3行まとめ

  • 割合は4年で整数の倍で表せる簡単な場合を、5年で小数の割合と百分率を学ぶ。学習指導要領の解説は、割合を「比較量を基準量で割った商」としている。
  • 令和8年度の全国学力調査では、「14匹が全体の20%」から全体の数を求める問題の正答率が53.3%、テープの1.5倍を選ぶ問題は34.5%だった。
  • 解説も調査の報告書も、言葉の式を覚えることより、テープ図や数直線に基準量・比較量・割合を書き込んで関係をつかむことを重んじている。

この記事でわかること

  • 割合を習う学年と、学習指導要領での位置づけ
  • 全国学力調査で見えた、つまずきやすい問題の形
  • 「1.5倍」を取り違えるときに起きていること
  • 公式より先に、図で関係を確かめる理由
  • 買い物の表示を使った家庭での練習

「20%」で止まる宿題

「14人は、クラス全体の20%です。クラスは何人ですか」。子どもは14×0.2と書いて2.8人と答え、人数が小数になっても気にしていない様子です。親が「くらべる量をもとにする量で割るんだよ」と言うと、今度は14÷20と書く。式を直すたびに、どの数が何を表しているのかが、親子どちらにも見えなくなっていきます。

割合の問題は、使う数が二つか三つしかありません。だからこそ、掛けるか割るかを当てずっぽうで選んでも、どれかは合ってしまう。止まっているのは計算ではなく、どの数をもとにしているかの見極めであることが多いのです。

割合は何年生で、何を学ぶのか

小学校学習指導要領(平成29年告示)では、4年の算数に「簡単な場合についての割合」があり、5年の「割合」で百分率を用いた表し方を理解して割合などを求めることが示されています。5年では用語・記号として「%」を扱い、「割」を使う歩合の表し方にも触れます。

割合は4年で突然始まるわけではありません。解説は、2・3年のかけ算やわり算で整数を用いた倍の意味を扱い、「基にする量の何倍」という見方の基礎を指導してきたと書いています。そのうえで4年で扱うのは、もとにする量を1とみたときに、もう一方が2倍、3倍のような整数で表せる場合です。5年では割合が小数で表される場合に広がります。解説は割合を、一方を基準量としたときに比較量がどれだけに当たるかを「比較量を基準量で割った商」で表したもの、と定義しています。そのうえで、割合は「Bを基にしたAの割合」「Bの□倍がA」など様々な表現で示されるので、表現の中から基準量と比較量を明確にすることも必要だと書いています。

割合はどこでつまずきやすいのですか

百分率と比較量から全体を求める問題と、何倍かを図で捉える問題です。全国学力調査では、どちらも正答率が5割前後かそれ以下でした。

令和8年度の全国学力・学習状況調査(小学6年)では、「イシガメ14匹が動物園全体のカメの数の20%に当たる」ときに全体の数を求める式と答えを書く問題の正答率が53.3%でした。平成24年度の似た問題(8人が学級全体の25%)の58.7%より5.4ポイント低く、報告書は「引き続き課題がある」としています。20や0.2、100をそのまま使ったり、100−20=80から0.8を使ったりした解答が合わせて22.7%ありました。

解説も総説で、全国学力調査などの結果から、小学校では「基準量,比較量,割合の関係を正しく捉えること」に課題が見られたと書いています。割合のつまずきは一人の子の苦手ではなく、長く続いてきた全国的な課題として扱われています。

「1.5倍」と「10%増量」の取り違え

同じ令和8年度調査で、赤いテープが白いテープの1.5倍になっている図を二つ選ぶ問題の正答率は34.5%でした。最も多かった誤答(35.7%)は、1.5倍を「基準量より1.5目盛り分多い量」と捉えたと考えられるもの、10.2%は基準量と基準量の1.5倍を合わせた量と捉えたと考えられるものでした。

令和7年度調査には、「10%増量」の詰め替え用ハンドソープが、増量前の量の何倍かを答える問題がありました。正答率は41.3%です。37.4%は、10%を0.1と捉えることはできても、増量後が増量前の110%、つまり1.1倍になることを捉えられていないと考えられる答えを選び、14.6%は10倍と捉えていると考えられる答えでした。「増えた分」と「増えた後の全体」を分けて見られるかが、割合の分かれ目になっています。

白いテープの1.5倍の長さを取り違える2つの捉え方と、正しい捉え方を上下に比べた図。上の枠は取り違えの例で、白いテープより1.5目盛り分長い、白いテープと1.5倍を足した長さ、と捉えたり、10%増量を10倍と読んだりしてしまう。下の枠は正しい捉え方で、白いテープの長さを1とみて1.5に当たる長さを探し、10%増量なら増量前を1として1.1倍になる。
図1:「何倍か」は、もとにする量を1とみたときの位置で決まります。

公式より先に、図に書き込む

報告書は指導に当たって、「(基準量)×(割合)=(比較量)など」の言葉の式だけでなく、数直線などの図に児童が自ら基準量・比較量・割合を書き込み、関係を捉えられるようにすることを大切だとしています。イシガメの問題なら、全体を割合の1に、14匹を割合の0.2に対応させ、分からない全体を□とおいて「□×0.2=14」と立式する流れです。

解説も5年の割合で、全体と部分の関係はテープ図や数直線などの図や式で表せるとし、言葉と図や式を関連付ける活動を取り入れることが大切だと書いています。求めた結果を日常の事象に戻して意味を考えることにも触れています。2.8人のように人数が小数になった答えは、問題の場面に戻せば、おかしいと気づける場所です。

割合の問題を家庭で図に整理する3つの手順を示した図。1つ目はもとにする量を探すことで、全体の、をもとにした、の言葉に線を引く。2つ目は数直線を2本かくことで、上に量、下に割合を書き、もとにする量を1にそろえる。3つ目は答えを場面に戻すことで、人数が小数になっていないか、部分が全体より大きくなっていないかを確かめる。
図2:掛けるか割るかを選ぶ前に、数の位置を図で決めます。

家庭では、式の正しさを教えるより、どの数をもとにしているかを一緒に見つける役に回ると、学校の説明と食い違いにくくなります。

家庭で試す3つの工夫

  1. もとにする量に線を引く:問題文の「全体の」「〜をもとにした」「〜の□倍」を探し、もとにする量に線を引きます。解説が求める、表現の中から基準量を明確にする作業です。
  2. 数直線を2本かく:上に量、下に割合を書き、もとにする量を割合の1にそろえます。分からない数は□のまま置き、位置が決まってから式にします。
  3. 買い物の表示で話す:「10%増量」「2割引」の表示を見つけたら、「前の何倍?」と聞いてみます。解説は、割合が日常の「10%の増量」「1割引」などで使われていることにも触れています。

声かけの言い換え例

  • 「公式に当てはめればいいの」→「どっちをもとにしてる?」。式の前に、基準量探しに戻れる。
  • 「さっき説明したよね」→「図にかいて見せて」。子どもの捉え方が、親にも見えるようになる。
  • 「なんで割るのか、わかるでしょ」→「全体を1にすると、14はどこに来る?」。数の位置から考えられる。
  • 「答えを見なさい」→「2.8人って、ありそう?」。場面に戻して確かめる習慣につながる。

家庭で確認するチェックリスト

  • 問題文のどの量がもとにする量か、子どもが指で示せる。
  • 親が公式を先に言って、式だけ直させていない。
  • テープ図や数直線を、子どもが自分でかいたことがある。
  • 「10%増量」が1.1倍になる理由を、言葉で説明できる。
  • 答えを出したあと、場面に戻して大きさを確かめている。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

割合を扱う時期や、図のかき方、言葉の式の教え方は、学校や教科書によって違います。家庭で別のかき方を教えると混乱することがあるので、ノートや教科書の図に合わせてください。紹介した正答率は小学6年を対象にした全国調査の結果で、一人ひとりの子の力を判定するものではありません。解説は、実際の問題の場面などでは必要に応じて電卓等を用いることも望ましいとしており、計算の手間と関係の理解は分けて考えられます。

文部科学省が令和4年に行った調査では、小・中学校の通常の学級で「計算する」又は「推論する」に著しい困難を示すとされた児童生徒は3.4%(95%信頼区間3.1〜3.7%)と推計されています。学級担任等の回答に基づくもので、医師の診断によるものではないと明記されています。割合に限らず、簡単な計算や文章題で止まる様子が続くときは、担任の先生や学校に相談する選択肢があります。つまずいた場所の見つけ方は算数につまずいた時、家庭で「どこで止まったか」を見つける、支援の仕組みは勉強のつまずきを家庭だけで抱えないために ― 学校の相談窓口と支援の仕組みで整理しています。

よくある質問

割合は何年生で習いますか。
4年と5年の算数です。学習指導要領では、4年で2倍・3倍のような整数で表せる「簡単な場合についての割合」を、5年で小数で表される割合と百分率を扱います。5年では「%」の記号や、「割」を使う歩合の表し方にも触れます。
「くらべる量÷もとにする量」を覚えれば解けますか。
式を覚えるだけでは、どの数をもとにするかを取り違えやすくなります。全国学力調査の報告書は、言葉の式だけでなく、数直線などの図に基準量・比較量・割合を自分で書き込んで関係を捉えることを大切だとしています。
「10%増量」は何倍になるのですか。
増量前の量を1とすると1.1倍です。令和7年度の全国学力調査でこれを問う問題の正答率は41.3%で、37.4%は10%を0.1と捉えても、増量後が1.1倍になることを捉えられていないと考えられる答えを選んでいました。増えた分と増えた後の全体を分けて見ることが鍵です。
割合の計算で電卓を使ってもいいのですか。
学習指導要領の解説は、5年の百分率の指導について、実際の問題の場面などでは必要に応じて電卓等を用いて適切に処理できるよう配慮することも望ましいとしています。ただし宿題やテストでの扱いは学校によるので、担任の先生の指示に合わせてください。

出典・参考

  • 国立教育政策研究所「令和8年度 全国学力・学習状況調査 報告書【小学校/算数】」
    https://www.nier.go.jp/26chousakekkahoukoku/report/data/26pmath_04.pdf(確認日 2026-10-01)。
    この出典で確認した記述
    大問2(2)の趣旨「百分率で表された割合と比較量から、基準量を求めることができるかどうかをみる。」、解答類型表の「正答率 53.3」(報告書51ページ、PDF 29ページ目)。「本設問の正答率は解答類型1~3の合計の53.3%である。」「解答類型6、7、9、10の反応率の合計は22.7%である。このように解答した児童は、20%や100%から20や0.2、100を用いて立式したり、100-20=80と計算し、80や0.8を用いて立式したりしていると考えられる。」「平成24年度【小学校】算数A8(正答率58.7%)」「本設問の正答率は53.3%であり、平成24年度調査より5.4ポイント低くなっている。今回の結果から、百分率で表された割合と比較量から、基準量を求めることに引き続き課題があると考えられる。」、H24A8の概要「犬を飼っている8人が学級全体の人数の25%に当たるとき、学級全体の人数を求める式と答えを書く」(52ページ、PDF 30ページ目)。学習指導に当たって「(基準量)×(割合)=(比較量)などの言葉の式だけでなく、数直線などの図を用いて、下のように、児童が自ら基準量、比較量、割合を書き込み、それらの数量の関係を捉えることができるようにすることが大切である。」「『□×0.2=14』と立式し」(53ページ、PDF 31ページ目)。大問2(4)の趣旨「基準量、比較量、割合の関係が正しく表されている図を選ぶことができるかどうかをみる。」、解答類型1(正答)34.5、類型2 35.7、類型3 10.2(56ページ、PDF 34ページ目)。「本設問の正答率は34.5%である。」「解答類型2について、このように解答した児童は、基準量の1.5倍に当たる比較量を、下のように基準量より1.5目盛り分多い量であると誤って捉えていると考えられる。」「解答類型3について…基準量と基準量の1.5倍を合わせた量であると誤って捉えていると考えられる。」(57ページ、PDF 35ページ目)。本文「割合はどこでつまずきやすいのですか」「1.5倍と10%増量の取り違え」「公式より先に、図に書き込む」の節と図1・図2の根拠。調査対象が小学6年であることは同調査の概要による。
  • 国立教育政策研究所「令和7年度 全国学力・学習状況調査 報告書【小学校/算数】」
    https://www.nier.go.jp/25chousakekkahoukoku/report/data/25pmath_04.pdf(確認日 2026-10-01)。
    この出典で確認した記述
    大問4の出題の趣旨に「『10%増量』『1割引』など割合の表現が用いられている場面において、それらの表現の意味を解釈することができるようにすることも大切である。」(85ページ、PDF 64ページ目)。設問(4)の趣旨「『10%増量』の意味を解釈し、『増量後の量』が『増量前の量』の何倍になっているかを表すことができるかどうかをみる。」、解答類型と反応率は類型1が37.4、類型2(正答)41.3、類型3が14.6。「解答類型1について、このように解答した児童は、『10%増量』について、百分率で表された10%を0.1と捉えることはできているが、『増量後の量』が『増量前の量』の110%になることを捉えることはできていないと考えられる。又は、『増量後の量』が『増量前の量』の1.1倍と捉えることができていないと考えられる。」「解答類型3について…『増量後の量』は『増量前の量』の10倍と捉えていると考えられる。」(94ページ、PDF 73ページ目)。学習指導に当たって「『10%増量』について『増えた分』と『増量後の量』の違いを明らかにして、図と式や言葉を用いて説明し」(95ページ、PDF 74ページ目)。本文「10%増量」の段落とFAQ3問目の根拠。
  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」(平成29年7月)
    https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387017_004.pdf(確認日 2026-10-01)。
    この出典で確認した記述
    総説に「全国学力・学習状況調査等の結果からは,小学校では,『基準量,比較量,割合の関係を正しく捉えること』や『事柄が成り立つことを図形の性質に関連付けること』…に課題が見られた。」(本文6ページ、PDF 12ページ目)。第4学年 C(2)簡単な場合についての割合に「第2学年,第3学年では,『A数と計算』の領域において,乗法,除法の意味について理解する際に,整数を用いた倍の意味についても取り扱い,『基にする量の何倍』という割合の見方の基礎を指導してきた。」「第4学年では,割合が2,3,4などの整数で表される簡単な場合について」「もう一方の数量であるA(比較量)がどれだけに相当するのかを,A÷Bの商で比べることである。この表された数(商)が割合である。」(本文217〜218ページ、PDF 223〜224ページ目)。第5学年 C(3)割合に「第5学年では,割合が小数で表される場合に考察の対象を広げ」「もう一方の数量(比較量)がどれだけに相当するのかを,比較量を基準量で割った商で比べることである。この表された数(商)が割合である。」「割合は,『Bを基にしたAの割合』,『Bの□倍がA』など,様々な表現で示されるため,割合を示す表現の中から,基準量や比較量を明確にすることも必要となる。」(本文267〜268ページ、PDF 273〜274ページ目)。「実際の問題の場面などでは,必要に応じて電卓等を用いて,適切に処理できるように配慮することも望ましい。」「基準とする大きさを10 とみて,それに対する割合を『割』で表していること」(本文268〜269ページ、PDF 274〜275ページ目)。「考察によって得られた結果を日常の事象に戻してその意味を考え」「全体と部分の関係,部分と部分の関係は,テープ図や数直線などの図,式などを用いて,明瞭,的確に表すことができる。」(本文269ページ、PDF 275ページ目)。「割合については全国学力・学習状況調査(『平成24 年度全国学力・学習状況調査報告書』266 ページ)などで課題が示されており,指導に当たっては,言葉と図や式を関連付けるような活動を取り入れることが大切である。」「『10%の増量』『1割引』など割合を用いている場面も多くある。」(本文270ページ、PDF 276ページ目)。
  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」
    https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/09/05/1384661_4_3_2.pdf(確認日 2026-10-01)。
    この出典で確認した記述
    第2章第3節「算数」第4学年 C(2)のア(ア)に「簡単な場合について,ある二つの数量の関係と別の二つの数量の関係とを比べる場合に割合を用いる場合があることを知ること。」(PDF 81ページ目)。第5学年 C(3)のア(イ)に「百分率を用いた表し方を理解し,割合などを求めること。」、〔用語・記号〕に「%」、内容の取扱い(4)に「内容の『C変化と関係』の⑶のアの(イ)については,歩合の表し方について触れるものとする。」(PDF 87ページ目)。本文「割合は何年生で、何を学ぶのか」とFAQ1問目の根拠。
  • 文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」(令和4年12月13日)
    https://www.mext.go.jp/content/20230524-mext-tokubetu01-000026255_01.pdf(確認日 2026-10-01)。
    この出典で確認した記述
    表4の<小学校・中学校>に「『計算する』又は『推論する』に著しい困難を示す 3.4%(3.1%〜3.7%)」とあること(PDF 7ページ目、95%信頼区間付きの推定値)。留意事項に、学級担任等による回答に基づくもので医師による診断によるものではなく、発達障害のある児童生徒数の割合を示すものではない旨の記述があること(PDF 3ページ目)。本文「気をつけたいこと」の根拠。

この記事について

本記事は家庭での工夫を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。研究知見や公的資料は「一つの考え方」として紹介しており、家庭ごとに合う・合わないがあります。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

筆者コメント