3行まとめ
- 18歳の誕生日から、親の同意なしで契約できる。同時に、未成年のうちなら原則として使えた「親の同意のない契約の取消し」が使えなくなる。
- 18歳・19歳の相談は2025年度に10,250件で、2021年度以降で最多。脱毛エステや美容医療、副業・もうけ話、架空請求が上位に並ぶ。
- 契約をやめられる仕組みは買い方で違う。困ったら記録を残して188へ、を先に決めておく。
この記事でわかること
- 18歳で変わることと、20歳のまま変わらないこと
- 「未成年者取消権」が使えなくなるという意味
- 18歳・19歳にどんな相談が多いか(2025年度)
- 訪問販売と通信販売で違う、契約のやめ方
- 困ったときにつながる188の使い方
18歳の誕生日は、高校生のうちにやってくる
成年年齢が18歳になったのは2022年4月1日です。それ以降に18歳を迎える人は、誕生日に成年になります。多くの子は高校3年生のうちに18歳になり、卒業前から一人で契約できる立場になります。
家の中では、受験や就職の話が先に立ちます。契約の話は、進学先が決まって部屋を借りるときや、スマホを買い替えるときに、必要になってから出てくることが多いでしょう。
けれども、困りごとは手続きの場面だけで起きるわけではありません。SNSで知り合った人からのもうけ話、無料のつもりで申し込んだ体験、画面の確認を急かされる通販。困りごとは、子どもが一人でスマホを見ている時間に起きることが多く、そのときに親はそばにいません。だから、困ったときの動き方を先に決めておく意味があります。
18歳になると、何が変わるのか
一番大きな変化は、親の同意がなくても契約が有効になることと、困ったときに頼れた取消しが使えなくなることです。
法務省は、民法の成年年齢には「一人で有効な契約をすることができる年齢」と「父母の親権に服さなくなる年齢」という二つの意味があると説明しています。例として挙げているのは、携帯電話の購入、一人暮らしのアパートを借りること、クレジットカードの作成、ローンを組んで自動車を買うことです。住む場所や進学・就職も自分の意思で決められるようになります。ただし、進路について親や先生の理解を得ることが大切なのは変わらない、とも書かれています。
一方、お酒とたばこ、競馬などの公営競技の年齢制限は20歳のままです。
見落としやすいのが「未成年者取消権」です。未成年の人が親の同意を得ずに契約した場合、原則としてその契約を取り消せます。法務省は、この権利が未成年者の消費者被害を抑止する役割を果たしてきたと説明し、18歳・19歳ではそれが使えなくなるため、悪質商法などによる被害の拡大が懸念されているとしています。18歳からは、結んだ契約を「親の同意がなかったから」では取り消せないということです。
18歳・19歳の相談は、2025年度が最多だった
国民生活センターによると、契約した本人が18歳・19歳の消費生活相談は、2021年度8,536件、2022年度10,027件、2023年度9,788件、2024年度9,082件で、2025年度は10,250件でした。2021年度以降で最も多い数字です。
| 順位 | 商品・役務等 | 件数 |
|---|---|---|
| 1 | 商品一般(架空請求など) | 728件 |
| 2 | 脱毛エステ | 704件 |
| 3 | 他の健康食品(ダイエットサプリなど) | 432件 |
| 4 | 医療サービス(美容医療など) | 427件 |
| 5 | 賃貸アパート | 391件 |
| 6 | 役務その他サービス(稼ぎ方指南のサービスなど) | 339件 |
国民生活センターは、相談内容に大きな変化はなく、美容に関するものと、お金もうけに関するものが引き続き多いとまとめています。
買い方で見ると、通信販売が4,642件で全体の45.3%を占め、店舗での購入2,696件(26.3%)を大きく上回ります。手口別ではインターネット通販が2,805件、定期購入が963件で、定期購入は前年度の745件から増えました。平均の契約購入金額は22万5,601円、すでに支払った額の平均は7万8,936円です。相談の半分近くは、店に行かずに画面の上で結んだ契約から生まれていることになります。
やめられる仕組みは、買い方で違う
契約をやめたいと思ったとき、使える仕組みは買い方によって違います。消費者庁の特定商取引法ガイドから、代表的な二つを並べます。
| 訪問販売 | 通信販売(ネット通販など) | |
|---|---|---|
| 仕組み | クーリング・オフ | 返品のルール |
| 期間 | 法律で決められた書面を受け取った日から8日以内 | 返品特約がなければ、商品を受け取った日から8日以内 |
| 条件 | 書面または電磁的記録で申し出る | 広告に返品特約があれば、特約が優先する |
| 送料など | 商品の引取りは事業者の負担 | 返品の送料は消費者の負担 |
訪問販売のクーリング・オフには例外もあります。健康食品や化粧品のような消耗品を使ってしまった場合や、現金取引で総額3,000円未満の場合には適用されません。
通信販売は、広告に「返品できません」と表示されていれば、その特約に従うことになります。ネットで買うときは、申し込む前の画面で返品の条件を確かめることが、そのまま身を守る手段になるわけです。ネット通販の定期購入の見分け方は子どものネット通販 ― 「お試し」のつもりが定期購入になる前にで詳しく扱っています。
家庭で試す3つの工夫
- 18歳の誕生日をカレンダーに書く:誕生日の前に一度だけ、契約の話をする時間をとります。その日から何が変わるのかを、この記事の表を見ながら一緒に確かめるくらいで十分です。
- 188を連絡先に登録する:「消費者ホットライン」の番号を、親子のスマホにそれぞれ登録しておきます。困ったときに検索しないで済むだけで、動き出しが早くなります。
- 申し込む前の画面を残す習慣をつくる:ネットで申し込むときは、確認画面と返品条件のスクリーンショットを撮ってから確定する。あとで事情を説明するときの材料になります。
声かけの言い換え例
- 「変な契約をしたら許さないよ」→「困ったら、隠さずに相談してくれたほうが助かる」
- 「もうけ話なんて信じるほうが悪い」→「誘われたら、決める前に一回だけ話を聞かせて」
- 「成人なんだから自分で何とかしなさい」→「188という相談先があるから、一緒に電話してみようか」
- 「ネットで買い物はしないで」→「確定の前に、返品できるかどうかだけ見てみよう」
チェックリスト
- 子どもの18歳の誕生日が、高校在学中かどうかを確かめた。
- 18歳からは親の同意のない契約でも取り消せなくなることを、親子で共有した。
- お酒・たばこ・公営競技は20歳のままであることを確認した。
- 188の番号を親子のスマホに登録した。
- ネットで申し込む前に、返品条件と確認画面を残すことを話した。
家庭の工夫だけで抱え込まないために
この記事は、18歳からの契約の仕組みと相談先を整理したもので、個別の契約が取り消せるか、返金されるかを判断するものではありません。クーリング・オフの期間や条件は取引の種類によって違い、例外もあります。個別の事情は相談窓口で確かめてください。
契約で困ったときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、住んでいる地域の消費生活センターなどの相談窓口につながります。相談は無料ですが、通話料はかかります。話し中でつながらないときは、国民生活センターの「バックアップ相談」(03-3446-0999、平日10時〜16時)も使えます。
架空請求のように、身に覚えのない請求が届いたときは、書かれた番号に連絡する前に188で相談するのが安全です。子どもが一人で抱えていそうなときは、責めるより先に、相談したことを受け止めるほうが次につながります。
よくある質問
- 18歳になると、親の同意なしでクレジットカードを作れますか。
- 申し込むことはできます。法務省は、18歳・19歳の人が親の同意を得ずにできる契約の例としてクレジットカードの作成を挙げています。ただし、支払能力の審査の結果、作れないことがあるとも説明しています。ローンを組んで自動車を買う場合も、返済能力を超えるローン契約と認められると契約できないことがあります。
- 未成年者取消権とは何ですか。
- 未成年の人が親の同意を得ずに契約した場合に、原則としてその契約を取り消せる仕組みです。法務省は、この権利が未成年者の消費者被害を抑止する役割を果たしてきたと説明しています。成年年齢が18歳になったため、18歳・19歳の人はこの権利を使えません。18歳の誕生日から、親の同意のない契約も有効になります。
- ネットで買ったものは、クーリング・オフできますか。
- 通信販売の返品は、訪問販売のクーリング・オフとは別のルールです。消費者庁によると、広告に返品特約があれば特約に従い、特約がなければ商品を受け取った日から8日以内に申込みの撤回や契約の解除ができます。その場合、返品の送料は消費者の負担です。申し込む前の画面で返品条件を確かめておくことが大切です。
- 18歳・19歳にはどんな相談が多いのですか。
- 国民生活センターによると、2025年度の18歳・19歳の相談は10,250件で、2021年度以降で最多でした。上位は架空請求などの「商品一般」728件、脱毛エステ704件、ダイエットサプリなどの健康食品432件、美容医療などの医療サービス427件です。買い方では通信販売が45.3%を占めました。
出典・参考
- 独立行政法人国民生活センター「18歳・19歳の消費生活相談の状況-2025年度-」(2026年5月27日公表・報告書本文PDF)
この出典で確認した記述
1ページ「2025年度の18歳・19歳の相談件数は、2021年度以降で最多(図1)」「依然として『美(び)』(『脱毛エステ』『医療サービス』など)や『金(かね)』(『役務その他サービス』『他の内職・副業』など)に関する相談が多く寄せられている」。図1「契約当事者が18歳・19歳の年度別相談件数」は2021年度8,536、2022年度10,027、2023年度9,788、2024年度9,082、2025年度10,250。脚注に「本資料の相談件数等は2026年4月30日までのPIO-NET登録分」「消費生活センター等からの経由相談は含まれていない」。2ページ表1(2025年度・上位)は1位 商品一般(架空請求など)728、2位 脱毛エステ704、3位 他の健康食品(ダイエットサプリなど)432、4位 医療サービス(美容医療など)427、5位 賃貸アパート391、6位 役務その他サービス(稼ぎ方指南のサービスなど)339、7位 電気321、8位 他の内職・副業(アフィリエイト内職など)221。3ページ表2(2025年度)は店舗購入2,696(26.3%)、通信販売4,642(45.3%)、訪問販売877(8.6%)、電話勧誘販売431(4.2%)、総件数10,250。本文に「相談件数が最も多く、割合も増加したのは『通信販売』」。4ページ「平均契約購入金額は2025年度が22万5,601円」「平均既支払金額は2025年度が7万8,936円」。5ページ表3(2025年度)はインターネット通販2,805、定期購入963(2024年度745)、家庭訪販510、電話勧誘販売364。本文に「『定期購入』は件数が増加した一方、『サイドビジネス商法』は減少しました」。発表ページ(https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260527_2.html)にも同じ年度別件数と要旨を掲載。本文「18歳・19歳の相談は、2025年度が最多だった」の節と表、3行まとめ2行目、よくある質問4の根拠。 - 法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」
この出典で確認した記述
Q2「2004年4月2日生まれ以降の方は,18歳の誕生日に成年に達することになります」、施行は2022年4月1日。Q3「民法の成年年齢には,一人で有効な契約をすることができる年齢という意味と,父母の親権に服さなくなる年齢という意味があります」「18歳,19歳の方は,親の同意を得ずに,様々な契約をすることができるようになります。例えば,携帯電話を購入する,一人暮らしのためのアパートを借りる,クレジットカードを作成する(支払能力の審査の結果,クレジットカードの作成ができないことがあります。),ローンを組んで自動車を購入する(返済能力を超えるローン契約と認められる場合,契約できないこともあります。)」「自分の住む場所(居所)を自分の意思で決めたり,進学や就職などの進路決定についても,自分の意思で決めることができるようになります。もっとも,進路決定について,親や学校の先生の理解を得ることが大切なことに変わりはありません」。Q4「お酒やたばこに関する年齢制限については,20歳のまま維持されます。また,公営競技(競馬,競輪,オートレース,モーターボート競走)の年齢制限についても,20歳のまま維持されます」。Q5「未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には,原則として,契約を取り消すことができるとされています(未成年者取消権)。未成年者取消権は未成年者を保護するためのものであり,未成年者の消費者被害を抑止する役割を果たしてきました」「18歳,19歳の方は,未成年者取消権を行使することができなくなるため,悪徳商法などによる消費者被害の拡大が懸念されています」、対策として「消費者ホットライン188の周知」を挙げる。本文の情景節(2022年4月1日・誕生日に成年)、「18歳になると、何が変わるのか」の節、図1、よくある質問1・2の根拠。 - 消費者庁「特定商取引法ガイド 訪問販売」
この出典で確認した記述
「6.契約の申込みの撤回又は契約の解除(クーリング・オフ制度)(法第9条)」に「訪問販売の際、消費者が契約を申し込んだり、締結したりした場合でも、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、消費者は事業者に対して、書面又は電磁的記録により申込みの撤回や契約の解除(クーリング・オフ)ができます」。「クーリング・オフを行った場合、消費者は、既に商品又は権利を受け取っている場合には、販売業者の負担によって、その商品を引き取ってもらうこと」ができる。「使うと商品価値がほとんどなくなる、いわゆる消耗品(いわゆる健康食品、化粧品等)を使ってしまった場合や、現金取引の場合であって代金又は対価の総額が3000円未満の場合には、クーリング・オフの規定が適用されません」。電磁的記録で行う場合は「送信したメールを保存しておくこと」「画面のスクリーンショットを残しておくこと」など証拠の保存が望ましいとする。本文「やめられる仕組みは、買い方で違う」の表(訪問販売の列)と例外の段落の根拠。 - 消費者庁「特定商取引法ガイド 通信販売」
この出典で確認した記述
「通信販売では、消費者が売買契約を申し込んだり、締結したりした場合でも、その契約に係る商品の引渡し(特定権利の移転)を受けた日から数えて8日以内であれば、消費者は事業者に対して、契約申込みの撤回や解除ができ、消費者の送料負担で返品ができます。もっとも、事業者が広告であらかじめ、この契約申込みの撤回や解除につき、特約を表示していた場合は、特約によります」。広告の表示事項として「返品に関する事項(返品の可否・返品の期間等条件、返品の送料負担の有無)」を挙げ、インターネット通販では最終確認画面にも表示することを定めている。本文「やめられる仕組みは、買い方で違う」の表(通信販売の列)、工夫③、よくある質問3の根拠。 - 消費者庁「消費者ホットライン」
この出典で確認した記述
「困ったときは、一人で悩まずに、『消費者ホットライン』188にご相談ください。地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや消費生活相談窓口をご案内します」。「相談窓口につながった時点から、通話料金のご負担が発生します。(相談は無料です)」。「消費者ホットラインが話中でつながらない場合、国民生活センターの『バックアップ相談』もご利用いただけます。電話番号:03-3446-0999」「受付時間:平日の10時~16時」。本文の気をつけたいこと節(188・無料・通話料・バックアップ相談)と工夫②の根拠。
この記事について
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