「最近、子どもとの会話が減ったな…」「思春期の子どもと、何を見ていいか分からない…」そんな悩みを抱えていませんか?少し前までは何でも話してくれたのに、気づけばスマホばかり。共通の話題を見つけるのも一苦労ですよね。そんな時、映画やゲームといったエンタメ作品は、親子の間に新しい会話と共感を生む最高のきっかけになります。今回は、ティーンカルチャーに詳しい編集長が、小学生高学年から高校生のお子さんと、親が一緒になって本気で楽しめる、少し大人向けのエンタメ作品を3つ厳選しました。単なる娯楽で終わらない、心に残る体験をしてみませんか?
スパイダーマン:スパイダーバース
| ジャンル | アニメーション / アクション / SF映画 |
| ターゲット年齢 | 中学生~高校生 |
親子で語り合いたいポイント
「誰だって、ヒーローになれる」。このシンプルで力強いメッセージを、革新的な映像表現で描ききった傑作です。主人公は、ブルックリンに住むごく普通の少年マイルス・モラレス。警察官である父親の大きな期待にプレッシャーを感じ、自分の将来に漠然とした不安を抱える姿は、多くのティーンが共感する部分でしょう。そんな彼が、ひょんなことからスパイダーマンの能力を手に入れ、悩みながらも「自分だけのヒーロー像」を見つけていく成長物語は、思春期の子どもを持つ親にとって非常に示唆に富んでいます。「親の期待」と「自分のやりたいこと」の間で揺れるマイルスの葛藤について、「あなたはどう思う?」と問いかけてみるのも良いでしょう。また、本作の大きな魅力は、様々な次元から集まった多様なスパイダーマンたちの存在です。見た目も性格も能力も全く違う彼らが、それぞれの「らしさ」を尊重し、協力して困難に立ち向かう姿は、多様性を受け入れることの大切さを教えてくれます。コミックがそのまま動き出したかのようなアーティスティックな映像は、親子で「この表現すごいね!」と語り合うだけでも盛り上がること間違いなし。見終わった後には、きっとお子さんの「なりたい自分」について、前向きな対話ができるはずです。
サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜
| ジャンル | ドラマ映画 |
| ターゲット年齢 | 中学生~高校生 |
親子で語り合いたいポイント
もし、ある日突然、自分のアイデンティティそのものだったものを失ったら?本作は、ヘヴィメタルバンドのドラマーが聴覚を失うという、非常に重いテーマを扱っています。主人公のルーベンにとって、「音」は人生そのものでした。その全てを奪われた彼の絶望と焦燥感は、観る者の胸に突き刺さります。しかし、この映画の真髄は、失ったものを取り戻そうともがく物語ではなく、聴覚障害者のコミュニティで過ごす中で、彼が「静寂の中にある豊かさ」に気づき、新たな自分を受け入れていく過程にあります。特に、観客がルーベンの聴こえ方を追体験できる巧みな音響設計は圧巻です。この作品を通じて親子で語り合いたいのは、「幸せの形は一つではない」ということです。人生には、受験の失敗や人間関係の悩みなど、思い通りにいかないことがたくさんあります。そんな時、失ったものばかりに目を向けるのではなく、今あるものの中でどう生きるか、どう楽しむか。ルーベンの静かな決断は、変化を受け入れ、前に進むことの尊さを教えてくれます。少しシリアスなテーマですが、人の痛みを想像する力や、逆境への向き合い方について、深く話し合うきっかけとなる、記憶に残る一作です。
パーム・スプリングス
| ジャンル | ロマンティック・コメディ / SF映画 |
| ターゲット年齢 | 中学生~高校生 |
親子で語り合いたいポイント
「もし、永遠に同じ一日を繰り返すことになったら?」という、SFの定番設定を使いながら、人生の意味を軽やかに、そして深く問いかけるユニークな一作です。結婚式の日を無限にループする男ナイルズは、全てを諦め、刹那的な享楽に身を任せていました。そんな彼の前に、同じくループに巻き込まれてしまった女性サラが現れることで、退屈な「永遠の今日」が色づき始めます。本作の面白さは、笑えるコメディでありながら、「時間」や「人間関係」について考えさせられる点にあります。何をやってもリセットされる世界で、彼らは何に価値を見出すのか。誰かと深く関わることの意味とは何か。物語が進むにつれて、ナイルズとサラが抱える現実での後悔や孤独が明らかになり、単なるラブコメではない深みを見せていきます。「もし自分がループしたら何をする?」と親子で話し合えば、きっと面白い答えが返ってくるでしょう。「毎日ゲーム三昧!」から、「普段できないことに挑戦する」まで、その答えからお子さんの価値観や興味を知るヒントが得られるかもしれません。明日が来るという当たり前の日常の尊さ、そして困難な状況でも誰かと一緒なら希望を見出せるというメッセージは、観る人に温かい勇気を与えてくれます。

まとめ
今回ご紹介した3作品は、それぞれ全く異なるジャンルでありながら、いずれも観終わった後に「ねえ、あのシーンどう思った?」と会話が始まるような、豊かなテーマを持っています。アイデンティティの探求、逆境の受容、そして人生の意味。エンターテインメントを入り口に、普段はなかなか話せないような深い対話をしてみませんか。ぜひ、この機会にお子さんと一緒に作品を楽しみ、新しい共通の話題を見つけてみてください。
※免責事項:本記事で紹介する作品の対象年齢(レーティング)や配信状況は、記事作成時点のものです。視聴・購入の際は、公式サイトや各プラットフォームで最新の情報をご確認ください。また、作品のテーマに触れる上で、軽微なネタバレを含む場合がありますのでご了承ください。

