3行まとめ

  • 日の入りの前後1時間は死亡事故が多い時間帯。10〜12月の夕暮れ時の「自動車対歩行者」の死亡事故は、7〜9月の約2.0倍になる。
  • 歩行中の小学生の死者・重傷者は10月が最も多い。歩く側から車が見えていても、運転者からは子どもが見えていないことがある。
  • 反射材をいつも持つ物に付け、暗くなる季節の帰り道と時間を親子で決め直す。自転車は夜間のライトが決まり。

この記事でわかること

  • 夕暮れ時の交通事故が、いつ、どんな形で増えるか
  • 子どもの歩行中の事故が10月に多いこと
  • 反射材とライトの効果と、付ける場所
  • 暗くなる季節に、帰り道の決めごとをどう見直すか

17時の帰り道が、もう暗い

小学5年生の息子は、週に2回、駅前のスイミングに通っています。夏休みのころは帰りの17時半でも外は明るく、一人で歩いて帰らせることに迷いはありませんでした。10月の終わりのある日、仕事の帰りに同じ道を通ると、街灯の少ない区間はもう足元が見えにくく、黒いジャンパーの子どもが道路を渡る姿に、車のライトが当たるまで気づきませんでした。家で話すと、息子は「車のライトは見えているから平気」と言います。

帰る時間も道も、春に決めたときのままです。変わったのは、外の明るさだけでした。季節が変わると、同じ帰り道でも見直すところが出てきます。

夕暮れ時の事故は、秋から年末に増える

警察庁は、日の入り時刻の前後1時間を「薄暮時間帯」と呼び、例年、交通死亡事故が多く起きている時間帯だとしています。周りが少しずつ見えにくくなり、車や自転車、歩行者がお互いを見つけるのが遅れ、距離や速度もわかりにくくなるためです。令和3年から7年の5年間の分析では、死亡事故は日の入りと重なる17時台から19時台に多く起きていました。

薄暮時間帯は1日のうち2時間ほどですが、この5年間に死亡事故が1,555件起きています。この時間帯に最も多いのは、自動車と歩行者がぶつかる事故です。そのうち、自動車対歩行者は771件で約5割を占め、昼間の約2割より高い割合でした。事故の約8割は道路を横断している最中で、横断した場所の約7割は横断歩道以外でした。

季節による差もはっきりしています。令和8年秋の全国交通安全運動にあわせた警察庁の資料では、夕暮れ時の死亡事故は10〜12月の合計が589件で、7〜9月の348件の約1.7倍でした。夕暮れ時の自動車対歩行者の死亡事故に限ると、10〜12月は7〜9月の約2.0倍になります。日の入りが急に早まるこの時期は、ふだんと同じ時刻に外を歩いていても、周りの明るさが大きく変わっています。

子どもの歩行中の事故は、10月が最も多い

同じ資料は、子どもの事故にも触れています。令和3年から7年の合計で、歩行中に亡くなったり重いけがをしたりした小学生は、月別に見ると10月が202人で最も多くなっていました。夏休みのある8月は93人でした。歩行者全体で見ると、死者・重傷者のうち夜間に起きた割合は6月の29.1%から、10月は50.6%、12月は58.9%まで上がります。

内閣府がまとめた令和8年秋の運動の推進要綱は、歩行中の児童の死者・重傷者のうち登下校中が約4割を占めると述べています。残りの約6割は、遊びや習い事、買い物など、それ以外の外出の途中ということになります。通学路だけでなく、放課後に子どもが一人で歩く道も、季節に合わせて見直す対象になります。

夕暮れ時の交通事故の数字をまとめた図。薄暮時間帯は日の入り時刻の前後1時間。薄暮時間帯の死亡事故の約5割が自動車対歩行者で、その約8割が横断中。10〜12月の夕暮れ時の自動車対歩行者の死亡事故は7〜9月の約2.0倍。歩行中の小学生の死者・重傷者は10月が最多の202人。
図1:警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」と「令和8年秋の全国交通安全運動の実施について」をもとに作成(いずれも令和3〜7年の合計)。

反射材は、どのくらい見えやすくなる?

警察庁は、反射材を着けた歩行者は、着けていない歩行者より2倍以上手前で運転者から見つけられるといわれていると紹介しています。反射材は、車のライトの光を光源の方向へそのまま返す「再帰性反射」をする素材で、運転者からは明るく光って見えます。

大切なのは、歩く側と運転する側の見え方の違いです。警察庁は、歩行者や自転車から車が近づいているのが分かっていても、運転者からは歩行者や自転車がよく見えないことがあると注意しています。子どもが「車が見えていたから大丈夫」と思っていても、相手が自分に気づいているとは限りません。そのため、明るく目立つ色の服を着ることと、靴、服、かばんなどに反射材やライトを付けることがすすめられています。反射材には、リストバンドやたすき、靴のかかとやかばんに貼るシートなどがあります。

自転車で帰る子は、ライトが決まり

自転車で塾や習い事に通う子もいます。道路交通法は、日没から日の出までを「夜間」とし、車両は夜間に道路を通るとき、前照灯や尾灯などの灯火をつけなければならないと定めています。自転車も車両に含まれます。また、夜間は基準に合う反射器材を備えていない自転車を運転してはならず、尾灯をつけている場合はこの限りでないとされています。薄暮時間帯のうち日の入り後の1時間は、法律の上ではもう「夜間」です。警察庁も、反射材が外れたり汚れたりしていないか、尾灯がきちんと点くかを定期的に確かめるよう呼びかけています。

暗くなる季節の帰り道を親子で見直す4つのステップの図。1は日の入り後に帰り道を一緒に歩き、暗い場所と横断する場所を確かめる。2はランドセルや習い事のバッグ、靴に反射材を付ける。3は帰る時間と道を決め直し、横断は横断歩道で渡る。4は自転車のライトと反射器材を点検する。
図2:警察庁と内閣府の資料をもとに、帰り道の見直しを4つのステップにまとめたもの。

日の入りが早まるこの時期に、帰り道の決めごとを一度だけ見直す時間をとってみてください。

家庭で試す3つの工夫

  1. 暗くなってから帰り道を一緒に歩く:休みの日の夕方、子どもが帰る時刻に同じ道を歩き、街灯が少ない区間や、横断歩道のない所を渡りたくなる場所を親子で確かめます。
  2. 反射材は「いつも持つ物」に付ける:その日に着る服に付けると付け忘れが出ます。ランドセル、習い事のバッグ、靴のかかとなど、毎回使う物に付けておくと続けやすくなります。
  3. 冬の間の帰り方を決め直す:明るい道へのルート変更、帰る時刻を早める、迎えの日を決めるなど、春に決めた帰り方を季節に合わせて書き換えます。

子どもに伝えるときは、「危ない」だけでなく、運転者からどう見えるかを添えると伝わりやすくなります。

声かけの言い換え例

  • 「暗いから気をつけてね」→何に気をつけるか伝わらない。「車が見えていても、運転している人には見えていないことがあるんだよ」。
  • 「早く帰ってきなさい」→急いで渡りたくなる。「遅くなりそうなら連絡してね。急がなくていいから、横断歩道で渡ってね」。
  • 「反射材、ちゃんと付けた?」→答えが「うん」で終わる。「どこに付けたか、見せてくれる?」。
  • 「ライトは面倒でもつけて」→理由が伝わらない。「暗くなったら、ライトをつけるのが自転車の決まりなんだよ」。

暗くなる季節の前に確かめたいこと

  • 子どもが帰る時刻に、外がどのくらい暗いかを知っているか。
  • 帰り道の暗い区間と、横断する場所を親子で確かめたか。
  • ランドセルやバッグ、靴に反射材が付いているか。
  • 自転車の前照灯と尾灯が点き、反射器材が汚れていないか。
  • 遅くなるときの連絡方法と、迎えに行く日を決めたか。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

この記事は公表された統計と公的な注意喚起を整理したもので、個々の道の危険度を判断するものではありません。反射材やライトは運転者に見つけてもらいやすくする道具で、それだけで事故を防げるわけではありません。横断歩道を渡る、信号に従う、車の直前や直後を横切らないといった基本も、あわせて伝えてください。

帰り道に見通しの悪い交差点や、歩道のない区間、車の速度が出やすい道があって気になるときは、学校や地域の警察署、市区町村の道路の担当に相談する方法があります。通学路の点検の仕組みは登下校の安全の記事で、自転車のヘルメットや保険は自転車の記事で整理しています。

事故にあったときは、けがが軽く見えても、子どもには近くの大人に助けを求め、親に連絡するよう伝えておきます。けががあるときや迷うときは、119番や110番をためらわないでください。

よくある質問

夕方の何時ごろが、いちばん事故が多いのですか。
日の入り時刻の前後1時間(薄暮時間帯)です。警察庁の令和3〜7年の分析では、死亡事故は日の入りと重なる17時台から19時台に多く、この時間帯は自動車と歩行者の事故の割合が昼間より高くなっていました。
反射材を付けると、どのくらい見えやすくなりますか。
警察庁は、反射材を着けた歩行者は着けていない歩行者より2倍以上手前で運転者から見つけられるといわれていると紹介しています。靴、服、かばんなど、車のライトが当たりやすい場所に付けるのが一つの方法です。
子どもの歩行中の事故は、何月に多いですか。
警察庁の令和3〜7年の合計では、歩行中に亡くなったり重いけがをしたりした小学生は10月が202人で最も多くなっていました。日の入りが早まる時期でもあり、帰り道の見直しに向いた時期といえます。
自転車のライトは、いつからつければよいですか。
道路交通法では、日没から日の出までの夜間は灯火をつけなければならないとされています。警察庁は、薄暮時間帯は周りが見えにくくなり始めるとして、早めにライトを使うよう呼びかけています。

出典・参考

  • 警察庁交通局「令和8年秋の全国交通安全運動の実施について」(令和8年9月10日)
    https://www.npa.go.jp/news/release/2026/R8akinoundou_koutuujikobunseki.pdf(確認日 2026-10-25)。
    この出典で確認した記述
    PDF1頁「4 運動重点に関連する交通事故の特徴」に「10月以降、夜間の歩行中死者・重傷者数が大幅に増加」「歩行中死者・重傷者数は児童は10月が最多、高齢者は12月が最多」「10月以降、夕暮れ時の死亡事故件数が増加」、注「令和3年から7年までの交通事故死者・重傷者数及び交通死亡・重傷事故件数を分析したもの」。PDF3頁のグラフ「月別・昼夜間別歩行中死者・重傷者数の推移【令和3年~7年合計】」の夜間の割合は1月55.4%、6月29.1%、10月50.6%、11月57.0%、12月58.9%。同頁「歩行中児童(小学生)の月別死者・重傷者数の推移【令和3年~7年合計】」は1月から順に128・126・137・171・185・183・146・93・152・202・153・166人(10月202人が最多、8月93人)。PDF4頁「夕暮れ時における月別交通死亡事故件数」【7~9月】計348件、【10~12月】計589件、「10月~12月の夕暮れ時の死亡事故は、7月~9月の約1.7倍」、「夕暮れ時における自動車対歩行者死亡事故件数の月別比較」7月~9月157件・10月~12月316件、「10月~12月の夕暮れ時の自動車対歩行者事故は7月~9月の約2.0倍であり、横断歩道以外横断が多い」。注「ここでいう「夕暮れ時」とは、日の入り時刻の前後1時間をいう」(3行まとめ・本文「夕暮れ時の事故は、秋から年末に増える」「子どもの歩行中の事故は、10月が最も多い」・図1・FAQ第3問の根拠)。
  • 警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」
    https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html(確認日 2026-10-25)。
    この出典で確認した記述
    「薄暮時間帯は、例年、交通死亡事故が多く発生しています。この時間帯は、周囲の視界が徐々に悪くなり、自動車や自転車、歩行者などの発見がお互いに遅れたり、距離や速度が分かりにくくなるためです」、注「薄暮時間帯とは、日の入り時刻の前後1時間をいいます」。令和3年から令和7年の5年間の分析として「日の入り時刻と重なる17時台から19時台に多く発生していること」「薄暮時間帯には、自動車と歩行者が衝突する事故が最も多く発生しており、事故類型別では、横断中が約8割を占めていること」「横断場所の内訳では、横断歩道以外での発生が約7割で、横断歩道以外の横断における歩行者の約7割に法令違反があること」。「歩行者や自転車利用者から見て自動車が接近してきていることが分かっても、自動車運転者からは歩行者や自転車がよく見えないことがあります。そのため、明るい目立つ色の衣服を着用したり、靴、衣服、カバン、つえなどに反射材・ライトをつけたり」。同ページ掲載の分析資料(img/hakubo/7-2.pdf)では、薄暮時間帯の死亡事故計1,555件のうち自動車×歩行者771件(50%)、昼間(薄暮時間帯を除く)計6,308件のうち自動車×歩行者1,323件(21%)。7-3.pdf では薄暮時間帯の自動車対歩行者死亡事故計758件のうち横断中646件(85%)、横断歩道以外443件(69%)(本文「夕暮れ時の事故は、秋から年末に増える」「反射材は、どのくらい見えやすくなる?」・図1・FAQ第1・4問の根拠)。
  • 警察庁「反射材・ライト ~薄暮・夜間はつけた光が命を守る~」
    https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/reflector.html(確認日 2026-10-25)。
    この出典で確認した記述
    「歩行者や自転車利用者が薄暮や夜間に交通事故に遭わないようにするためには、反射材用品やLEDライト等を活用することが効果的です」。「ここでいう反射材とは、再帰性の反射(注)をする素材を指します」「自動車運転者から見て、「反射材を着用している歩行者」は「着用していない歩行者」よりも2倍以上手前で発見できるといわれています」。反射材用品の例として反射リストバンド、反射ジャンパー、反射カバン、靴のかかと等に貼る反射シート、カバンに貼る反射シート。「自転車は道路交通法で車両後部に反射材か尾灯を付けることを義務付けられています。定期的に車体を点検して反射材が外れたり、汚れたりしていないか、尾灯がきちんと点灯するかどうかを点検しましょう」(本文「反射材は、どのくらい見えやすくなる?」「自転車で帰る子は、ライトが決まり」・FAQ第2問の根拠)。
  • 道路交通法(昭和35年法律第105号)第52条・第63条の9(e-Gov法令検索)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105(確認日 2026-10-25)。
    この出典で確認した記述
    e-Gov 法令API(law_data/335AC0000000105)で条文を取得して確認。第52条第1項「車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」。第63条の9第2項「自転車の運転者は、夜間(第五十二条第一項後段の場合を含む。)、内閣府令で定める基準に適合する反射器材を備えていない自転車を運転してはならない。ただし、第五十二条第一項前段の規定により尾灯をつけている場合は、この限りでない」(本文「自転車で帰る子は、ライトが決まり」・FAQ第4問の根拠)。
  • 内閣府 中央交通安全対策会議 交通対策本部「令和8年秋の全国交通安全運動推進要綱」(令和8年7月1日)
    https://www8.cao.go.jp/koutu/keihatsu/undou/r08_aki/youkou.html(確認日 2026-10-25)。
    この出典で確認した記述
    「交通事故による幼児・児童の死者・重傷者では歩行中や自転車乗用中の割合が高く,特に,歩行中児童の死者・重傷者は登下校中の割合が全体の約4割を占めるなど,依然として通学路や地域住民の日常生活に使用される生活道路においてこどもが危険にさらされている状況」。「日の入り時刻が急激に早まる秋口以降は前述のとおり,夕暮れ時から夜間にかけて重大事故が多発する傾向にあり,その多くが歩行者事故である」。推進事項として「全ての年齢層を対象とした反射材用品,LEDライト,明るい目立つ色の衣服等の視覚効果等の周知と自発的な着用を促す取組の推進」「夕暮れ時の早めのライト点灯の徹底と自転車の視認性を向上させるための反射用品等の取付けを促す取組の推進」(本文「子どもの歩行中の事故は、10月が最も多い」・図2の根拠)。

この記事について

本記事は家庭での準備を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や、制度の可否を判断するものではありません。研究知見や公的資料は「一つの考え方」として紹介しており、家庭や地域ごとに合う・合わないがあります。気になる場合は、専門機関・学校・自治体にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

筆者コメント