3行まとめ

  • 東京消防庁管内の5年間で171人が救急搬送された。「ころぶ」が71人で4割を超え、入院が必要とされる中等症以上も36人いる。
  • 自転車に乗りながらの通話と画面の注視は道路交通法で禁止されている。手に持って使った場合の反則金1万2,000円は、自転車の反則金では最も高い。
  • 青切符の対象は16歳以上で、16歳未満は原則として指導警告。罰の重さではなく危険の中身を家庭で共有したい。

この記事でわかること

  • 歩きスマホでどんなけがが、どこで起きているのか(救急搬送データの中身)
  • 自転車のながらスマホが道路交通法でどう扱われ、いくらの反則金になるのか
  • 16歳以上と16歳未満で、警察の対応がどう分かれるのか
  • 移動中のスマホについて家庭で決められることと、声かけの言い換え

「歩きながら」は、いつの間にか始まっている

駅の改札を出たところで通知が鳴り、子どもが画面を開いたまま歩き出す。信号待ちで見はじめて、青になっても顔が上がらない。塾へ向かう自転車で、片手のまま返信している。どれも本人には「ちょっとだけ」です。

東京消防庁が公開している事故事例のなかに、10歳代のこんな一件があります。スマートフォンを見ながら駅のホーム上を歩行していたところ、踏み外して軌道敷に転落し、腰部を受傷した。診断は中等症、つまり入院が必要とされた区分です。危ないと思っていなかった数十歩のあいだに起きていることが、この短い記述からは読み取れます。

「見ながら歩かない」と言うだけなら簡単です。ただ、子どもの側には返信を待たせたくない事情があります。注意の量ではなく、どこで画面を閉じるかという段取りの話にしたほうが続きます。

公的情報の見方 ― 救急搬送データと道路交通法

まず、けがの実態です。東京消防庁は「歩きスマホ等に係る事故」を、歩きながら、あるいは自転車に乗りながらスマホ等の画面を見る・操作する事故として集計しています。管内(東京都のうち稲城市と島しょ地区を除く地域)で、令和3年から令和7年までの5年間の救急搬送は171人。直近の令和7年は43人でした(速報値)。

中身を見ると、何が起きているかが具体的になります。事故種別では「ころぶ」が71人で全体の4割以上を占め、次いで「落ちる」が47人、「ぶつかる」が46人。発生場所は「道路・交通施設」が119人で約7割にのぼり、歩道や駅で多く起きています。初診時の程度は8割近くが軽症でしたが、36人は入院の必要があるとされる中等症以上と診断されました。

次に、法律のほうです。自転車を運転するときに携帯電話やスマートフォンを使って通話したり、表示された画像を注視したりすることは、道路交通法第71条第5号の5で禁じられています。警察庁の資料によれば、実際に交通の危険を生じさせたときは「携帯電話使用等(交通の危険)」として1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。手に保持して通話したときや画面を注視したときも「携帯電話使用等(保持)」という反則行為にあたり、反則金は1万2,000円です。これは自転車の反則金のなかで最も高額だと同じ資料に明記されています。

移動中のスマホをめぐる公的情報を3つのブロックで示した図。1つ目はけがの実態で、東京消防庁管内では令和3年から令和7年までの5年間に歩きスマホ等に係る事故で171人が救急搬送され、ころぶ71人、落ちる47人、ぶつかる46人、道路・交通施設が119人で約7割、中等症以上が36人。2つ目は自転車のルールで、道路交通法第71条第5号の5により通話と画像の注視が禁止され、手に保持した場合の反則金は1万2000円で自転車の反則金のなかで最も高額、交通の危険を生じさせたときは1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。3つ目は年齢の線で、2026年4月1日から青切符の対象は16歳以上、16歳未満は制度の対象外で原則として指導警告、都道府県によっては自転車安全指導カードが交付される。
図1:東京消防庁と警察庁の公開資料に書かれている内容を、家庭から見える角度で並べ直したもの。

なぜ危ないのかも、資料は言葉にしています。通話しながらの運転は片手運転となってブレーキがかけにくくなるうえ、周囲の音が聞こえにくくなり、他の車の存在に気づきにくくなる。画像を注視しながらの運転は、文字や動画に集中してしまい、歩行者を見落としたり、意図せず信号を無視してしまう危険がある。「見えていない」だけでなく「聞こえていない」ことも含まれている点は、家庭で伝えるときに使えます。

そして年齢の線です。2026年4月1日、16歳以上の自転車の運転者を交通反則通告制度(青切符)の対象とする規定が施行されました。16歳未満は引き続き制度の対象にはならず、原則として指導警告が行われます。都道府県警察によっては、基本的な交通ルールを記載した「自転車安全指導カード」を交付することもあります。

移動中も画面がすぐ近くにある、という前提

移動中の場面が増えているのは、不注意な子が増えたからではありません。こども家庭庁の令和7年度の調査では、青少年の99.0%がインターネットを利用し、機器の内訳ではスマートフォンが78.5%。学校種別では小学生(10歳以上)48.3%、中学生84.8%、高校生97.1%で、中学に上がるあたりから自分の端末を持ち歩く子が多数派になります。

使う長さも短くありません。同じ調査で平均利用時間は前年度より約25分増えて約5時間27分、小学生(10歳以上)は約3時間54分、中学生は約5時間24分、高校生は約6時間44分でした。これだけの時間が画面に向かっていれば、その一部が移動と重なるのは自然なことです。問題は端末を持っていることではなく、歩き出す前に閉じる習慣があるかどうかだと考えると、家庭で手を打てる場所がはっきりします。

数字を家庭に当てはめるときの注意

救急搬送のデータは、あくまで搬送された人数です。転んで自分で帰った、ぶつかって謝って済ませた、という出来事は入っていません。171人という数字は起きたことの一部だと考えるほうが実態に近いはずです。集計範囲も東京消防庁の管内に限られ、令和7年の数値は速報値とされています。

年代別で最も多いのは20歳代の31人で、全体としては20歳代から70歳代の搬送が多くなっています。「子どもに多い」というデータではありません。それでも家庭で扱う理由は、通学という毎日の移動があること、そして自転車では自分がけがをするだけでなく歩行者にけがを負わせる側にもなり得ることにあります。

また、罰の重さと危険の大きさは比例しません。中学生までは青切符の対象外ですが、ブレーキが遅れることや信号を見落とすことは年齢に関係なく起こります。

移動中のスマホについて家庭で決める4つのステップの図。ステップ1は閉じる場所を決める。歩き出す前、こぎ出す前に画面を閉じてポケットやかばんに入れる、という置き場所を先に決める。ステップ2は立ち止まって見る場所を決める。どうしても見る必要があるときは、通行の妨げにならない安全な場所に立ち止まってから見る、という手順にする。ステップ3は耳のほうも確かめる。イヤホンで周囲の音が聞こえなくなっていないかを、画面の話と同じ場面で確認する。ステップ4は装備をそろえる。自転車のヘルメットが今の頭に合っているか、あごひもを含めて出発前に確認する。
図2:公的資料が挙げている注意点を、家を出てから帰るまでの順に並べ直したもの。

家庭で試す3つの工夫

  1. 「使わない」ではなく「閉じる場所」を決める:禁止の形にすると、隠れて見るほうへ動きます。歩き出す前に画面を閉じてポケットに入れる、自転車に乗る前にかばんへ入れる、と置き場所で決めるほうが実行しやすくなります。玄関で一度やってみせると早いです。
  2. 「立ち止まって見る」を許可として渡す:東京消防庁は、歩行中の操作は周囲が見えなくなるため危険だとしたうえで、立ち止まって安全な場所で使うよう呼びかけています。見てはいけないのではなく、見るなら止まる。我慢ではなく行動として覚えられます。
  3. 耳のほうも一緒に確かめる:資料が挙げる危険には、周囲の音が聞こえにくくなって他の車に気づけないことが含まれます。イヤホンをしたまま自転車に乗っていないかを、画面の話と同じ場面で確認しておきます。

気づいたときにどう声をかけるかで、その後に話が続くかどうかが変わります。

声かけの言い換え例

  • 「歩きスマホは危ないでしょ」→一般論に聞こえて流される。「さっきの信号、何色だったか覚えてる?」。
  • 「何回言ったらわかるの」→回数の話になって中身が残らない。「どこで閉じるか、二人で決めておこうか」。
  • 「捕まっても知らないからね」→罰が基準になる。「ぶつかった相手にけがをさせたときが、いちばん困るんだよね」。
  • 「スマホを取り上げるよ」→隠す方向に働く。「どうしても見たいときは、止まってから見ていいよ」。

今週のうちに確認したいこと

  • 歩き出す前・こぎ出す前に画面を閉じる場所を、子どもと言葉にして決めた。
  • どうしても見たいときは立ち止まってよい、と許可の形で伝えた。
  • 自転車に乗るときのイヤホンの使い方と音量を、実際に確かめた。
  • 通学路で、階段・ホーム・交差点など特に見ない場所を一緒に挙げた。
  • 自転車のヘルメットが今の頭に合っているか、あごひもを含めて確認した。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

自転車の話は、ながらスマホだけで完結しません。警察庁は自転車安全利用五則として、車道が原則で左側を通行し歩道は例外で歩行者を優先すること、交差点では信号と一時停止を守って安全確認すること、夜間はライトを点灯すること、飲酒運転はしないこと、ヘルメットを着用することを挙げています。ヘルメットは法第63条の11第1項で努力義務とされ、着用しなくても反則金の対象にはなりませんが、令和6年中の自転車乗用中の死者の約5割が頭部を負傷しており、頭部を負傷した人のうち非着用の致死率は着用の場合の約1.4倍と報告されています。守れているかを点検するより、装備をそろえるほうが先に効きます。

子どもが警察官から指導を受け、自転車安全指導カードなどを渡されたときは、叱って終わりにしない場面です。警察庁の資料も、カードを交付されたときは家族で今後の安全な利用についてよく話し合ってほしいと書いています。通学路そのものに危ない箇所があると感じる場合は、学校や自治体、地域の警察署に相談する選択肢があります。事故に遭った・起こしたときは、けがの手当てと警察への連絡を優先してください。

出典・参考

  • 東京消防庁「歩きスマホ等に係る事故に注意!」(2026年3月3日更新)
    https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/nichijo/mobile.html(確認日 2026-09-09)。
    この出典で確認した記述
    「東京消防庁管内では令和3年から令和7年までの過去5年間で“歩きながら”“自転車に乗りながら”スマホ等の“画面を見る”“操作する”いわゆる“歩きスマホ”等に係る事故により、171人が救急搬送されています。令和7年は43人が救急搬送されています」との記載。注記として管内は「東京都のうち稲城市、島しょ地区を除く地域」であること、「令和7年の数値は速報値」であること。年代区分別では「20歳代が31人と最も多く、全体的に見ると20歳代から70歳代の救急搬送が多くなっています」との記載。事故種別では「『ころぶ』事故が71人と最も多く、全体の4割以上を占めています。次いで『落ちる』事故が47人、『ぶつかる』事故が46人」との記載。初診時程度別では「全体の8割近くが軽症でしたが、36人が入院の必要があるとされる中等症以上と診断されています」との記載と、軽症・中等症・重症の定義。発生場所別では「『道路・交通施設』が119人と最も多く全体の約7割を占めており、歩道や駅などで多く発生しています」との記載。事故事例として「スマートフォンを見ながら駅のホーム上を歩行していたところ、踏み外して軌道敷に転落し、腰部を受傷した【10歳代 中等症】」との記載。「事故を防ぐために」として「歩行中に携帯電話やスマートフォン等を操作したり、画面を見ることは、周囲が見えなくなるため大変危険です。立ち止まって安全な場所で使用しましょう。自分自身がけがをするだけでなく、周囲の人にけがを負わせることもありますので注意しましょう」との記載。参考として道路交通法第71条第5号の5の条文が引用されていること。
  • 警察庁交通局「自転車を安全・安心に利用するために ―自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入―(自転車ルールブック)」(令和7年9月)
    https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/pdf/rulebook.pdf(確認日 2026-09-09)。
    この出典で確認した記述
    「自転車を運転するときは、携帯電話・スマートフォン等を使って通話したり、表示された画像を注視することが禁止されています(法第71条第5号の5)」との記載。「携帯電話・スマートフォン等を使用して、実際に事故を起こしたり、歩行者の通行を妨害したりするなどして、実際に交通の危険を生じさせたときは、携帯電話使用等(交通の危険)として、1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科されます」との記載。「また、手に保持して通話したときや、手に保持して画面を注視したときも、携帯電話使用等(保持)(反則行為)として、反則金(1万2,000円)の対象となります。これは自転車の反則金中で最も高額となっています」との記載。「ながらスマホが危険なのはなぜ?」として「通話しながらの運転は片手運転となり、ブレーキもかけにくい状態となるほか、周囲の音が聞こえにくくなり、他車の存在に気づきにくくなります。また、画像を注視しながらの運転は、文字や動画に集中してしまい、歩行者の存在を見落としたり、意図せず信号を無視してしまうなどの危険があります」との記載。「自転車に導入される青切符は、16歳以上の運転者が対象となります(法第125条第2項第4号)。16歳未満の者による違反については、原則として指導警告を行います」との記載。「なお、都道府県警察によっては、16歳未満の者が違反をしたときには、『指導警告票』等に代わり、基本的な自転車の交通ルールを記載した『自転車安全指導カード』を交付するなどしています。お子さんが自転車安全指導カードを交付されたときは、御家族で、今後の自転車の安全な利用についてよく話し合っていただくようお願いします」との記載。ヘルメットについて「自転車を運転するときは、ヘルメットの着用が努力義務とされています(法第63条の11第1項)」「令和6年中の自転車乗用中の死者の約5割が、頭部を負傷しており、頭部を保護することは極めて重要です」「自転車乗用中に頭部を負傷した者(令和2年から令和6年までの合計)のうち、ヘルメットを着用していなかった者の致死率は、ヘルメットを着用していた者の致死率の約1.4倍となっています」「ヘルメットを着用しなくても、交通違反として反則金の対象になることはありませんが、自らを守るため、自転車を運転するときはヘルメットを着用するよう努めましょう」との記載。
  • 警察庁「自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~」
    https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html(確認日 2026-09-09)。
    この出典で確認した記述
    「令和8年4月1日、道路交通法の一部を改正する法律(令和6年法律第34号)のうち、16歳以上の自転車の運転者を交通反則通告制度(いわゆる「青切符」)の対象とする規定が施行されました」との記載(本文の「2026年4月1日に施行された」の根拠)。交通反則通告制度の説明として「運転者がした一定の道路交通法違反(反則行為:比較的軽微であって、現認、明白、定型的なもの)について、反則者が警察本部長の通告を受けて反則金を納付した場合は、公訴を提起されない制度です」との記載と、注記「※16歳以上の者が同制度の対象です。16歳未満の者は、引き続き、同制度の対象にはならず、個別の事案の実情に即した違反処理となります」。自転車安全利用五則(令和4年11月1日交通対策本部決定)として「車道が原則、左側を通行 歩道は例外、歩行者を優先」「交差点では信号と一時停止を守って、安全確認」「夜間はライトを点灯」「飲酒運転は禁止」「ヘルメットを着用」の5項目が掲げられていること。また「自転車安全利用五則をはじめとする交通ルールについて、家族で確認して守るようにしましょう」との呼びかけがあること。
  • こども家庭庁「令和7年度青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」(令和8年2月)
    https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/9a55b57d-cd9d-4cf6-8ed4-3da8efa12d63/23fcf9bc/20260226_policies_youth-kankyou_internet_research_results-etc_20.pdf(確認日 2026-09-09)。
    この出典で確認した記述
    調査設計として、期間が「令和7年11月1日(土)~ 12月18日(木)」、対象が満10歳から満17歳の青少年5,000人・同居する保護者5,000人・0歳から満9歳のこどもと同居する保護者3,000人であること。ポイント1として「青少年の99.0%が、インターネットを利用していると回答」「インターネットを利用する機器は、スマートフォン(78.5%)、学校から配布・指定されたパソコンやタブレット等(GIGA端末)(72.7%)、ゲーム機(66.2%)、テレビ(地上波・BS等は含まない)(65.9%)、自宅用のパソコンやタブレット等(42.5%)と続く」「学校種別でみると、小学生(10歳以上)の98.5%、中学生の99.2%、高校生の99.3%がインターネットを利用していると回答」との記載。学校種別・機器別の集計で、スマートフォンの利用率が総数78.5%、小学生(10歳以上)48.3%、中学生84.8%、高校生97.1%であること(回答者数は総数3,060人・小学生860人・中学生1,209人・高校生979人)。ポイント10として「インターネットを利用していると回答した青少年の平均利用時間は、前年度と比べ約25分増加し、約5時間27分。高校生は、約6時間44分。中学生は、約5時間24分。小学生(10歳以上)は、約3時間54分」との記載。

この記事について

本記事は家庭での工夫を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。特定の機器・アプリ・設定・サービスを推奨するものでもありません。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

筆者コメント