3行まとめ

  • 20歳になると学生も国民年金に加入し、保険料(2026年度は月額17,920円)の納付が始まる。誕生日からおおむね2週間で書類が届く。
  • 本人の前年所得が基準以下なら、学生納付特例で在学中の納付を猶予できる。申請は年度ごとで、家族の所得は問われない。
  • 未納のままにすると障害基礎年金を受けられないことがある。猶予した保険料は10年以内なら追納できる。

この記事でわかること

  • 20歳の誕生日のあとに届く書類と、届かないときの手続き
  • 学生納付特例の対象と所得の目安、申請先
  • 「納付」「学生納付特例」「未納」で何が違うのか
  • あとから納める追納の期限と、加算額がつく時期

20歳の誕生日のあとに届く封筒

日本年金機構によると、20歳になった人には、誕生日からおおむね2週間以内に「基礎年金番号通知書」「国民年金加入のお知らせ」「国民年金保険料納付書」、パンフレット、免除・納付猶予と学生納付特例の申請書、返信用封筒がまとめて届きます。会社で厚生年金に入っている人には送られません。

納付書が入っているので、そのまま払うものだと受け取る子もいれば、封を開けずに机に置いたままになる子もいるでしょう。この封筒は、払うか、猶予を申請するかを本人が選ぶための一式です。どちらも選ばずに置いておくことが、いちばん避けたい形になります。

なお、2週間ほど過ぎても「国民年金加入のお知らせ」が届かないときは、住んでいる市区町村の役所か年金事務所で加入の手続きが必要です。

学生でも保険料は払うのですか

原則として払います。日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は国民年金に加入することになっていて、学生も例外ではありません。保険料は20歳の誕生日の前日がある月の分から納めます。2026年度(2026年4月〜2027年3月)の保険料は月額17,920円で、1年分では215,040円です。

ただ、学生には申請によって在学中の納付が猶予される「学生納付特例制度」があります。対象は、大学・大学院、短大、高校、高専、特別支援学校、専修学校、修業年限1年以上の各種学校などに在学する人で、夜間・定時制や通信課程も含みます。日本年金機構は「ほとんどの学生の方が対象」と説明しています。

所得の基準は申請する本人だけで見ます。前年所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下であることが条件で、家族の所得の多い少ないは問いません。アルバイトの収入が多い年は、本人の所得が基準を超えないかを確かめておくとよいでしょう。

申請先は、住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口か年金事務所です。在学中の学校が代行の許認可を受けていれば、学校でも受け付けます。郵送やマイナポータルからの電子申請もでき、学生証の写しか在学証明書が要ります。承認されると、対象は4月から翌年3月までの1年間です。学生納付特例は一度出せば卒業まで続く手続きではなく、年度ごとに申請するものです。すでに納めた月の分は対象になりません。

「猶予」と「未納」は、何が違うのか

学生納付特例の期間は、払っていない点では未納と同じに見えますが、年金の扱いは大きく違います。日本年金機構のパンフレットは、三つの状態を次のように比べています。

「納付」「学生納付特例」「未納」の違い(日本年金機構「学生納付特例制度<ポイント>」令和8年度版より)
老齢基礎年金の受給資格期間老齢基礎年金の額障害基礎年金・遺族基礎年金の受給資格期間
納付算入される反映される算入される
学生納付特例算入される反映されない算入される
未納算入されない反映されない算入されない

差が大きいのは、病気やけがで障害が残ったときです。年金は老後に受け取るものだけではなく、障害基礎年金は2026年度の年額で1級1,059,125円、2級847,300円です(受け取るには一定の要件があります)。パンフレットは、手続きをしないまま納めずにいると、障害基礎年金を受け取れなくなる可能性があると書いています。

申請は、申請時点から2年1か月前の月の分までさかのぼってできます。ただし日本年金機構は、申請が遅れると、申請日より前に起きた事故や病気による障害について障害基礎年金を受け取れない場合があると注意しています。さかのぼれるからといって後回しにせず、届いた月のうちに出しておくほうが安心です。

20歳になった学生の国民年金の流れを示した図。1は誕生日からおおむね2週間で書類が届く。2は払うか学生納付特例を申請するかを決める。学生納付特例は本人の前年所得が基準以下なら対象で、申請先は市区町村、年金事務所、許認可を受けた学校。3は承認期間は4月から翌年3月で、年度ごとに申請する。4は猶予した保険料は10年以内なら追納でき、3年度目以降は加算額がつく。
図1:20歳になってからの流れ。日本年金機構「20歳到達時の国民年金の手続き」「国民年金保険料の学生納付特例制度」「国民年金保険料の追納制度」をもとに作成しました。

あとから納める追納と、家族の負担

学生納付特例の期間は、追納しなければ老齢基礎年金の額には反映されません。承認を受けた期間の保険料は、10年以内であれば、申し出てあとから納める(追納する)ことができます。日本年金機構は、学生納付特例の期間を1年分追納すると、老後の年金が年間で約2万円増えると説明しています。

追納には時期の目安があります。承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に納めると、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。原則として古い期間から納め、申し込みは年金事務所で行います(街角の年金相談センターでは手続きできません)。追納した保険料は社会保険料控除の対象です。

家族が保険料を払う場合の税の扱いも、国税庁が説明しています。納税者が、自分と生計を一にする親族が負担すべき社会保険料を支払った場合、その金額は社会保険料控除の対象になります。国民年金保険料の場合は、金額を証明する書類を確定申告や年末調整で出します。

在学中に本人が払うか、猶予して就職後に追納するか、家族が払うかは、家計の事情によって答えが違います。どれを選ぶにしても、未納のままにしないことが共通の出発点です。

学生納付特例と未納を比べた図。上は学生納付特例の手続きをした場合で、受給資格期間に算入され、障害基礎年金の対象になり、10年以内なら追納で年金額に反映できる。下は手続きをせず未納のままの場合で、受給資格期間に算入されず、年金額にも反映されず、障害基礎年金を受け取れないことがある。
図2:手続きをした猶予と、手続きをしない未納の違い。日本年金機構「学生納付特例制度<ポイント>」(令和8年度版)をもとに作成しました。

家庭で試す3つの工夫

  1. 20歳の誕生月に「封筒の話」をする:誕生日の前に、年金機構から書類一式が届くことを伝えておきます。届いたら一緒に中身を広げ、払うか申請するかを決める日を決めておくと、置きっぱなしを防げます。
  2. 毎年4月の予定に申請を書く:承認は4月から翌年3月までの1年分です。新学期の手続きと同じ欄に「学生納付特例」と書いておくと、2年目以降の出し忘れに気づけます。
  3. 基礎年金番号通知書をしまう場所を決める:一生使う番号です。進学や就職で引っ越しても見つけられるよう、保険証などと同じ場所に保管します。

声かけの言い換え例

  • 「年金なんて払っても戻ってこないよ」→「障害のときにも関わる制度だから、手続きだけは一緒に確かめよう」
  • 「封筒、まだ開けてないの?」→「年金の書類、届いたら一緒に見ようか」
  • 「全部こっちで払っておくから」→「払い方はいくつかあるから、どうするか一度話そう」
  • 「申請は去年やったでしょ」→「学生納付特例って毎年度出すものらしいよ。今年の分は出した?」

チェックリスト

  • 20歳の誕生日のあと、日本年金機構からの書類が届いたかを確かめた。
  • 払うか、学生納付特例を申請するかを本人と話した。
  • 本人の前年所得が基準以下かを確かめた。
  • 今年度の申請を出したか、来年4月にも出すことを確認した。
  • 基礎年金番号通知書の保管場所を決めた。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

この記事は、20歳になった学生の国民年金の仕組みを整理したもので、個別の家庭で払うべきか、猶予すべきか、追納すべきかを判断するものではありません。所得の基準や保険料額は年度によって変わります。申請の可否や追納できる月数・金額は、本人の記録によって違います。

手続きの相談は、住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口か、近くの年金事務所でできます。追納の申し込みは年金事務所です。「ねんきんネット」では、納付状況や、追納・納付ができる月数と金額を確かめられます。

病気やけがで障害が残ったときの障害基礎年金には、受け取るための要件があります。当てはまるか迷うときは、自分で判断せず年金事務所に相談してください。税の扱いは、税務署の相談窓口で確かめられます。

よくある質問

学生でも20歳になったら国民年金の保険料を払うのですか。
原則として払います。日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は国民年金に加入し、学生も含まれます。保険料は20歳の誕生日の前日がある月の分からで、2026年度は月額17,920円です。ただし本人の前年所得が基準以下なら、学生納付特例を申請して在学中の納付を猶予できます。
学生納付特例は、親の所得が高いと使えませんか。
親の所得は関係ありません。日本年金機構は、所得の基準は申請者本人のみで見て、家族の所得の多寡は問わないと説明しています。基準は前年所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下であることです。アルバイト収入が多い年は、本人の所得を確かめておくと安心です。
学生納付特例は毎年申請が必要ですか。
必要です。承認されると、対象は4月から翌年3月までの1年間です。複数年度を申請したいときは、年度ごとに申請書を出します。申請は2年1か月前の月の分までさかのぼれますが、申請が遅れると、申請日前の事故や病気による障害で障害基礎年金を受け取れない場合があります。
猶予した保険料は、あとから払えますか。
払えます。承認を受けた期間の保険料は、10年以内なら追納できます。承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に納めると、加算額が上乗せされます。日本年金機構によると、学生納付特例の期間を1年分追納すると、老後の年金が年間で約2万円増えます。追納した保険料は社会保険料控除の対象です。

出典・参考

  • 日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」(2026年8月3日更新)
    https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150514.html(確認日 2026-10-02)。
    この出典で確認した記述
    冒頭「日本国内に住むすべての方は、20歳になった時から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられていますが、学生には、申請により在学中の保険料の納付が猶予される『学生納付特例制度』が設けられています」。「1.対象者」に「学生納付特例を受けようとする年度の前年所得が一定額以下の学生が対象です。なお、家族の方の所得の多寡は問いません」「所得基準(申請者本人のみ) 128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」「学生とは、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校および各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する方で夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれますので、ほとんどの学生の方が対象です」「各種学校 修業年限が1年以上の課程に在学している方に限ります」。「2.申請方法」に申請先として「住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口」「お近くの年金事務所」「在学中の学校等(在学中の学校等が学生納付特例の代行事務を行う許認可を受けている場合に限ります)」、「申請書は郵送で提出することも可能です」、電子申請の案内、添付書類として「在学期間がわかる在学証明書(原本)または学生証…の写し」。「注意事項」に「学生納付特例の申請が遅れると、申請日前に生じた不慮の事故や病気による障害について、障害基礎年金を受け取ることができない場合があります」「原則として申請日にかかわらず、4月から翌年3月まで(申請日が1月から3月までの場合は、前年4月から3月まで)の期間を対象として審査します。ただし、保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1カ月前までの期間)についても、さかのぼって申請することができます」「複数年度の申請を希望する場合は、複数枚の申請書の提出が必要です」。本文「学生でも保険料は払うのですか」の対象・所得基準・申請先・年度ごとの申請、「猶予」と「未納」の節のさかのぼり申請と注意、よくある質問2・3の根拠。
  • 日本年金機構「令和8年度版 20歳以上の学生の方へ 学生納付特例制度<ポイント>」(パンフレットPDF)
    https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kokuminnenkin.files/point.pdf(確認日 2026-10-02)。
    この出典で確認した記述
    2ページ「『承認通知書』が届いた場合、承認期間は4月~翌年3月の1年間となります。すでに保険料を納付された月分は、学生納付特例の期間にはなりません」、前年所得のめやす「128万円+(扶養親族等の数×38万円)で計算した額以下」。3ページ「年金は、老後に受け取るだけではありません。病気やけがで障害が残ったときに、学生納付特例の手続きを行わないまま保険料を納付せずにいると、障害基礎年金が受け取れなくなる可能性があります」「障害基礎年金 令和8年度(年額) 1,059,125円(1級) 847,300円(2級)」(昭和31年4月2日以後生まれの方が受け取る場合の年金額)。ポイント4の表「納付 ○ ○ ○/学生納付特例 ○ × ○/未納 × × ×」(列は老齢基礎年金の受給資格期間への算入・年金額への反映、障害基礎年金・遺族基礎年金の受給資格期間への算入。※障害基礎年金および遺族基礎年金を受け取るためには一定の要件がある)。「承認を受けた期間の保険料は、10年以内であれば申し出により、あとから納めること(追納)ができます。ただし、承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます」。4ページ【令和8年度保険料額】の表で月々支払の場合「1カ月分 17,920円」「1年分 215,040円」。本文の保険料額、「猶予」と「未納」の表と障害基礎年金の段落、図2の根拠。
  • 日本年金機構「20歳到達時の国民年金の手続き」(2026年4月1日更新)
    https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/hatachi-tetsuduki.html(確認日 2026-10-02)。
    この出典で確認した記述
    「日本国内に居住している20歳以上60歳未満の方は、国民年金の被保険者(加入者)となります」「※厚生年金保険に加入している方を除きます」「20歳になってから概ね2週間以内に『基礎年金番号通知書』、『国民年金加入のお知らせ』、『国民年金保険料納付書』、『国民年金の加入と保険料のご案内(パンフレット)』、保険料の免除・納付猶予制度と学生納付特例制度の申請書、返信用封筒が送付されます」「『基礎年金番号通知書』は、…一生をとおして使用しますので、大切に保管してください」「20歳になってから約2週間程度経過しても『国民年金加入のお知らせ』が届かない場合は、国民年金の加入手続きが必要なため、お住まいの市(区)役所または町村役場、もしくはお近くの年金事務所で手続きをしてください」「国民年金保険料(20歳の誕生日の前日が含まれる月の分からの保険料)を納めてください」「保険料を納められないときは未納のまま放置せず、必ずこれらの申請をしてください」「(注)学生の方は免除・納付猶予制度をご利用いただけません。学生納付特例制度をご利用ください」。本文の情景節、「学生でも保険料は払うのですか」の第1段落、工夫③の根拠。
  • 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」(2026年4月1日更新)
    https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150331.html(確認日 2026-10-02)。
    この出典で確認した記述
    冒頭「後から納付(追納)することで年金額を満額に近づけることができます。また、追納した保険料は社会保険料控除の対象となります」。「2.メリット」に「1年間分追納すると、全額免除の期間であれば老後の年金が年間で約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間であれば年間で約2万円増えます」「納付猶予や学生納付特例の期間は年金の受給資格期間として計算されますが、追納しないと年金額には反映されません」。「3.追納保険料について」に「追納が承認された月の前10年以内の免除等期間について追納が可能です」「免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます」。提出先は「お近くの年金事務所(街角の年金相談センターではお手続きできません)」。注意事項に「原則古い期間の保険料から納付してください」。本文「あとから納める追納と、家族の負担」の第1・第2段落、よくある質問4、気をつけたいこと節の根拠。
  • 国税庁「No.1130 社会保険料控除」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130.htm(確認日 2026-10-02)。
    この出典で確認した記述
    概要に「納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といいます」。対象に「健康保険、国民年金、厚生年金保険および船員保険の保険料で被保険者として負担するもの」。手続きに「国民年金の保険料および国民年金基金の掛金に係る社会保険料控除の適用については、その保険料または掛金の金額を証する書類もしくは電磁的記録印刷書面を、確定申告書または年末調整の際に提出する『給与所得者の保険料控除申告書』に添付するか、これらの申告書を提出する際に提示する必要があります」。関連QAに「生計を一にしていた子の国民年金保険料を負担した場合」がある。本文「あとから納める追納と、家族の負担」の第3段落の根拠。

この記事について

本記事は家庭での話し合いを整理した一般的な情報であり、特定の学校の合否・優劣・進学先を判断・推奨するものではありません。個別の家計・投資の助言や、特定の金融商品の推奨も行いません。費用・選抜・支援制度は年度や地域によって変わるため、公式情報をご確認ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

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