3行まとめ

  • ストーブ火災は10月頃から増える。東京消防庁管内では5年間の451件のうち76.7%が電気ストーブで、布団や衣類が触れて燃える例が目立つ。
  • スチーム式加湿器の蒸気や、電気あんか・湯たんぽでは、子どものやけどや低温やけどが起きている。置き場所と使い方で減らせる。
  • 子どもだけの時間に使ってよい暖房を、親子で先に決めておく。やけどをしたら、すぐ流水で10分以上冷やす。

この記事でわかること

  • 冬の暖房器具の事故が、いつ、何から起きているか
  • 炎の見えない電気ストーブでも火災が多い理由
  • 加湿器の蒸気と、低温やけどが起きる温度と時間
  • 子どもだけの時間の暖房ルールの決め方

ついたままの電気ストーブ

小学4年生の娘は、平日の放課後、親が帰る18時半まで一人で過ごします。11月に入ったある日、仕事から戻ると、リビングの電気ストーブの前にカーディガンとランドセルが置かれ、ストーブはついたままでした。娘は奥の部屋で宿題をしていました。

何も起きなかったものの、夏に親子で決めた留守番のルールには、暖房のことが一つも入っていませんでした。どの暖房なら一人で使ってよいのか。考えてみると、親の側もはっきり決めていなかったことに気づきます。

ストーブ火災は10月から増える

製品評価技術基盤機構(NITE)が2025年10月に公表した資料では、2020年から2024年の5年間に通知された製品事故のうち、主な暖房器具の事故は596件でした。電気と石油のストーブ・ファンヒーターが約8割を占め、毎年8割以上が火災で、毎年100件前後起きています。月別では11月頃から大きく増え、12月がピークで、4月にかけて収まっていきます。

東京消防庁の資料(2026年1月)では、令和2年から6年の5年間に、管内でストーブを出火原因とする火災が451件ありました。そのうち電気ストーブによる火災が76.7%を占め、死者43人のうち34人も電気ストーブが原因でした。ストーブ火災は平均最低気温が15度になる10月頃から増え始め、春先まで続きます。死傷者254人のうち144件(56.7%)は、布団類や衣類などに火がついたものでした。

どちらも子どもに限った数字ではありません。ただ、暖房を出し始める今の時期が、事故が増える入り口にあたることは読み取れます。

電気ストーブも、触れた物から燃える

電気ストーブは炎が見えないため、石油ストーブより安心に感じられます。けれども東京消防庁の事例には、電気ストーブをつけたまま外出し、近くの木製の椅子の脚や座布団が触れて燃えたものがあります。NITEの2025年3月のアンケート(19,297人が回答)でも、電気ストーブで焦がした物として、干していた洗濯物を含む衣類・タオルが121件、布団・毛布が76件挙がっていました。

NITEと東京消防庁が共通して挙げるのは、ストーブと壁や燃えやすい物との距離をとり、近くで洗濯物を乾かさないこと、外出するときや寝るときは消すことです。石油ストーブ・ファンヒーターでは、給油口のふたの閉め忘れなどで漏れた灯油に火がついた事故が5年で30件、ガソリンを誤って給油した事故が19件ありました。給油は火を消してから行うものとされています。

また、石油やガスのストーブ・ファンヒーターは、室内の空気を使って燃え、排気を室内に出す仕組みです。東京都多摩立川保健所は、一酸化炭素中毒を防ぐため、1時間に1回以上、5分間程度窓を開けるなどのこまめな換気を呼びかけています。

加湿器の蒸気と、低温やけど

火事だけでなく、やけども冬に起きやすい事故です。国民生活センターには、2016年度以降の5年あまりに、炊飯器、電気ポットやケトル、スチーム式加湿器の蒸気で0〜5歳の子がやけどをした事故情報が56件寄せられていました。加湿器の蒸気で、皮膚の移植が必要になるほど重いやけどを負った例もあります。テストでは、高温蒸気への対策機能を表示した加湿器としていない加湿器とで、蒸気口付近の温度に30℃近い差がありました。消費者庁が紹介する事例には、高さ1mの台にのせていた加湿器が倒れ、3歳の子に熱湯がかかって入院したものもあります。

もう一つが低温やけどです。NITEは、44℃では3〜4時間、46℃では30分〜1時間、50℃では2〜3分で低温やけどになるといわれていると紹介し、幼児は特に注意が必要としています。電気あんかや電気毛布は寝る前に布団を温め、寝るときはスイッチを切るか、体に触れない距離まで離すよう求めています。消費者庁も、湯たんぽや電気カーペットを長時間使わないこと、暖房器具に直接触れなくても温風が当たり続けてやけどをすることがあると注意しています。

冬のやけどが起きやすい場面と、減らす工夫を上下に比べた図。上は起きやすい場面で、スチーム式加湿器の蒸気口に触れる、台の上の加湿器が倒れて熱湯がかかる、電気あんかを当てたまま眠る、温風が同じ所に当たり続ける。下は減らす工夫で、加湿器は手の届かない場所に置く、高温蒸気の対策機能を確かめる、寝るときはあんかを切るか離す、湯たんぽやカーペットは長時間使わない。
図1:国民生活センター、消費者庁、NITEの資料をもとに、冬のやけどが起きやすい場面と工夫を整理したもの。

子どもだけの時間に、どの暖房を使わせる?

火を使う暖房や、布団・衣類の近くに置く暖房は親がいるときだけにし、子どもが一人で使う暖房を1つに絞るのが一つの考え方です。

資料が挙げる注意は、燃えやすい物から離す、外出や就寝のときは消す、給油は消してから、換気をする、の4つに集まります。どれも大人には当たり前でも、宿題や遊びに夢中な子どもが一人で毎回守り続けるのは負担が大きいものです。だからこそ「使ってよい暖房」と「親がいるときだけの暖房」を先に分けておくと、子どもが迷う場面が減ります。家の造りや暖房の種類、子どもの年齢によって合う決め方は違うので、家族で話して決めてください。

子どもだけで過ごす冬の時間に決めておく暖房の4つの決めごとの図。1は使う暖房を1つ決めて紙に書いて貼る。2はストーブの前に布団、衣類、洗濯物、ランドセルを置かない。3は部屋を出るときと寝る前に消し、給油は大人がする。4はやけどをしたら流水で10分以上冷やし、冷却シートは使わず、親に連絡する。
図2:NITE、東京消防庁、消費者庁の注意喚起をもとに、子どもだけの時間の決めごとを4つにまとめたもの。

暖房を出すこの時期に、家族で一度だけ時間をとって決めておけることがあります。

家庭で試す3つの工夫

  1. 暖房のルールを紙1枚にする:「エアコンは使ってよい」「ストーブは大人がいるときだけ」のように、家にある暖房ごとに書き、留守番のルールと一緒に貼ります。
  2. ストーブの前を「置かない場所」にする:床にテープで印をつけ、ランドセル、上着、布団、洗濯物を置かない範囲を目で見てわかるようにします。
  3. 加湿器とポットの場所を見直す:弟や妹がいる家庭では、倒れても届かない場所へ移し、買い替えのときは高温蒸気の対策機能があるかを確かめます。

子どもに伝えるときは、禁止だけでなく、代わりにどうすればよいかを添えると覚えやすくなります。

声かけの言い換え例

  • 「ストーブ危ないから触らないで」→何が危ないか伝わらない。「ストーブの前には服もランドセルも置かないでね。燃えることがあるんだよ」。
  • 「寒くても我慢して」→隠れて使いたくなる。「寒いときはエアコンをつけていいよ。ストーブはお父さんかお母さんがいるときね」。
  • 「ちゃんと消した?」→答えが「うん」で終わる。「部屋を出るとき、何を消すんだっけ?」。
  • 「やけどしたら言ってね」→あとで言いにくい。「熱いものに触ったら、すぐ水で冷やして電話してね。怒らないから」。

暖房を出す前に確かめたいこと

  • 子どもが一人で使ってよい暖房を、親子で決めて紙に書いたか。
  • ストーブの周りに、布団、カーテン、洗濯物などが近づいていないか。
  • 加湿器やポットを、倒れても子どもに届かない場所に置いたか。
  • 電気あんかや電気毛布を、寝るときは切るか離すと伝えたか。
  • やけどをしたら流水で10分以上冷やし、親に連絡すると決めたか。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

この記事は暖房器具の一般的な注意を整理したもので、個々の製品の安全性や、けがの重さを判断するものではありません。やけどをしたときは、消費者庁の注意喚起のとおり、すぐ流水や容器にためた水で10分以上冷やします。市販の冷却シートは、やけどの手当てには使えません。

やけどが広い、水ぶくれがある、顔や手のやけど、子どもの様子がいつもと違うときは、医療機関に相談してください。夜間や休日に受診するか迷うときの相談先は夜間・休日の体調不良の記事で整理しています。火が出たときは、子どもには消そうとせずに外へ逃げ、近くの大人と119番に知らせるよう伝えておきます。

石油ストーブやファンヒーターを使っていて頭痛がするなどのときは、使うのをやめて換気します。製品の使い方は、取扱説明書や製造元の案内で確かめてください。

よくある質問

電気ストーブなら、子どもだけでも安全ですか。
炎が見えなくても火災は起きます。東京消防庁管内では、5年間のストーブ火災451件のうち76.7%が電気ストーブで、つけたまま外出して近くの椅子や座布団が触れて燃えた事例もあります。周りに燃えやすい物を置かないことと、外出時や就寝時に消すことが大切です。
スチーム式の加湿器は、子どもがいる家で使っても大丈夫ですか。
置き場所に気をつけて使うのが一つの方法です。国民生活センターには、蒸気で0〜5歳の子がやけどをした事故情報が5年あまりで56件寄せられています。消費者庁は、手の届かない場所に置くか柵で囲むこと、高温蒸気への対策機能がある製品を検討することを呼びかけています。
低温やけどは、どのくらいの温度と時間で起きますか。
NITEは、44℃では3〜4時間、46℃では30分〜1時間、50℃では2〜3分で低温やけどになるといわれていると紹介しています。電気あんかや電気毛布は寝る前に布団を温め、寝るときはスイッチを切るか体から離すよう呼びかけています。
子どもがやけどをしたら、まず何をすればよいですか。
すぐに流水や容器にためた水で10分以上冷やします。消費者庁は、市販の冷却シートはやけどの手当てには使えないとしています。範囲が広いときや様子がいつもと違うときは、医療機関に相談してください。

出典・参考

  • 製品評価技術基盤機構(NITE)「ストーブとの程よい距離感が大切です ~「電気」「石油」暖房器具の事故を防ぐ4+1のポイント~」(2025年10月30日)
    https://www.nite.go.jp/data/000159473.pdf(確認日 2026-10-20)。
    この出典で確認した記述
    PDF1ページ「2020 年から2024 年までの5 年間にNITE(ナイト)に通知された製品事故情報では、主な暖房器具の事故が596 件ありました。そのうち、電気ストーブ・ファンヒーター(以下、電気暖房器具)と石油ストーブ・ファンヒーター(以下、石油暖房器具)の事故が約8 割を占めています」(主な暖房器具=石油・電気・ガスのストーブ/ファンヒーター、オイルヒーター、電気カーペット、電気こたつ)。PDF2ページ「毎年約8 割以上が火災の製品事故となっており、毎年100 件前後発生しています」「11 月頃から事故発生件数が大きく増加して12 月がピークとなり、4 月にかけて徐々に収束していきます」。PDF5ページ表4(石油暖房器具の事象別)「給油口ふたの閉め忘れ及び締め付け不良などにより漏れた灯油に引火」30件、「可燃物が接触して(又は放射熱で)出火」20件、「ガソリンの誤給油により出火」19件。PDF11ページ「暖房器具と壁や可燃物との距離が十分に確保できているかを確認する(洗濯物は乾かさない)」。PDF13ページ別紙1(2025年3月実施、19,297名回答のアンケート)電気ストーブで焦げた物「衣類・タオル(干していた洗濯物も含む)・・・121 件、布団・毛布・・・76 件」(本文「ストーブ火災は10月から増える」「電気ストーブも、触れた物から燃える」の根拠)。
  • 東京消防庁「STOP!ストーブ火災」(STOP!住宅火災シリーズ③、令和8年1月)
    https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/content/000058825.pdf(確認日 2026-10-20)。
    この出典で確認した記述
    令和2〜6年の住宅火災の集計。1ページ「過去5年間で東京消防庁管内においてストーブを出火原因とする火災が451件発生しました」「電気ストーブによる火災が76.7%で、非常に高い割合となっています」。防ぐポイントとして、外出時や就寝時は消すこと、「周囲に布団やカーテン、洗濯物などの燃えやすいものを置かない」こと、給油は消してから行うこと。事例として、電気ストーブを「つけたまま外出し、付近に置いていた木製椅子の脚及び座布団等の可燃物が電気ストーブに接触して出火」。2ページ「ストーブ火災による死者は43人で、このうち34人は電気ストーブが出火原因となっています」「死傷者254人のうち、布団類や衣類・繊維類の可燃物に着火した件数は144件で、56.7%」「ストーブ火災は、平均最低気温15度となる10月の秋頃から増え始め、4月の春先にかけての時期を中心に発生」(3行まとめ・本文「ストーブ火災は10月から増える」「電気ストーブも、触れた物から燃える」・FAQ第1問の根拠)。
  • 国民生活センター「家電から出る蒸気による乳幼児のやけどにご注意!-炊飯器、ポット、ケトル、加湿器(スチーム式)について-」(2021年9月2日公表)
    https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210902_3.html(確認日 2026-10-20)。
    この出典で確認した記述
    「2016年度以降の5年あまりの間に、電気炊飯器、電気ポットや電気ケトル、加湿器(スチーム式)の蒸気により乳幼児(0~5歳)がやけどを負った事故情報が56件」。2021年2月には「加湿器(スチーム式)の蒸気によって植皮手術が必要となるようなⅢ度の重篤なやけど」の情報。テスト結果として「高温蒸気への対策機能を表示していた加湿器(スチーム式)と表示していないものとでは、蒸気口付近の温度に30℃近くの差がありました」、蒸気口付近は「数秒触れただけでやけどを負うおそれがあります」(本文「加湿器の蒸気と、低温やけど」・図1・FAQ第2問の根拠)。
  • 消費者庁「子ども安全メール Vol.610 暖房器具などによるやけどに注意!」(2022年11月28日)
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20221128/(確認日 2026-10-20)。
    この出典で確認した記述
    「床に置くタイプの暖房器具や加湿器は、子どもの手が届かない場所に設置するか、安全柵などで囲みましょう」「暖房器具に直接触れなくても温風が当たり続けてやけどをすることがあります」「湯たんぽや電気カーペットなどは、長時間皮膚が同じ場所に触れて低温やけどをすることがあるので、長時間使用しないようにしましょう」「購入する場合は、高温蒸気への対策機能が付いている製品や転倒しても熱湯がこぼれにくい製品の購入を積極的に検討しましょう」。応急手当として「すぐに流水や容器に溜めた水で10分以上冷やしましょう」「市販の冷却シートは、やけどの手当てには使えません」。あわせて同庁 Vol.572(2021年11月18日、https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20211118/)の事例「高さ1mの台に加湿器をのせていた。目を離した隙に、加湿器が倒れていて、子どもに熱湯がかかっていた。…入院が必要となった」(3歳)も確認(本文「加湿器の蒸気と、低温やけど」・図1・図2・気をつけたいこと・FAQ第2・4問の根拠)。
  • 製品評価技術基盤機構(NITE)「就寝時の"足元"暖房にご用心!~電気あんか、カイロ、電気マットの取扱いに注意~」(2025年1月14日)
    https://www.nite.go.jp/data/000156554.pdf(確認日 2026-10-20)。
    この出典で確認した記述
    PDF1ページ「就寝前に布団を温め、就寝時はスイッチを切るか、身体に触れない距離まで十分に離す」。PDF2ページ「44℃では3~4 時間、46℃では30 分~1 時間、50℃では2~3 分で「低温やけど」になると言われています」「幼児や身体の不自由な方、糖尿病の方が使用する場合は特に注意が必要と言われています」、注として接触時間によっては44℃以下でも低温やけどになるおそれ。PDF3ページ、電気あんかを厚手のタオルやカバーで包んでも低温やけどのおそれ(本文「加湿器の蒸気と、低温やけど」・図1・FAQ第3問の根拠)。
  • 東京都多摩立川保健所「一酸化炭素中毒に注意しましょう」
    https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shisetsu/jigyosyo/hokenjyo/tthc/kankyou/soudan/sitsunai/carbonmonoxide(確認日 2026-10-20)。
    この出典で確認した記述
    「石油ストーブ、ガスストーブ、ファンヒーターなどいわゆる開放型暖房器具は、室内の空気(酸素)を使って燃焼し、排気ガスを室内に出す仕組み」「空気中における濃度が0.02%(200ppm)に上昇すると頭痛などが起こり」「1時間に1回以上5分間程度窓を開けるか、時間を決めて換気扇を回すなど、こまめな換気を心がけましょう」(本文「電気ストーブも、触れた物から燃える」の換気の段落・気をつけたいことの根拠)。

この記事について

本記事は家庭での準備を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や、制度の可否を判断するものではありません。研究知見や公的資料は「一つの考え方」として紹介しており、家庭や地域ごとに合う・合わないがあります。気になる場合は、専門機関・学校・自治体にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

筆者コメント