3行まとめ

  1. 13歳未満は2回接種で、日本小児科学会のスケジュールでは間を4週(2〜4週)あける。「いつ打つか」ではなく「2回分の通院をいつ入れるか」の問題になる。
  2. 厚生労働省は、流行が例年12月〜3月でピークが1月末〜3月上旬であることから、12月中旬までに接種を終えることが望ましいとしている。逆算すると1回目は11月上旬まで。
  3. 子どもは定期接種の対象外で費用は原則自己負担。一方、子の看護等休暇は予防接種にも使える(小学3年生修了までの子・年5日)。

この記事でわかること

  • 年齢で接種回数と量がどう決まっているのか
  • 「12月中旬まで」から逆算すると、いつ予約するのか
  • ワクチンの有効率が年によって動くこと
  • 定期接種と任意接種の違いと、費用の確かめ方
  • 通院日をつくるために使える休暇制度

「予約、いつ取るんだっけ」で終わる9月

二学期が始まってしばらくすると、かかりつけの小児科の受付に「インフルエンザ予防接種 予約について」という紙が貼られます。まだ半袖の時期なので、目には入っても手は動きません。

焦るのは11月の終わりごろです。職場で「うちはもう2回目が終わった」と聞いて電話をすると、土曜の枠は埋まっている。1回目が取れても、2回目でもう一度カレンダーとにらみ合うことになります。

この慌ただしさは、この予防接種が1回で完結しないことから来ています。2回接種が必要な年齢の子がいる家庭にとって、これは「いつ打つか」ではなく「2回分の通院を、誰が、いつ作るか」という段取りの問題です。きょうだいがいれば、回数はさらに増えます。

公的情報の見方 ― 2回接種と「12月中旬まで」

まず回数です。厚生労働省のインフルエンザQ&Aは、接種回数を年齢で分けています。生後6か月以上3歳未満は1回0.25mLを2回、3歳以上13歳未満は1回0.5mLを2回、13歳以上は1回または2回。13歳未満の子は2回が基本です。

あいだの間隔は、日本小児科学会の予防接種スケジュールに、不活化インフルエンザについて「①-②は4週(2-4週)あける」と示されています。2週間でも成り立ちますが、4週間が推奨として置かれています。

時期を示すのは、厚生労働省の令和7年度の急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&Aです。例年12月〜3月頃に流行し、1月末〜3月上旬にピークを迎えるとしたうえで、12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいとしています。2回接種の子にとって、この「終える」は2回目までを指します。

逆算すると、4週間あける前提で2回目が12月上旬なら、1回目は11月上旬まで。予約が取りにくい時期を考えると、枠を押さえるのはその1か月ほど前です。

期待できること、期待しすぎないこと

厚生労働省のQ&Aは、発病を予防する効果に加えて「重症化」を予防する効果も期待されるとしています。数字としては、6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究で、発病防止に対する有効率が60%と報告されたことが挙げられています。

ただし、この数字は毎年同じではありません。国立健康危機管理研究機構(旧・国立感染症研究所)のIASRの報告では、6歳未満児の有効率は2013/14シーズンで51%、2014/15シーズンで31%と41%でした。受ければかからない、というものではないということです。

接種を済ませても、冬に発熱して学校を休む日は起こりえます。休む日数の数え方は感染症で学校を休むときの記事で整理しました。予防接種は休む日をゼロにする手段ではなく、重くなりにくくする備えの一つです。

定期接種ではない、ということ

季節性インフルエンザワクチンについて、厚生労働省は定期接種の対象を65歳以上の人、および60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能やHIVによる免疫の機能に一定の障害がある人としています。子どもはこの対象に入っていません。

そのため子どもの接種は任意接種にあたり、費用は原則として全額自己負担です。2回接種なら負担も2回分になります。

一方で、多くの市区町村が独自に助成を行っています。対象年齢も助成額も申請の要否も自治体ごとに違うため、自治体名と「インフルエンザ 予防接種 助成」で調べるのが確実です。

逆算すると、動くのは秋のはじめ

ここまでの数字を一本の流れにしてみます。ゴールは12月中旬までに2回目を終えること。その4週間前が1回目。1回目の予約を取るために、医療機関が受け付けを始める時期を知っておく必要があります。受付開始が9月中のところも、10月に入ってからのところもあります。

12月中旬までに2回の接種を終えるための逆算の流れを示した図。ステップ1は9月に予約の受け付け方を調べる段階で、かかりつけ医の予約開始時期と、電話かウェブかという受付方法、土曜や夕方の枠があるかを確認する。ステップ2は10月から11月上旬に1回目を受ける段階で、通院日を決めて付き添う人も先に決め、きょうだいがいる場合は同じ日にまとめられるかを相談する。ステップ3は2回目の予約を1回目の当日に取る段階で、日本小児科学会のスケジュールでは1回目と2回目の間を4週間、短くても2週間あけるとされている。ステップ4は12月中旬までに2回目を終える段階で、厚生労働省が12月中旬までに接種を終えることが望ましいとしていることに対応する。という4つのステップで構成されている。
図1:ゴールから逆に並べると、9月にやるのは接種ではなく「調べること」だけになる。

ここで効くのは、2回目の予約を1回目の当日に取ってしまうことです。受付で次回の話ができるうちに押さえれば、帰宅後にかけ直す手間が消え、間隔の条件もその場で確認してもらえます。

きょうだいがいれば通院の回数は倍になります。同じ日にまとめられるかは医療機関の運用によるので、予約時に聞いておくと動きが半分になります。運動会や模試など動かしにくい秋の予定との重なりも、この段階で見ておきたいところです。

通院日をつくる ― 仕事の側の段取り

平日の日中に2回、子どもを医療機関へ連れて行く。ここがいちばん重い部分です。使えるのが、育児・介護休業法にもとづく子の看護等休暇です。厚生労働省の育児休業制度特設サイトは、取得できる場面として「子に予防接種・健康診断を受けさせる場合」を明記しています。

子の看護等休暇の内容を4つのブロックで示した図。1つ目は対象となる子で、小学3年生修了までの子が対象であること。2つ目は日数で、対象となる子が1人の場合は1年間に5日まで、2人以上の場合は1年間に10日までであること。3つ目は取得できる場面で、子の病気やけがの看護、子に予防接種や健康診断を受けさせる場合、感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話、子の入園式・卒園式・入学式への参列の4つが挙げられていること。4つ目は取り方で、1時間単位および1労働日単位で取得でき、労使協定で除外できるのは1週間の所定労働日数が2日以下の労働者であること。という構成になっている。
図2:子の看護等休暇の枠組み。予防接種が取得事由に入っていること、時間単位で取れることが効く。

対象は小学3年生修了までの子で、日数は子が1人なら1年間に5日まで、2人以上なら10日まで。1時間単位および1労働日単位で取得できるとされているため、午後の1〜2時間だけ抜けて接種に行く使い方も制度上は成り立ちます。

気をつけたいのは、この年5日が冬の発熱で休む分と共通の枠だという点です。時間単位で使う、年次有給休暇と組み合わせる、土曜診療を使う、1回目と2回目で親が分担する。小学4年生以上は法律上の対象外なので、勤務先が独自に設けている制度を就業規則で確かめることになります。

家庭で試す3つの工夫

  • ①9月のうちは「調べるだけ」を済ませる:接種はまだ先でかまいません。かかりつけ医の予約受付がいつ、どの方法(電話・ウェブ・窓口)で始まるかだけを確認し、開始日をカレンダーに入れます。この10分が、11月の「土曜が埋まっている」を減らします。
  • ②2回分の通院を、付き添う人まで決めて先に置く:別々に考えると、そのつど調整が発生します。「1回目は自分、2回目はもう片方」まで含めて共有カレンダーに置きます。2回目は1回目の当日に受付で予約するのが最短です。
  • ③費用と助成を、金額で把握しておく:子どもの接種は任意接種で自己負担が原則です。医療機関の金額と、自治体の助成の有無・対象年齢を先に調べると、きょうだいの人数分をまとめて見通せます。

声かけの言い換え例

  • 「痛くないから大丈夫」→事実と違うと次の通院で信じてもらえなくなる。「チクッとするのは数秒。終わったら一緒に帰ろう」。
  • 「打っておけばインフルエンザにならないよ」→言い切ると、かかったときに約束が崩れる。「かかりにくくなって、かかっても重くなりにくいって国の資料に書いてあるよ」。
  • 「今日、注射だからね」(当日の朝に伝える)→逃げ場のない知らせ方になる。「木曜が1回目で、来月に2回目。2回で1セットなんだって」。
  • 「泣かなかったら偉いね」→我慢の上手さを評価する言い方になる。「行って、座って、終わらせた。それでじゅうぶん」。

家庭で確認したいチェックリスト

  • かかりつけ医の予約受付が始まる時期と受付方法を確認した。
  • 2回分の通院日と、それぞれ付き添う人をカレンダーに置いた。
  • 医療機関の費用と、自治体の助成の有無・対象年齢を調べた。
  • 勤務先での子の看護等休暇の申請方法(時間単位の可否)を確認した。
  • 接種してもかかりうる前提で、冬に休む日の段取りを共有した。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

この記事は公的資料の読み方と通院の段取りを整理したもので、接種を受けるかどうかを判断したり、勧めたりするものではありません。体質やアレルギー、持病、その日の体調をふまえた判断は、接種を行う医師と保護者の間で行われるものです。予診票の記入や保護者の同伴の扱いは医療機関ごとに異なるため、予約の際に確認してください。

接種の方法にも選択肢があり、日本小児科学会のスケジュールには注射のほかに経鼻の弱毒生ワクチンが2歳以上19歳未満を対象として記載されています。どれが適するかは医師にご相談ください。接種後に気になる体調の変化があったときの相談先は、接種を受けた医療機関です。夜間や休日に迷う場面はこちらの記事もご覧ください。

費用の助成は自治体ごとに内容が異なります。勤務先の休暇の扱いは、就業規則と人事の担当窓口が確認先です。接種回数や推奨時期を含む公的な情報も改定されることがあるため、その年の内容は厚生労働省とかかりつけ医の案内でご確認ください。

出典・参考

  • 厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」(インフルエンザについて)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2025.html(確認日 2026-09-05)。
    この出典で確認した記述
    「日本では、例年12月~3月頃に流行し、例年1月末~3月上旬に流行のピークを迎え」るとされていること、および「12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいと考えられます」との記述の根拠。本文の「例年12月〜3月頃に流行し、1月末〜3月上旬に流行のピークを迎える」「12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましい」はこの記述による。ワクチンの効果について、発病を予防する効果に加え「重症化」を予防する効果も期待されているとされていること、および「6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています」との記述が、本文「有効率が60%と報告されている」の根拠。定期接種の対象者が65歳以上の方、および60〜64歳で一定の障害がある方とされ、13歳未満の小児が定期接種の対象外であることの根拠でもある。
  • 厚生労働省「令和6年度インフルエンザQ&A」(インフルエンザワクチンの接種回数)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2024.html(確認日 2026-09-05)。
    この出典で確認した記述
    接種回数の設問において、年齢別に「6か月以上3歳未満の方 1回0.25mL 2回接種」「3歳以上13歳未満の方 1回0.5mL 2回接種」「13歳以上の方 1回または2回注射」と示されていることの根拠。本文の「生後6か月以上3歳未満は1回0.25mLを2回、3歳以上13歳未満は1回0.5mLを2回、13歳以上は1回または2回」はこの記載による。なお本ページは令和6年度版であり、令和7年度以降のQ&Aには年齢別の接種回数の表が掲載されていないため、回数と量の根拠として参照している。
  • 公益社団法人 日本小児科学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール/キャッチアップスケジュール」
    https://www.jpeds.or.jp/general/prevention/20138.html(確認日 2026-09-05)。
    この出典で確認した記述
    不活化インフルエンザワクチンについて「13歳未満:2回、13歳以上:1回または2回」とされ、接種間隔が「①-②は4週(2-4週)あける」と記載されていること、接種量が「6か月-3歳未満: 0.25mL、3歳以上: 0.5mL」とされていることの根拠。本文および図1の「1回目と2回目の間を4週間(短くても2週間)あける」はこの記載による。また経鼻弱毒生インフルエンザワクチンについて「2歳以上~19歳未満にシーズン毎①」と記載されていることが、「気をつけたいこと」節の経鼻ワクチンに関する記述の根拠。
  • 厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」(予防接種情報)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/influenza/index.html(確認日 2026-09-05)。
    この出典で確認した記述
    定期接種の対象者が「65歳以上の方」および「60~64歳で対象となる方(心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方)」とされていることの根拠。定期接種の対象者については「毎年度、秋冬に1回の接種を行います」とされていること、定期接種の対象外の人は任意接種として費用が自己負担となることの根拠。本文「子どもはこの対象に入っていません」「任意接種にあたり、費用は原則として全額自己負担」はこの記載による。
  • 厚生労働省「子の看護等休暇」(育児休業制度特設サイト)
    https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/nursing/(確認日 2026-09-05)。
    この出典で確認した記述
    対象となる子が「小学3年生修了までの子」とされていること、日数が「対象となる子が1人の場合は、1年間に5日まで。対象となる子が2人以上の場合は、1年間に10日まで」とされていることの根拠。取得できる場面として「病気、けがをした子の看護をする場合」「子に予防接種・健康診断を受けさせる場合」「感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話をする場合」「子の入園式、卒園式、入学式に参列する場合」の4つが挙げられていることが、本文「予防接種そのものが取得事由に含まれている」および図2の根拠。「休暇を時間単位で取得することも可能」「1時間単位及び1労働日単位」との記述、労使協定で除外できる労働者が「1週間の所定労働日数が2日以下の労働者」とされていることの根拠でもある。
  • 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト「6歳未満児におけるインフルエンザワクチンの有効性:2013/14および2014/15シーズン(厚生労働省班研究報告として)」IASR Vol.37 p.230-231(2016年11月号)
    https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/6881-441r08.html(確認日 2026-09-05)。
    この出典で確認した記述
    2013/14シーズンについて「1回接種と2回接種の調整ORはいずれも0.49と有意であった(有効率51%)」、2014/15シーズンについて「1回接種と2回接種の調整ORは0.69と0.59(有効率:31%と41%)であり,2回接種で有意」と報告されていることの根拠。本文「2013/14シーズンの有効率は51%、2014/15シーズンは31%と41%」はこの記載による。シーズンによって有効率の数値が動くことを示すために引用しており、本報告は医療機関を受診した患者を対象とした発病予防効果に関するもので、入院予防効果については記載がない。

この記事について

本記事は家庭での準備を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や、制度の可否を判断するものではありません。研究知見や公的資料は「一つの考え方」として紹介しており、家庭や地域ごとに合う・合わないがあります。気になる場合は、専門機関・学校・自治体にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

筆者コメント