3行まとめ

  • 「長い旅に出た」「永遠の眠り」などの言い換えは、子どもの誤解や不安を強めることがある。やさしく、率直に「死んだ」と伝える。
  • 死の受け止め方は年齢だけでは決まらない。どう理解したかを本人に聞き、自分のせいだと思っていないかを確かめる。
  • 悲しみ、眠れない、甘えが強くなるといった変化は自然な反応。数週間たっても日常に戻れないときは、かかりつけ医やスクールカウンセラーに相談する。

この記事でわかること

  • 言い換えより「死んだ」と伝えたほうがよい理由
  • 年齢による死の受け止め方の違い
  • 亡くなったあとに子どもに表れやすい変化
  • お葬式に連れて行くかどうかの考え方
  • 悲しみが長引くときの相談先

「おばあちゃん、いつ帰ってくるの?」

入院していた祖母が亡くなった。お通夜の準備に追われるなか、5歳の子が「おばあちゃん、いつ帰ってくるの?」と聞いてくる。とっさに「お空に行ったんだよ」と答えたものの、数日後、子どもは「お空からいつ降りてくるの?」と聞き返してきた。小学生の上の子は、何も聞かずに普段どおり遊んでいるように見える。

大人が言葉に迷うのは、子どもを傷つけたくないからです。ただ、子どもは大人の様子から何かが起きたことを感じ取り、説明が足りない部分を自分なりの想像で埋めようとします。伝える側が悲しみの中にいるのは当然で、完璧な説明でなくても、正直に話そうとする姿勢そのものが子どもの支えになります。

「遠くへ行った」ではなく「死んだ」と伝えるのはなぜですか

あいまいな言い換えは、子どもにとってかえって分かりにくいからです。米国の小児科医らによる保護者向けガイドの日本語版(国立精神・神経医療研究センターなど作成)は、子どもが死を理解するための基本として、死は元に戻らない、体の働きは完全に止まる、誰もがいつかは死ぬ、死には体の理由がある、の4つを挙げています。

ガイドによると、「長い旅に出ている」という説明は、死を一時的なお別れと思う誤解を強めてしまうことがあります。「永遠の眠りについた」と説明すると、子どもが眠ることを怖がるようになるかもしれない、とも書かれています。「仏様になった」のような宗教的な言葉も、子どもには意味がつかみにくいとされます。そのうえでガイドは、やさしく、しかし率直に、「死」「死んだ」という言葉を使って伝えることを勧めています。家の信仰を伝えるのは大切なことで、その場合も、まず体に起きたことを事実として簡潔に話してから、宗教的な考え方を説明する順番がよいとしています。

子どもに死を伝えるときの言い方を上下に比べた図。上は誤解を招きやすい言い換えで、遠くへ行った・長い旅に出た、永遠の眠りについた、仏様になった、の3つ。下は伝わりやすい言い方で、死んだ・もう会えない、体は動かず痛みも感じない、病気で体が動かなくなった、の3つ。
図1:ガイドの説明をもとに、編集部が言い方の例を整理したものです。

死因についても、分かりやすい言葉で簡潔に説明し、子どもの反応を見ながら質問しやすくすることが勧められています。本当の理由が分からないと、子どもは「自分が悪い子だったから」と考えてしまうことがあるためです。詳しい情景を語る必要はありません。

年齢で受け止め方は変わる

子どもの悲嘆に関する臨床レビュー(2026年)は、おおむね7歳より前の子どもは死が終わりであることや誰にでも起こることを十分には理解しておらず、亡くなった人が戻ってくる、自分の行動や考えのせいで死んだと思うことが多いとしています。7〜11歳ごろになると死が永遠であることをつかみ始め、なかには親を守ろうとして死の話をしない子もいるといいます。思春期の子は、弱く見られることや悲しんでいる親を揺さぶることを恐れて、話そうとしなかったり、影響を小さく見せたりすることがあるとされます。

一方で、先のガイドは、年齢からその子の理解度を決めつけず、本人に考えや気持ちを話してもらうよう勧めています。同じ年頃でも、それまでの経験によって理解はさまざまだからです。説明したあとに「どんなふうに分かったか教えてくれる?」と聞くと、何を補えばよいかが見えてきます。

また、幼いころに身近な人を亡くした子が、成長して理解が深まった思春期に、改めて強く悲しむことがあるとも指摘されています。一度話して終わりにせず、何度でも話せる関係を続けることが大切です。

悲しみの出方は一人ひとり違う

文部科学省の教職員向け資料は、大切な人の死のあとに起きるさまざまな心身の変化を「悲嘆反応」と呼び、自然で当然の反応だとしています。悲しみ、怒り、不安、ぼんやりする、眠りや食事の変化、体の不調の訴え、集中力の低下、友達関係の難しさなどがよく見られ、時間とともに和らいでいくとされます。保護者向けリーフレットも、親のそばを離れない、一人になるのを怖がる、夜尿が始まる、眠れないといった様子を、ストレスのサインとして挙げています。

ストレスがかかると、幼かったころのように甘えたり、できていたことができなくなったりする「子ども返り」が起きることもあります。同じ資料は、家族を亡くした子どもと信頼できる大人とのあいだで、故人の話題をタブーにせず、折に触れて語り合うことが必要だとしています。何年たっても故人の話で涙ぐむことがあっても、それは自然なことです。

お葬式に連れて行くか迷ったら

ガイドは、親しい人が亡くなったときは、子どもにもできるだけお葬式に出る機会をつくるよう勧めています。出席させてもらえないと、子どもは実際より恐ろしいことを想像したり、家族の大切な行事から外されたと感じたりすることがあるからです。

そのために、どこで、誰が来て、何をするのか、棺はあるのかなどを前もって具体的に説明し、何でも質問してよいと伝えます。出るかどうかは子ども自身に決めてもらい、幼児や小学生には、式のあいだずっと付き添う大人を一人決めておくとよいとされています。

子どもに死を伝える4つの流れを示した図。1、落ち着ける場所で事実を伝える。死んだという言葉を使う。2、理由を簡潔に話す。あなたのせいではないと添える。3、どう分かったかを聞く。質問にはその都度答える。4、何度でも話す。故人の思い出も一緒に語る。
図2:一度で全部を伝えようとせず、聞いて、補って、また話す流れで考えます。

次の3つは、亡くなった直後から家庭で取り入れられる工夫です。

家庭で試す3つの工夫

  1. 説明したあとに、分かったことを話してもらう:「どんなふうに分かったか教えて」と聞き、誤解があればその場で補います。一度で伝わらなくて当たり前と考えます。
  2. 「あなたのせいではない」とはっきり言う:特に幼い子は、自分の言動が原因だと思い込むことがあります。聞かれなくても、先に言葉にしておきます。
  3. 故人の思い出を話す時間をつくる:写真を見ながら「おばあちゃん、この料理が好きだったね」と話すなど、名前を出してよい雰囲気を家の中に残します。

声かけの言い換え例

  • 「遠いところへ行ったんだよ」→帰ってくると思わせてしまう。
  • 「おばあちゃんは死んだの。体が動かなくなって、もう会えないの」→何が起きたかが伝わる。
  • 「泣いてないで、しっかりしなさい」→悲しみを出しにくくなる。
  • 「悲しいよね。お母さんも悲しいよ」→気持ちを一緒に置ける。
  • 「もうその話はやめよう」→聞きたいことがあっても聞けなくなる。
  • 「何か聞きたいことがあったら、いつでも聞いてね」→質問の扉を開いておける。
  • 「いい子にしていたら大丈夫」→悪い子だったから死んだという誤解とつながる。
  • 「病気で死んだの。あなたのせいではないよ」→自分を責める考えをほどける。

家庭で確認するチェックリスト

  • 「死んだ」という言葉で、何が起きたかを伝えた。
  • 子どもがどう理解したかを、本人の言葉で聞いた。
  • 「あなたのせいではない」と伝えた。
  • お葬式の流れを説明し、出るかどうかを本人と決めた。
  • 眠りや食事、登校の様子を、数週間は気にかけている。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

この記事は、身近な人の死を子どもに伝えるときの一般的な考え方を整理したもので、子どもの状態を判断するものではありません。ガイドは、亡くなってから数週間たっても普段の生活に戻れないようであれば、かかりつけ医やスクールカウンセラーに相談したほうがよいとしています。文部科学省の資料も、突然大切な人を亡くした子どもが長く学校生活に支障をきたしている場合には、地域の専門機関との連携が必要だとしています。

精神科や心療内科をいきなり受診することに抵抗があるときは、学校医やかかりつけの小児科に相談し、必要に応じて紹介を受ける方法もあります。担任に家族の事情を伝えておくと、学校での様子を知らせてもらいやすくなります。

子どもが親には言いにくい気持ちを抱えていることもあります。24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)は夜間・休日も電話で相談でき、原則としてかけた地域の教育委員会の相談機関につながります。親自身がつらくて話す余裕がないときは、信頼できる家族や身近な大人に説明を手伝ってもらってかまいません。

よくある質問

小さな子に「死んだ」という言葉を使って大丈夫ですか。
言い換えより、やさしく率直に「死んだ」と伝えるほうが分かりやすいとされています。専門家のガイドは、「長い旅に出た」は戻ってくるという誤解を強め、「永遠の眠り」は眠ることへの怖さにつながることがあると説明しています。体が動かなくなり、もう会えないことを短い言葉で伝えます。
子どもをお葬式に連れて行ってもよいですか。
ガイドは、できるだけ出席の機会をつくることを勧めています。出られないと、子どもは実際より怖いことを想像しやすいためです。何が行われるかを前もって説明し、出るかどうかは子どもに決めてもらい、幼児や小学生には付き添う大人を一人決めておきます。
子どもが泣かずに普段どおりにしています。大丈夫でしょうか。
悲しみの出方は一人ひとり違います。臨床レビューは、親を守ろうとして死の話をしない子や、思春期に影響を小さく見せる子がいるとしています。話せる機会を残しつつ、眠りや食事、学校での様子を見守り、数週間たっても日常に戻れないときは相談を考えます。

出典・参考

  • David J. Schonfeld, Marcia Quackenbush「大切な人を失ったあとに 子どもの悲嘆とケア ―子どもを支える親と大人のためのガイドブック―」(日本語版:PCIT Japan、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 成人精神保健研究部、2011年)
    https://grievingstudents.org/wp-content/uploads/2016/05/Japanese.pdf(確認日 2026-10-13)。
    この出典で確認した記述
    原著は "After a Loved One Dies – How Children Grieve, and How Parents and Other Adults Can Support Them"(New York Life Foundation, 2009)。日本語版は全31ページで、監訳 加茂登志子・中島聡美、日本語版の序文は2011年6月1日付。印刷ページ=PDFページ−1。PDF6ページ「年齢からその子の理解度を想定してはいけません。そうせずに、本人に、考えや気持ちを話してもらいましょう」。PDF7〜8ページに死の4つの基本概念「① 死は永遠である」「② 死によって 生きるための体の働きは完全に停止する」「③ 人は誰もがいつかは死ぬ」「④ 人が死ぬには物理的な理由(死因)がある」、「大人は亡くなった人について話すとき『長い旅にでているのよ』などと言って、一時的にこの誤解を強めてしまうことがあります」「自分が悪いことをしたから、または自分がちゃんとしなかったから、お母さんは死んだのだと考えることもあります」「解りやすい、ありのままの言葉で簡潔に説明しましょう。子どもの反応を見ながら説明し、質問しやすいようにしてあげましょう。詳しい情景描写は必要ありません」。PDF9ページ「『永遠の眠り』についたのだと説明すると、子供は眠るのを怖がるようになるかもしれません」「やさしく、しかし、率直にありのままを伝えましょう。『死』とか『死んだ』という言葉を使います」「どこまで理解しているかを本人に確認します…『どんなふうにわかったのか教えてもらえる?』」「(例えば、『仏様』になったということの意味は子どもにはよくわかりません)」「亡くなった人の肉体に何が起こったかを事実として簡潔に伝えた上で、その家の宗教的考えを説明します」。PDF5ページ、説明がつらいときは「話合いの時、誰かに助けてもらうこともできます」、話し合いは「一度ではなく、何回か」必要。PDF16ページ「ストレスがかかると子どもは、幼かった時のレベルに退行(子ども返り)することがあります」。PDF17ページ「子どもにもできるだけお葬式や追悼の会に出席する機会を与えるべきです」「お葬式へ出席させてもらえないと、子どもは実際よりはるかに恐ろしいものを空想してしまいます」「重要な家族の行事からのけ者にされたことで気持ちが傷つくこともある」、事前に場所・参列者・棺の有無などを具体的に説明し「何でも質問していいと伝えて下さい」「子ども自身に、出席するか否かを決めさせましょう」。PDF18ページ「特に幼児や小学生は、葬儀の最中ずっと付き添う大人を決めておきましょう」。PDF22ページ「死別後数週間を経過しても子どもが普段の生活に戻れないようであれば、専門家に相談した方が良いでしょう。かかりつけ医やスクールカウンセラーに相談してみましょう」。本文の「言葉」節、「年齢」節2段落目、「悲しみの出方」節2段落目の子ども返り、「お葬式」節、図1・図2、工夫1・2、3行まとめ、気をつけたいこと1・3段落目、よくある質問1・2つ目はこれによる。
  • Soetioso VB, Fithriyah I. Grief in Children and Adolescents: A Developmentally Informed Clinical Review With Illustrative Cases. J Korean Acad Child Adolesc Psychiatry. 2026;37(1):44–50.
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12782988/(確認日 2026-10-13)。
    この出典で確認した記述
    症例を交えたナラティブ・レビュー(系統的レビューではない)。"In early childhood, particularly before the age of seven, children do not fully understand the finality or universality of death. Many believe that the deceased can return or that their own behavior or thoughts caused the death" "Children in middle childhood, typically between the ages of seven and eleven, begin to grasp the permanence of death and its broader implications." "Some children in this developmental stage attempt to protect caregivers by not discussing the death" "Adolescents may refuse to discuss the death entirely, or they may minimize its impact out of fear of appearing vulnerable or of destabilizing a grieving parent." "A child who adjusts relatively well after the death of a parent at age five may grieve with renewed intensity during adolescence, when cognitive maturity allows a deeper understanding of what was lost" と記載。本文の「年齢」節1・3段落目、よくある質問3つ目はこれによる。年齢の区切りは目安で、個人差があることを本文で併記した。
  • 文部科学省「学校における子供の心のケア -サインを見逃さないために-」(2014年3月)
    https://www.mext.go.jp/content/000443455.pdf(確認日 2026-10-13)。
    この出典で確認した記述
    PDF25ページ(印刷18ページ)のコラム「一般的な悲嘆(グリーフ)と心的外傷性悲嘆について」に「大切な人との死別に引き続く様々な心身の変化は、『悲嘆反応』と呼ばれ、自然で当然の反応であると考えられています」「悲しみ・怒り・不安・ぼんやりするなどの情緒面の変化や、睡眠や食行動の変化、疲労けん怠感や身体不調の訴え、意欲の低下や集中力の低下、仲間関係における困難などが、よく見られる反応です」「時間経過とともに悲嘆反応は和らいでいき」「大切な人を突然亡くした子供が、長期にわたり学校生活に支障をきたす状態が続いている場合には、地域の専門機関との連携が必要になります」。同ページ「保護者・家族・近親者が亡くなった場合」に「子供が信頼を寄せている大人との間では、故人についての話題をタブー視せず、折に触れて語り合うこと…は必要です」「数年以上たっても、故人の話題に涙ぐむことがあるとしても、自然なことと受け止めてあげましょう」と記載。本文の「悲しみの出方」節、気をつけたいこと1段落目はこれによる。旧URL(1347830.htm 等)は404のため、現行の content 配下PDFを参照した。
  • 文部科学省「子供の心のケアのために(保護者用)」リーフレット(2015年2月)
    https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/__icsFiles/afieldfile/2015/03/06/1355565_01.pdf(確認日 2026-10-13)。
    この出典で確認した記述
    全4ページ。1ページ目「保護者が対応に困るような子供の行動が続くときには、『ストレスサインかもしれない』と考えてみることが大切です」、サインの例に「親のそばから離れない、強い甘えが見られる」「一人になるのを怖がる」「夜尿が始まる、あるいは増える」「食欲がない、あるいは過食になる」「眠れない」。4ページ目「すぐに精神科や心療内科を受診することに抵抗がある場合、まず学校医やかかりつけの小児科、内科の先生に相談して、必要に応じて紹介を受けるという方法もあります」。本文の「悲しみの出方」節1段落目、気をつけたいこと2段落目はこれによる。リーフレットは災害・事件等を含むストレス全般を対象としており、死別に限った資料ではない。
  • 文部科学省「『24時間子供SOSダイヤル』について」
    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1306988.htm(確認日 2026-10-13)。
    この出典で確認した記述
    「話しにくいときには、いつでも電話で相談できる『24時間子供SOSダイヤル0120-078310(なやみいおう)』に相談してみましょう」「下記のダイヤルに電話すれば、夜間・休日を含めていつでも、原則として電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関に接続」と記載(ふりがなは省略)。同省「24時間に相談できる窓口」ページ(06112216.html)では同じ番号を「0120-0-78310」と表記しており、本文はこの表記に合わせた。本文の気をつけたいこと3段落目はこれによる。

この記事について

本記事は家庭での関わりを整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。研究知見や公的資料は「一つの考え方」として紹介しており、家庭ごとに合う・合わないがあります。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

筆者コメント