3行まとめ

  • 国の調査で、家族の世話をしている子は小学6年生の6.5%、中学2年生の5.7%。中学2年生の世話の時間は平日1日平均4.0時間。
  • 法律は「過度に」世話をしている子を支援の対象とし、遊びや勉強の時間が奪われていないか、心と体の負担が重くないかを目安にしている。
  • 世話をしている中学2年生の67.7%は誰にも相談したことがない。親から話題にし、家族の外のサービスで役割を代わってもらう道がある。

この記事でわかること

  • 家族の世話をしている子どもの割合と、世話の中身
  • お手伝いと、支援を考えたいケアの境目
  • 子どもが自分から話さない理由
  • 家庭でできる話し方と役割の見直し
  • ケアを代わってもらえるサービスと相談先

「助かるよ」が続いた先に

親の通院や仕事の都合で、上の子に下の子の保育園のお迎えを頼むようになった。最初は週に一度だったのが、いつの間にか毎日になり、夕飯の準備や寝かしつけまで引き受けてくれている。「助かるよ」と言うたびに子どもはうなずくけれど、友達と遊ぶ話を最近聞かない。そんな家庭は珍しくありません。

家族が助け合うこと自体は自然なことです。ただ、頼る側の大人は目の前の毎日を回すので精一杯で、子どもの時間がどれだけ減っているかに気づきにくい。「ヤングケアラー」という言葉は、子どもや家族を責めるためではなく、支えを家族の外にも広げるための言葉です。

小学6年生の約15人に1人が家族の世話をしている

国は2020〜2021年度に、全国の小学生から大学生を対象に実態調査を行いました。世話をしている家族が「いる」と答えた割合は次のとおりです。

家族の世話をしている子どもの割合(令和2・3年度 国の実態調査、こども家庭庁の集計)
学年世話をしている家族がいるうち世話の担い手が自分のみ
小学6年生6.5%(631人)0.7%
中学2年生5.7%(319人)0.5%
高校2年生(全日制)4.1%(307人)0.5%

世話の相手で最も多いのはきょうだいで、小学6年生では71.0%、中学2年生では61.8%でした。中学2年生では父母が23.5%、祖父母が14.7%です。中学2年生が世話を始めた年齢は平均9.9歳、平日に世話に使う時間は1日平均4.0時間でした。家事や送り迎えだけでなく、見守りや話し相手といった、外からは見えにくい世話も含まれています。

お手伝いとヤングケアラーの違いは何ですか

違いは、世話によって子どもの成長に必要な時間や心身の余裕が奪われているかどうかです。2024年6月に改正された子ども・若者育成支援推進法は、ヤングケアラーを「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」と定め、国や自治体が支援に努める対象にしました。

こども家庭庁の施行通知は「過度に」を、遊びや勉強など子どもの健やかな成長に必要な時間が奪われたり、ケアで体や心に負荷がかかったりして、負担が重い状態と説明しています。世話の範囲も広く、幼いきょうだいの世話や家事のほか、目の離せない家族の見守り、声掛けなどの気遣い、通訳も含まれます。

お手伝いと、支援を考えたい過度なケアの目安を上下に比べた図。上は家族の一員としてのお手伝いで、量や時間を家族で調整できる、遊び・勉強・睡眠の時間が残る、やめたい日にやめたいと言える、大人が主に担い子どもは補助。下は支援を考えたい過度な状態で、代わりの人がいない、遊びや勉強の時間が削られる、欠席・遅刻・寝不足が続く、見守りや気づかいで心が休まらない。
図1:施行通知の「過度に」の説明をもとに、編集部が家庭で見やすい目安に整理したものです。

学校生活への影響も調査に表れています。小学6年生で欠席することがある子は、世話をしている家族がいる場合24.7%、いない場合14.3%。遅刻や早退は22.9%と11.6%でした。世話をしている子のうち、1日3時間以上を世話に使う子は学年によって29.9〜35.1%います。

子どもが自分から言わない理由

世話について誰かに相談したことがない中学2年生は67.7%でした。理由の最多は「誰かに相談するほどの悩みではない」の74.5%で、「相談しても状況が変わるとは思わない」も24.1%います。施行通知も、子どもは自分の負担や不調に自覚がない場合があると書いています。

小学6年生で父母の世話をしている子に、父母の状態を尋ねると「わからない」が33.3%で最も多くなりました。報告書は、病気や障害について説明されないまま世話をしている可能性を指摘しています。父母の世話をする小学生の35.1%は、世話について話を聞いてくれる人がいないと答えました。

言葉そのものも、まだ子どもに届ききっていません。2025年度の調査では「ヤングケアラー」を聞いたことがない子は小学6年生で53.6%、中学2年生で41.9%でした。子どもが自分を当てはめて考える手がかりが少ない以上、最初の一言は大人の側から出すほうが自然です。

ケアを家族の外に分ける

施行通知は支援の中身として、介護保険サービス、障害福祉サービス、子育て世帯訪問支援事業、外国語の通訳派遣などで、子どもが担っているケアを外部のサービスに代わってもらうことを挙げています。ケアから離れて休む機会をつくることも含まれます。

関係機関には、子どもが主な介護者になっている場合でも、子どもを「介護力」とすることを前提にせずにサービスの支給を決めるよう求めています。ケアマネジャーや担当窓口と話すときは、子どもがしていることを具体的に伝えると、サービスを考える材料になります。

親が家庭でできる3つのステップを示した図。1、家の仕事を見える化する。子どもが担っていることを1週間分、一緒に書き出す。2、話せる場をつくる。家族の病気や事情を説明し、やめたいことも聞く。3、外のサービスにつなぐ。介護・障害福祉・子育て支援で子どもの役割を代わってもらう。
図2:見える化、話す、つなぐの順で考えると、一度に全部を変えなくて済みます。

次の3つは、今日からでも家庭で始められる工夫です。

家庭で試す3つの工夫

  1. 1週間の「家の仕事表」を一緒に書く:お迎え、料理、見守り、通訳などを曜日ごとに書き出し、子どもが担っている時間を足してみます。数字にすると、大人が引き取る分や外に頼む分を話し合いやすくなります。
  2. 家族の病気や事情を年齢に合わせて説明する:何のために、いつまで手伝ってほしいのかが分かると、子どもは見通しを持てます。分からないことは聞いていいと伝えておきます。
  3. 「やめたいこと」と「やりたいこと」を聞く:調査で中学2年生が挙げた、世話のためにできていないことの上位は「自分の時間が取れない」と「勉強する時間が取れない」でした。部活や友達との約束など、守りたい時間を先に決めます。

声かけの言い換え例

  • 「お姉ちゃんなんだから」→役割を当然のものにしてしまう。
  • 「いつも本当に助かってる。でも、無理していないか教えてね」→感謝と確認を両方伝えられる。
  • 「家のことは外で言わないでね」→相談する道を閉ざす。
  • 「先生や相談の人になら、家のことを話してもいいよ」→話せる相手が増える。
  • 「大丈夫だよね」→「大丈夫」としか答えにくい。
  • 「今週、自分の時間はどれくらいあった?」→具体的に振り返れる。
  • 「あなたがいないと回らない」→やめたいと言いにくくなる。
  • 「ここは大人で何とかするから、部活に行っておいで」→守りたい時間を渡せる。

家庭で確認するチェックリスト

  • 子どもが担っている世話の内容と時間を、大人が把握している。
  • 遊び、勉強、睡眠の時間が平日にも残っている。
  • 欠席や遅刻、忘れ物が世話のために増えていない。
  • 家族の病気や事情を、子どもが分かる言葉で説明している。
  • 家族以外に、子どもが家のことを話せる大人がいる。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

この記事は家族の世話と親子の話し方を整理したもので、ヤングケアラーに当たるかどうかを判定するものではありません。支援の対象かどうかは、自治体が子どもの状況と受け止めを踏まえて個別に判断するとされています。当てはまるか迷う段階でも相談できます。

相談先は、お住まいの市区町村のこども家庭センターや子育て支援の窓口です。家族の介護や障害が関わる場合は、介護保険や障害福祉の担当窓口、すでに担当のケアマネジャーや相談支援の担当者がいればその人にも、子どもがしていることを伝えてください。学校の担任、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーに状況を伝え、見守りを頼む方法もあります。

子どもが親には言いにくいこともあります。24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)は、夜間や休日も子ども本人や保護者が電話で相談できます。親自身が疲れ切っているときも、まず自分の体調を窓口に伝えることから始めて構いません。

よくある質問

子どもに家事やきょうだいの世話を頼むのは、よくないことですか。
頼むこと自体が問題なのではありません。法律が支援の対象としているのは世話を「過度に」担っている場合で、施行通知は、遊びや勉強の時間が奪われたり、心身に負荷がかかったりして負担が重い状態を指すと説明しています。量と時間を見直せるかどうかが目安になります。
子どもが「平気」と言っていれば、大丈夫ですか。
言葉だけで判断しないほうがよいと考えられます。国の調査では、世話をしている中学2年生の67.7%が相談したことがなく、理由の最多は「相談するほどの悩みではない」でした。施行通知も、子どもは負担に自覚がない場合があるとしています。睡眠や欠席、自分の時間の様子もあわせて見てください。
ヤングケアラーの相談はどこにすればよいですか。
市区町村のこども家庭センターや子育て支援の窓口が入り口です。介護や障害が関わる場合は、介護保険や障害福祉の担当窓口、ケアマネジャーにも子どもの役割を伝えてください。施行通知は、子どもを「介護力」とすることを前提にせず、外部サービスでケアを代わることを求めています。

出典・参考

  • こども家庭庁「ヤングケアラー支援の強化に係る法改正の経緯・施行について」(2024年6月)
    https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e0eb9d18-d7da-43cc-a4e3-51d34ec335c1/628c375f/20240612_policies_young-carer_11.pdf(確認日 2026-10-08)。
    この出典で確認した記述
    全7ページのスライド資料。1ページ目に、子ども・若者育成支援推進法を改正し「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」として、国・地方公共団体等が各種支援に努めるべき対象にヤングケアラーを明記したこと、施行は公布日(令和6年6月12日)と記載。3ページ目の図5・図6は令和3年度調査の小学6年生について、欠席する割合が世話をしている家族がいる場合(631人)24.7%、いない場合(9,128人)14.3%、遅刻や早退をする割合が同じく22.9%、11.6%(図の数値は日本総研報告書の図表72・73で、たまに欠席21.4%+よく欠席3.3%、12.5%+1.8%、遅刻早退18.5%+4.4%、9.3%+2.3%と照合)。4ページ目に「『過度に』とは…こどもにおいてはこどもとしての健やかな成長・発達に必要な時間(遊び・勉強等)を…奪われたり、ケアに伴い身体的・精神的負荷がかかったりすることによって、負担が重い状態になっている場合を指す」「『家族の日常生活上の世話』には…幼いきょうだいの世話、障害や病気等のある家族に代わって行う家事や労働のほか、目の離せない家族の見守りや声掛けなどの気遣いや心理的な配慮、通訳なども含まれる」「こども期(18歳未満)に加え…おおむね30歳未満を中心としているが、状況等に応じ、40歳未満の者も対象となり得る」「支援対象であるかの判断を行うに当たっては、その範囲を狭めることのないように十分留意し、一人一人のこども・若者の客観的な状況と主観的な受け止め等を踏まえながら…個別に判断していくことが重要」「こどもについては、自身の負担や不調、生活上の支障に対する自覚がない場合も考えられる」と記載。6ページ目に「介護保険サービスや障害福祉サービス、子育て世帯訪問支援事業、外国語対応通訳の派遣等を活用して本人が担っているケアを外部サービスで代替していくほか、日常的なケアから離れたレスパイトの機会を確保」「子が主たる介護者となっている場合には、子を『介護力』とすることを前提とせず、居宅サービス等の利用について十分配慮して支給決定等を行う必要がある」「家族全体を支援する視点」と記載。本文の「境目」節、「外のサービス」節、図1、3行まとめ2つ目、気をつけたいこと、よくある質問1・3つ目はこれによる。
  • こども家庭庁「支援の必要性・緊急性の高い支援対象者」(2024年6月、令和2・3年度調査研究の集計)
    https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e0eb9d18-d7da-43cc-a4e3-51d34ec335c1/1652c556/20240612_policies_young-carer_16.pdf(確認日 2026-10-08)。
    この出典で確認した記述
    1ページ目の表に、家族の世話をしている人と、うち世話の担い手が「自分のみ」の人が、小学6年生(回答9,759人)631人(6.5%)・67人(0.7%)、中学2年生(5,558人)319人(5.7%)・29人(0.5%)、高校2年生(全日制、7,407人)307人(4.1%)・35人(0.5%)と記載。「家族の世話をしているこども・若者のうち、ケア時間が3時間以上/日の者が 29.9%~35.1%」、「父母の世話をする小学生の16.2%が自分のみで世話、父母の世話をする小学生の35.1%が世話について話を聞いてくれる人がいないと回答」と記載。本文の表、3行まとめ1つ目、「境目」節3段落目、「話さない理由」節2段落目はこれによる。大学3年生の数値も同表にあるが、本文では扱っていない。
  • 三菱UFJリサーチ&コンサルティング「ヤングケアラーの実態に関する調査研究 報告書」(令和2年度 厚生労働省 子ども・子育て支援推進調査研究事業、2021年3月)
    https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/04/koukai_210412_7.pdf(確認日 2026-10-08)。
    この出典で確認した記述
    中高生アンケート調査の結果(PDF96〜104ページ、印刷ページ92〜100)。図表76で世話をしている家族が「いる」中学2年生5.7%、全日制高校2年生4.1%。図表77で世話を必要としている家族(中学2年生319人、複数回答)は父母23.5%、祖父母14.7%、きょうだい61.8%。図表84で世話を一緒にしている人が「自分のみ」中学2年生9.1%、全日制高校2年生11.4%。世話を始めた年齢は「中学2年生は平均9.9 歳」。平日1日あたりの世話の時間は「中学2年生は平均 4.0 時間、全日制高校2年生は平均 3.8 時間」。図表88で世話のためにやりたいけれどできていないこと(中学2年生)は「自分の時間が取れない」20.1%、「宿題をする時間や勉強する時間が取れない」16.0%、「特にない」58.0%。図表90で世話について相談した経験は中学2年生「ある」21.6%、「ない」67.7%。図表92で相談したことがない理由(中学2年生216人)は「誰かに相談するほどの悩みではない」74.5%、「相談しても状況が変わるとは思わない」24.1%、「家族のことのため話しにくい」12.0%。本文の「数」節2段落目、「話さない理由」節1段落目、工夫3、3行まとめ3つ目、よくある質問2つ目はこれによる。
  • 日本総合研究所「ヤングケアラーの実態に関する調査研究 報告書」(令和3年度 厚生労働省 子ども・子育て支援推進調査研究事業、2022年3月)
    https://www.jri.co.jp/file/column/opinion/detail/2021_13332.pdf(確認日 2026-10-08)。
    この出典で確認した記述
    要旨(PDF4ページ、印刷ページiii)の【小学生の生活についてのアンケート調査】に「家族の世話をしていると回答した小学生は 6.5%。世話を必要としている家族はきょうだいが最も多く 71.0%、次いで母親が 19.8%」「世話を必要としている人が父母と回答した人に父母の状態像については、『わからない』との回答が 33.3%と最も高い。父母が病気や障がいを抱えていても、そうした状態について子どもに話していなければ、子ども自身は状況がよく分からないまま家族の世話をしている可能性がある」「子どもからの相談相手については家族(父母、祖父母、きょうだい)が 78.9%と最も多く、家族以外の大人については『学校の先生(13.8%)』…とその割合が大きく下がる」と記載。本文84ページ(印刷74〜75)で世話について相談した経験「ある」17.3%、「ない」76.1%。本文の「数」節2段落目、「話さない理由」節2段落目、工夫2はこれによる。
  • 有限責任監査法人トーマツ「ヤングケアラーの実態把握等に関する調査研究 報告書」(令和7年度 こども家庭庁 子ども・子育て支援等推進調査研究事業、2026年3月)
    https://www.deloitte.com/content/dam/assets-zone1/jp/ja/docs/industries/government-public-services/information/2026/young-carers-survey.pdf(確認日 2026-10-08)。
    この出典で確認した記述
    第2章の調査は令和7年12月9日〜令和8年1月30日に全国の公立学校から抽出した児童生徒に実施(有効回答 小学6年生6,031、中学2年生10,811、全日制高校2年生11,821)。図表2-9「ヤングケアラー」の認知度で「聞いたことはない」が小学6年生53.6%、中学2年生41.9%、全日制高校2年生16.8%(PDF20ページ、印刷16ページ)。本文の「話さない理由」節3段落目はこれによる。
  • 文部科学省「『24時間子供SOSダイヤル』について」
    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1306988.htm(確認日 2026-10-08)。
    この出典で確認した記述
    「悩んでいる子供や保護者等がいつでも相談できるよう教育委員会が夜間・休日を含め24時間対応可能な相談体制を整備しています」「いつでも電話で相談できる『24時間子供SOSダイヤル0120-078310(なやみいおう)』に相談してみましょう」と記載。本文の気をつけたいこと3段落目はこれによる。

この記事について

本記事は家庭での関わりを整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。研究知見や公的資料は「一つの考え方」として紹介しており、家庭ごとに合う・合わないがあります。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

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