する選択肢があります。大切なのは、家庭で判断や診断をしないことです。学習指導要領や調査結果は改訂・更新により変わるため、最新の情報は文部科学省などの公式サイトでご確認ください。

出典・参考

  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語活動・外国語編」(平成29年7月)
    https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387017_011.pdf(確認日 2026-08-17)。
    この出典で確認した記述
    改訂前の課題として「音声中心で学んだことが,中学校の段階で音声から文字への学習に円滑に接続されていない」「日本語と英語の音声の違いや英語の発音と綴りの関係,文構造の学習において課題がある」「高学年は,児童の抽象的な思考力が高まる段階であり,より体系的な学習が求められる」が挙げられ、これを踏まえて「小学校中学年から外国語活動を導入し,『聞くこと』,『話すこと』を中心とした活動を通じて外国語に慣れ親しみ外国語学習への動機付けを高めた上で,高学年から発達の段階に応じて段階的に文字を『読むこと』,『書くこと』を加えて総合的・系統的に扱う教科学習を行う」とされたこと、中学年の外国語活動が「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」の三つの領域、高学年の外国語科が「読むこと」「書くこと」を加えた五つの領域であり「これは,児童が中学年で初めて外国語に触れることに配慮したものである」とされていること、「第3学年及び第4学年においては外国語活動として2年間,計70 単位時間,第5学年及び第6学年においては教科として2年間,計140 単位時間,合計210 単位時間をかけて指導することとなり」との記述、指導する語が「第3学年及び第4学年において第4章外国語活動を履修する際に取り扱った語を含む600 〜700 語程度の語」であり「この600 〜700 語というのは後述する発信語彙と受容語彙の両方を含めた語彙サイズであり,これらの全てを覚えて使いこなさなければならない,ということではない」「『600語』とは小学校の外国語活動及び外国語科で指導する語数の下限を,『700 語』とは指導で取り扱う一定の目安となる語数を示したものであり,700 語程度を上限とするという趣旨ではない」「中学校に行ってからも繰り返し学ぶことが期待される中心的語彙」とされていること、高学年「書くこと」の目標「大文字,小文字を活字体で書くことができるようにする。また,語順を意識しながら音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を書き写すことができるようにする」「自分のことや身近で簡単な事柄について,例文を参考に,音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を用いて書くことができるようにする」、および「推測しながら読む」の説明(音声に十分に慣れ親しんだ単語が文字のみで提示された場合にその読み方を推測して読むこと。動物園の絵のそばの zoo、book の b の発音から bed を推測する例)の根拠。
  • 国立教育政策研究所「令和8年度 全国学力・学習状況調査 報告書【中学校/英語】」(令和8年8月3日公表)
    https://www.nier.go.jp/26chousakekkahoukoku/report/middle_eng.html(確認日 2026-08-17)。
    この出典で確認した記述
    調査が学習指導要領の五つの領域すべてから出題され中学校第2学年までの内容としていること、「聞くこと・読むこと・書くこと」の3技能は令和8年4月20日〜24日、「話すこと」は4月24日〜27日に実施されたこと、比較的できている点として日常的な話題について目的に応じて必要な情報を聞き取る・読み取ることが挙げられ、課題のある点として話を聞き概要を捉えること、短い文章を読み要点を捉えること、考えとその理由を書くこと、まとまりのある文章を書くこと、まとまりのある内容を話すことが挙げられていること、および問題別正答率(ショッピングセンターのアナウンスを聞き行くべき階を選択78.7%、学校見学の説明を聞き行くべき場所を選択76.3%、誕生日パーティーのメールを読み時刻を選択72.8%、職場体験の発表を聞き順に絵を選択44.4%、物語を読み気持ちの変化を選択49.2%、書き手が最も伝えたいことを選択48.1%、読んだことについて考えとその理由を書く28.4%・無解答14.4%、学校で普段行うことの説明を書く28.5%・無解答14.0%、自分のまちを訪れるのにおすすめの季節と理由を話す21.5%・無解答13.5%、聞いたことについて考えとその理由を話す25.8%・無解答17.0%)、指導改善のポイントにおける「即興で伝え合う」の定義(原稿を事前に用意して覚えたり練習したりする準備時間を取ることなく不適切な間を置かずに伝え合うこと)および「メモを活用せずに,簡単な『話すこと[発表]』の活動を繰り返し行い,徐々に発話する量を増やしていくことが大切」「4文,5文と話す内容が増えてくると,話す内容や構成を整理する必要が出てくる」との記述の根拠。
  • 国立教育政策研究所「令和8年度 全国学力・学習状況調査 報告書【質問調査】」(令和8年8月3日公表)
    https://www.nier.go.jp/26chousakekkahoukoku/report/data/26qn.pdf(確認日 2026-08-17)。
    この出典で確認した記述
    「英語の勉強は好きですか」への回答について、小学校第6学年が令和8年度で「当てはまる」37.8%・「どちらかといえば、当てはまる」28.8%・「どちらかといえば、当てはまらない」19.0%・「当てはまらない」13.7%(令和6年度38.2%と31.1%、令和5年度38.6%と30.6%、令和3年度38.3%と30.0%)、中学校第3学年が令和8年度で24.8%・26.7%・25.6%・22.4%(令和5年度25.5%と26.8%、令和3年度28.9%と28.0%、平成31年度29.2%と27.1%)であること、および「これまで、学校の授業以外で、英語を使う機会がありましたか(地域の人や外国にいる人と英語で話す、英語で手紙や電子メールを書く、英語のテレビや動画、ホームページを見る、PC・タブレットなどのICT機器を利用して他者と英語で交流する、英会話教室に通うなど)」への小学校第6学年の回答が令和8年度で26.0%・20.4%・23.5%・27.7% であることの根拠。
  • 文部科学省「令和6年度『英語教育実施状況調査』の結果について」(調査基準日 令和6年12月1日)
    https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1415043_00013.htm(確認日 2026-08-17)。
    この出典で確認した記述
    CEFR A1レベル(英検3級)相当以上の英語力を有すると思われる生徒を含む中学校第3学年の割合が令和6年度52.4%(令和5年度50.0%、平成25年度32.2%)であり、第4期教育振興基本計画(令和5〜9年度)が中学校卒業段階でCEFR A1レベル相当以上を達成した中学生の割合6割以上、すべての都道府県・政令指定都市において5割以上を目標としていること、高等学校でCEFR A2レベル相当以上が51.6%であること、英語担当教師のCEFR B2レベル相当以上の割合が中学校46.2%・高等学校82.2%であること、および「生徒の英語力には、英語による言語活動、教師の英語使用・英語力、ALTとの授業外活動等が影響」との分析結果の根拠。
  • 文部科学省「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」(30文科初第1845号・平成31年3月29日)
    https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1415169.htm(確認日 2026-08-17)。
    この出典で確認した記述
    指導要録の主な改善点として「小学校及び特別支援学校(視覚障害,聴覚障害,肢体不自由又は病弱)小学部における『外国語活動の記録』については,従来,観点別に設けていた文章記述欄を一本化した上で,評価の観点に即して,児童の学習状況に顕著な事項がある場合にその特徴を記入することとしたこと」とされていること、および学習評価の結果の活用に際して分析的に把握する観点別学習状況の評価と総括的に捉える評定の双方の特長を踏まえることが重要であるとされていることの根拠。

この記事について

本記事は家庭での工夫を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。研究知見や公的資料は「一つの考え方」として紹介しており、家庭ごとに合う・合わないがあります。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

筆者コメント