3行まとめ
- WHOは、1歳までは画面を見せないこと、2〜4歳は座って画面を見る時間を1日1時間まで(短いほどよい)とすることを勧めている。
- 国内では、ネットを使う0〜9歳の平日の利用時間は平均約2時間18分。中身は動画視聴が93.4%と最も多い。
- ゼロにできなくてよい。泣いたときにまず声をかける、時間と場所を決める、読み聞かせや外遊びに置きかえる、から始める。
この記事でわかること
- WHOが示す、年齢ごとの画面時間の目安
- 国内の幼い子が、どのくらい画面を見ているか
- 1歳時点の画面時間と、その後の発達の関係を調べた研究
- 見せる時間を減らすための家庭の工夫と、相談先
「少しだけ」のつもりが
夕方、鍋を火にかけたところで1歳の子が足元で泣き出します。抱っこをすれば料理が止まる。スマホで好きな動画を流すと、泣き声がぴたりとやみます。最初は「料理ができるまでの10分だけ」のつもりでした。それが毎日の習慣になり、朝の身支度や車の中でも流すようになって、気づけば一日に何度も画面の前にいる。そんな流れは、どの家庭にも起こりえます。
動画に頼るのは、親が怠けているからではありません。大人の手が一人分しかない時間帯に、子どもを安全に待たせる方法が少ないからです。だからこの記事では「見せてはいけない」とは言いません。どのくらいが目安とされているのかを知ったうえで、家庭で減らせるところから減らす。その順番で考えます。
何歳から、どのくらいなら見せてもいいですか
WHOの目安では、1歳まではできるだけ見せず、2〜4歳は座って画面を見る時間を1日1時間までとし、短いほどよいとされています。
世界保健機関(WHO)は2019年に、5歳未満の子どもの運動・座りがちな時間・睡眠についての指針を出しました。1歳未満は画面を見ることを勧めない。1歳も、テレビや動画、ゲームなど座って画面を見る時間は勧めない。2歳は1日1時間まで、3〜4歳も1時間までで、どちらも短いほどよい、としています。同時に、座って過ごす時間には、大人と一緒に本を読んだりお話をしたりすることを勧め、体を動かす遊びと十分な睡眠を一日の中で確保することを重視しています。1〜4歳には、いろいろな種類の体を動かす遊びを一日合わせて180分以上とることを勧めており、画面の時間を減らす話は、遊びの時間を増やす話とセットになっています。
日本小児科医会も、2歳まではテレビ・DVDの視聴を控えること、授乳中や食事中は見ないこと、メディアに触れる総時間は1日2時間までを目安にすることなどを提言しています。WHOより目安の時間は長めですが、どちらも「何時間までなら安全」という線ではなく、画面の時間を、人と関わる遊びや睡眠に置きかえていく考え方です。なおWHOは、この推奨を支える根拠の質は全体として非常に低いと指針の中で明記しています。数字は守れたか守れなかったかで親を評価する物差しではなく、家庭で時間を見直すときの目安として使うのがよさそうです。
国内の幼い子は、どのくらい見ているか
こども家庭庁の令和7年度「青少年のインターネット利用環境実態調査」では、0〜9歳の子の保護者に、子どものインターネット利用を尋ねています。ネットを使っている割合は全体で75.2%、園に通っている0〜6歳では68.8%、まだ園や学校に通っていない0〜6歳でも32.3%でした。使う機器はネットにつないだテレビが57.2%で最も多く、スマートフォンが22.8%、回線契約のないスマートフォンも21.6%ありました。使い道は動画視聴が93.4%を占めます。
平日1日あたりの利用時間は、ネットを使っている子全体の平均で約2時間18分で、前年度より約9分増えました。園に通う子では約1時間49分で、2時間以上の子が45.0%いました。この数字は複数の機器の時間を合計したもので、地上波やBSの放送は含みません。家庭で数えている「スマホの時間」より長く感じる方もいるかもしれません。一方で、スマホを使う子の保護者の96.8%は何らかの形で利用を管理していると答えており、多い方法は「目の前で使わせる」58.6%、「時間や場所を決める」57.0%でした。
1歳の画面時間と、その後のことば
東北大学などの研究チームは、宮城県と岩手県の母子7,097組を追跡し、1歳時点の1日の画面時間と、2歳・4歳時点の発達の遅れとの関係を調べました(2023年)。1歳での画面時間は、1時間未満が48.5%、1〜2時間が29.5%、2〜4時間が17.9%、4時間以上が4.1%でした。
1時間未満の子に比べ、画面時間が長い子ほど、2歳時点でコミュニケーションの領域に遅れがみられる割合が高く、4時間以上の子ではオッズ比(なりやすさの比)で約4.8倍でした。4歳時点でも、コミュニケーションと問題解決の領域で関係が続いていました。ただし、これは関係を示した観察研究で、画面そのものが遅れの原因だと確かめたものではありません。画面を見ていた時間に、話しかけや遊びの時間が減っていた可能性も考えられます。日本小児科医会が、ことばが話せない時期の子にも積極的に話しかけることが大事だとしているのは、この点と重なります。
全部を一度に変えなくて大丈夫です。一つ選んで、今週から試してみてください。
家庭で試す3つの工夫
- 泣いたら、画面の前に一声:ぐずったときにすぐ動画を出す前に、「どうしたの」と声をかけ、抱っこや歌を先に試します。それでも手が離せないときに見せる、という順番にするだけで回数は減ります。
- 「見ない場面」を先に決める:食事中と授乳中は消す、寝る前は見ない、子ども部屋には置かない。時間を細かく測るより、見ない場面を決めるほうが続けやすくなります。
- 代わりの「手の空かない時間の過ごし方」を用意する:料理中は台所の近くで遊べる鍋やおもちゃ、移動中は絵本や手遊び歌。動画以外の選択肢を一つ持っておくと、使う場面を選べます。
見せる・見せないの話は、子どもとのやりとりで決まる場面も多くあります。
声かけの言い換え例
- 「静かにしてて」(動画を渡す)→「お鍋ができるまで、ここで一緒にお歌うたおう」。
- 「もうおしまい!」(突然消す)→「この歌が終わったら、ごはんにしようね」。
- 「泣かないの」→「眠いのかな、おなかすいたのかな。どうしたの」。
- 「ずっと見てるんだから」→「これ、何が出てきた? お話しして」。
家庭で確かめたいこと
- 1日に画面を見ている時間を、機器を合わせて把握しているか。
- 食事中・授乳中は、テレビや動画を消しているか。
- ぐずったとき、画面より先に声をかけたり抱っこしたりしているか。
- 読み聞かせや外遊びの時間が、一日のどこかにあるか。
- 見るときは、大人の目の届く場所で見せているか。
家庭の工夫だけで抱え込まないために
ここで紹介した研究は、画面時間とその後の発達に関係があることを示したもので、画面を見たことが発達の遅れの原因だと決めたものではありません。ことばの遅れや発達が気になるときは、画面時間を減らして様子を見るだけで済ませず、乳幼児健診の場や、かかりつけの小児科で相談してください。画面時間の多さだけで、子どもの発達について結論を出す必要はありません。
日本小児科医会は、赤ちゃんの泣き声に耐えられない、イライラするというときは、ひとりで悩まずに保健センターの育児相談やかかりつけの小児科医に相談するよう呼びかけています。動画に頼る回数が増えている背景には、親の疲れや人手の足りなさがあることも多いものです。画面の時間を減らす工夫と同じくらい、大人が休める手立てを探すことも大切です。
よくある質問
- 赤ちゃんに動画を見せるのは何歳からならいいですか。
- WHOは1歳未満と1歳の子には、座って画面を見る時間を勧めていません。2歳からは1日1時間まで、短いほどよいとしています。日本小児科医会も2歳まではテレビ・DVDの視聴を控えるよう提言しています。ただし根拠の質は非常に低いとWHO自身が述べており、目安として使うのがよいと考えられます。
- 2〜5歳の子は、1日何時間までなら見ていいですか。
- WHOは2〜4歳について、座って画面を見る時間は1日1時間まで、短いほどよいとしています。日本小児科医会は、メディアに触れる総時間を1日2時間までを目安にするとしています。時間を守ることに加えて、体を動かす遊びと十分な睡眠を一日の中で確保することが重視されています。
- スマホを長く見せると、ことばが遅れるのですか。
- 関係を示した研究はありますが、原因とまでは言えません。東北大学などの研究では、1歳時点の画面時間が長い子ほど、2歳・4歳でコミュニケーションの領域に遅れがみられる割合が高くなっていました。観察研究のため、話しかけの時間が減ったことなど別の要因も考えられます。気になるときは健診や小児科で相談してください。
出典・参考
- WHO ニュースリリース「To grow up healthy, children need to sit less and play more」(2019年4月24日)
この出典で確認した記述
「Infants (less than 1 year) should: … Screen time is not recommended. When sedentary, engaging in reading and storytelling with a caregiver is encouraged.」「Children 1-2 years of age should: … For 1-year-olds, sedentary screen time (such as watching TV or videos, playing computer games) is not recommended. For those aged 2 years, sedentary screen time should be no more than 1 hour; less is better.」「Children 3-4 years of age should: … Sedentary screen time should be no more than 1 hour; less is better.」との記載。また「Quality sedentary time spent in interactive non-screen-based activities with a caregiver, such as reading, storytelling, singing and puzzles, is very important for child development.」「replacing prolonged restrained or sedentary screen time with more active play, while making sure young children get enough good-quality sleep」との記載。1〜2歳・3〜4歳とも「Spend at least 180 minutes in a variety of types of physical activities at any intensity」との記載(3行まとめ第1項・「何歳から…」節・図1・FAQ第1・第2問の根拠)。 - WHO「Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age」(2019年)
この出典で確認した記述
この刊行物ページの「Download」からPDF(全36ページ、iris.who.int)を開いて確認した。PDF20ページ目の「SEDENTARY TIME」の推奨(1歳未満は「Screen time is not recommended.」、1歳は「sedentary screen time … is not recommended」、2歳と3〜4歳は「no more than 1 hour; less is better」)の直後に「Strong recommendations, very low quality evidence」と記載。同ページの Summary of evidence に「There was a predominantly unfavourable, or a null association between screen time and adiposity, cognitive or motor development and psychosocial health. There was a favourable or null association between time spent with a caregiver reading or storytelling and cognitive development.」「The overall quality of evidence was rated as very low.」との記載(「何歳から…」節の第3段落・FAQ第1問の「根拠の質は非常に低い」の根拠)。 - こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」(令和8年3月)
この出典で確認した記述
調査対象の定義に「0歳から満9歳を『低年齢層のこども』」。PDF7ページ目(概要2)に「低年齢層のこどもの75.2%がインターネットを利用。通園中(0歳~6歳)では68.8%、小学生(6歳~9歳)では91.0%がインターネットを利用。」「インターネットを利用する機器は、テレビ(地上波、BS等は含まない)(57.2%)…が上位。」、機器別にスマートフォン22.8%・契約していないスマートフォン21.6%、、グラフの令和7年度で通園・通学前(0歳~6歳、217人)32.3%。PDF14ページ目(概要8)に「利用内容の内訳は、動画視聴(93.4%)、ゲーム(61.4%)、勉強・習い事(34.0%)が上位。」。PDF17ページ目(概要11)に「平均利用時間は、前年度と比べ約9分増加し、約2時間18分。」、表で通園中(540人)109.4分(約1時間49分)・2時間以上の割合45.0%、注に「『利用機器の合計』の利用時間は、回答者のこどもが利用している各機器の利用時間を合算したもの」(表は画像で照合した)。PDF22ページ目(概要16)に「こどもがスマートフォンを利用する低年齢層のこどもの保護者の96.8%がいずれかの方法でこどものネット利用を管理していると回答。」「目の前(画面が見える距離)で使わせている(58.6%)や利用してもよい時間や場所を決めて使わせている(57.0%)が多い。」との記載(3行まとめ第2項・「国内の幼い子は…」節の根拠)。 - Takahashi I, et al. Screen Time at Age 1 Year and Communication and Problem-Solving Developmental Delay at 2 and 4 Years. JAMA Pediatrics. 2023;177(10):1039-1046.
この出典で確認した記述
抄録(PubMed 37603356)に、東北メディカル・メガバンク計画の三世代コホート調査で、宮城県・岩手県の50の産科施設で2013年7月〜2017年3月に募集し「7097 mother-child pairs were included in the analysis」。1歳時点の画面時間は「3440 children (48.5%) had less than 1 hour, 2095 (29.5%) had 1 to less than 2 hours, 1272 (17.9%) had 2 to less than 4 hours, and 290 (4.1%) had 4 or more hours」。2歳時点のコミュニケーション領域で「odds ratio [OR], 1.61 … for 1 to <2 h/d; 2.04 … for 2 to <4 h/d; 4.78 [3.24-7.06] for ≥4 vs <1 h/d」。4歳時点で「associations were identified in the communication … and problem-solving … domains」。結論に「greater screen time for children aged 1 year was associated with developmental delays in communication and problem-solving at ages 2 and 4 years」との記載(「1歳の画面時間と…」節・FAQ第3問の根拠)。本文の「約4.8倍」はオッズ比4.78を丸めたもの。「原因とは確かめていない」「話しかけの時間が減っていた可能性」は、関連を示す観察研究であることを踏まえた編集部の注記。 - 公益社団法人 日本小児科医会 リーフレット「スマホに子守りをさせないで!」
この出典で確認した記述
画像のPDF(2ページ)を画像で確認。「5つの提言」として「❶2歳までは、テレビ・DVDの視聴を控えましょう。」「❷授乳中、食事中のテレビ・DVDの視聴はやめましょう。」「❸すべてのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。1日2時間までを目安と考えます。」「❹子ども部屋にはテレビ、DVDプレイヤー、パーソナルコンピューターを置かないようにしましょう。」「❺保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールをつくりましょう。」。「なぜ泣いているのか、わからないときに子育てアプリを見せるのではなく、『どうしたの』などの声かけや抱っこなどを繰り返すことで親子の絆ができていきます。」「※赤ちゃんの泣き声に耐えられない、イライラするというときは、ひとりで悩まずに保健センターの育児相談やかかりつけの小児科医などに気軽に相談してください。」「言葉が話せない赤ちゃんにも、積極的に話しかけることが、言葉の発達にはとても大事です。」との記載(「何歳から…」節の第3段落・「1歳の画面時間と…」節の末尾・工夫1と2・「気をつけたいこと」節の第2段落・FAQ第1・第2問の根拠)。
この記事について
本記事は家庭での工夫を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。特定の機器・アプリ・設定・サービスを推奨するものでもありません。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。