3行まとめ
- ネット閲覧中に突然出る「ウイルスに感染」の警告と電話番号は、サポート詐欺の偽画面である可能性が高い。画面が出ただけなら、パソコンは感染していない。
- 被害は、表示された番号に電話をかけることから始まる。閉じるにはESCキーを3秒ほど長押しし、出てきた「×」で閉じる。
- IPAの体験サイトで閉じ方を親子で練習し、「番号には電話しない、大人を呼ぶ」を家のルールにしておく。
この記事でわかること
- サポート詐欺の偽警告とはどんなものか
- 相談がどれくらい寄せられているか
- 偽警告が出てくるきっかけ
- 画面の閉じ方と、親子で練習する方法
- 電話をしてしまったときの対処と相談先
「お母さん、パソコンがしゃべってる」
土曜の午後、小学5年の娘がリビングのパソコンで、自由研究に使う無料のイラストを探していた。台所にいると、パソコンから大きな警告音と「今すぐサポートセンターに電話してください」という声が聞こえてくる。画面には赤い枠の警告と電話番号が並び、右上の「×」を押しても消えない。娘は半分泣きながら「壊しちゃった?」と言う。親のほうも、どこを押せばいいのか分からなかった。
この場面で大事なのは、娘が電話をかける前に親を呼んだことです。あわてて番号に電話しなければ、このあと被害は起きません。何が起きているのかと閉じ方を知っておけば、親も子も落ち着いて動けます。
サポート詐欺の偽警告とは何ですか
ネットを見ている最中に「ウイルスに感染した」と表示し、画面の番号に電話をかけさせてお金をだまし取る手口です。IPAによると、画面いっぱいに「トロイの木馬に感染」などの警告が次々に重なり、「今すぐ〇〇のサポートに電話してください」という音声が流れ続けます。マイクロソフトのサポートを装った表示が多く、見えている「×」マークは偽物で、押しても反応しません。
IPAは、こうして表示された警告は偽のセキュリティ警告の可能性が非常に高く、パソコンのウイルス感染は起きていないと説明しています。被害は電話をかけることで発生し、電話をしなければ起きません。電話がつながると、相手はマイクロソフトの技術者を名乗り、キー操作を指示して遠隔操作ソフトを入れさせ、ウソの説明をしたうえで数万〜10万円程度の「サポート料金」を求めてきます。
相談はいまも多く、手口別で最多
IPAの情報セキュリティ安心相談窓口には、2026年7〜9月の3か月で「ウイルス検出の偽警告」の相談が1,160件寄せられました。相談全体の34.4%で、手口別では最も多い相談です。2025年7〜9月の647件と比べると、1年で大きく増えています。
国民生活センターは2024年3月、全国の消費生活センターなどへの相談が年間5,000件台で推移してきたこと、とくに70歳以上の相談が大きく増えていることを公表しました。パソコンを使うのが子どもでも祖父母でも、同じ画面に出会う可能性があります。
きっかけは広告や検索結果のクリック
偽警告は、怪しいサイトだけで出るわけではありません。IPAは、だれもが訪れるウェブサイトにサポート詐欺へ誘導する広告が載るようになり、それをクリックする人が増えたことが相談の増加につながったと考えています。「次のページへ進む」ボタンに見せかけた広告や、思わずクリックしたくなる画像、通販サイトなどの名前で検索したときに最上位に出る広告が入口になります。
IPAの「サポート詐欺レポート」2024には、2023年10〜12月に「年賀状 無料 イラスト」と検索していて偽警告に出会った相談が相次いだ例が載っています。無料の素材を探す、次のページへ進む、といった操作は、子どもの調べ学習でもよくある場面です。広告かどうかを見分けるのは大人でも難しいので、出てしまったときの動き方を先に決めておくほうが現実的です。
偽警告はどうやって閉じればいいですか
Windowsのパソコンなら、ESCキーを3秒ほど長押しして全画面表示を解除し、右上に出た本物の「×」で閉じます。IPAが示す手順はこの形です。「×」が出てこないときは、Ctrl・Alt・Deleteキーを同時に押し、表示された画面から再起動します。警告音がうるさいときは、先に音量を下げると落ち着いて操作できます。
レポートには、ノートパソコンの電源ボタンを押して切ったつもりがスリープになっていて、電源を入れ直しても警告が残っていた例もあります。このときは、マウスで画面を一度クリックしてからESCキーを長押しします。
IPAは、偽の警告画面を再現して閉じる操作を練習できる体験サイトを公開しています。パソコン向けで、スマートフォンでは体験できません。起動すると音声が流れ、約2分で自動的に終わります。いざというときに手が動くよう、一度は家族で試しておくと安心です。
次の3つは、家庭で取り入れやすい工夫です。
家庭で試す3つの工夫
- 体験サイトで一度練習する:IPAの体験サイトを親子で開き、ESCキーの長押しで閉じるところまでやってみます。音が鳴ることを先に伝えておくと、子どもも驚きすぎません。
- 「番号には電話しない、大人を呼ぶ」と決める:パソコンのそばに一言メモを貼っておきます。画面を閉じられなくても、大人を呼べば十分だと伝えます。
- 祖父母の家のパソコンでも話す:子どもが練習した閉じ方を、祖父母に教える役をしてもらいます。教えることで子ども自身の理解も深まります。
声かけの言い換え例
- 「変なところを押したんでしょ」→責められると、次から隠すようになる。
- 「呼んでくれてよかった。電話しなかったのが一番大事」→相談したことが正解だと伝わる。
- 「もうパソコンは使っちゃだめ」→困ったときに話さなくなる。
- 「次に出たら、どう閉じるか一緒に練習しよう」→次の行動が具体的になる。
- 「ウイルスに感染したら大変だよ」→警告を本物だと思い込みやすくなる。
- 「突然出て電話番号が書いてある警告は、偽物のことが多いよ」→見分ける手がかりが残る。
- 「お金のことは子どもには関係ない」→カードを買うよう言われても気づけない。
- 「カードを買って番号を教えて、と言われたら詐欺だよ」→支払いの段階でも止まれる。
家庭で確認するチェックリスト
- 突然出る警告の番号には電話しないと、親子で話した。
- ESCキーの長押しで閉じる方法を、家族の大人が知っている。
- IPAの体験サイトで、一度は練習した。
- 子どもが一人のときは、閉じられなくても大人を呼べばよいと伝えた。
- 祖父母など、ほかの家族とも閉じ方を共有した。
一人で抱え込まないために
電話をかけてしまっても、遠隔操作ソフトを入れていなければ、慌てて何かを払う必要はありません。電話番号は相手に伝わるので、かかってきても出ないようにします。偽警告の番号は0101で始まる国際電話のことがあり、IPAのレポートでは米国への通話料を1分あたり約70〜80円としています。
遠隔操作ソフトを入れてしまったら、アンインストールして「システムの復元」を行うようIPAは案内しています。自分が操作していないのに画面が動くときは、ネットワークを切断します。支払いには、コンビニでプリペイドカードを買わせて番号を伝えさせる方法が多く、店員に聞かれたら「ゲームアプリのため」と答えるよう口止めされた例もあります。ネットバンキングにログインさせられたら、パスワードを変えて銀行に連絡し、送金してしまったときは振込先の銀行と自分の銀行、警察に連絡します。
相談先は、消費者ホットライン188、警察相談専用電話#9110、パソコンの技術的な相談はIPAの情報セキュリティ安心相談窓口(03-5978-7509、平日10時〜17時)です。困ったことを子どもが話せる家庭づくりはネットで困ったときの記事も参考になります。
よくある質問
- 「ウイルスに感染しました」と出たら、パソコンは本当に感染していますか。
- 画面いっぱいの警告に電話番号が書かれている場合、IPAは偽の警告の可能性が非常に高く、ウイルス感染は起きていないと説明しています。電話をかけていなければ、画面を閉じるだけで対処できます。
- 「×」を押しても消えないときは、どうすればいいですか。
- 見えている「×」は偽物のことがあります。ESCキーを3秒ほど長押しして本物の「×」を出して閉じ、出てこなければCtrl・Alt・Deleteキーを同時に押して再起動します。
- 子どもが電話をかけてしまったら、どうすればいいですか。
- 遠隔操作ソフトを入れていなければ、支払いには応じず、かかってくる電話には出ないようにします。ソフトを入れた場合はアンインストールとシステムの復元を行い、不安なときは188やIPAの窓口に相談します。
出典・参考
- IPA 安心相談窓口だより「パソコンに偽のウイルス感染警告を表示させるサポート詐欺に注意」(2024年11月19日公開・2025年4月3日更新)
この出典で確認した記述
全文を保存して確認。「1. 概要と相談受付状況」に、閲覧中に突然ウイルス感染の警告が出て「今すぐ〇〇のサポートに電話してください」と書いてあり警告音が鳴りやまないことがある、「この場合、表示された警告は『偽のセキュリティ警告』の可能性が非常に高いです。パソコンのウイルス感染はおきていません」、「この手口では、電話をかけることで被害が発生します」「電話をかけなければ被害は発生しません」。2023年度に相談件数が過去最高を記録し、その理由として「だれもが訪れるウェブサイトに、サポート詐欺に誘導するための広告が掲載されるようになり、その広告をクリックする人が増えたものと考えられます」。「2.1」に「次のページに進むためのボタンに見せかけた広告」「思わずクリックしたくなる文や画像」、楽天・ヤフー・Amazonなどのサービス名で検索した際に検索結果の最上位に罠の広告が表示されることがある。「2.2」に、画面を埋め尽くす警告(「トロイの木馬スパイウェアに感染したPC」等)、あわててクリックするとフルスクリーン表示になり「画面上に見えている『✖』(閉じる)マークは偽物です。クリックしても反応はありません」、「今すぐサポートセンターに電話してください」等のアナウンスが流れ続ける、マイクロソフトのサポートを装う、電話番号は2023年8月ごろから0101で始まる番号に変化し北米(主に米国)への国際電話で国際通話料金が発生する可能性。「2.3」にマイクロソフトのサポートエンジニアを名乗りキー操作を指示して遠隔操作ソフトをインストールさせる。「2.4」に数万〜10万円程度の支払いを求める。「3.2」にプリペイドカードを近くのコンビニで買うよう指示しギフトコードを伝えさせる、コンビニ店員に目的を尋ねられたら「ゲームアプリのため」などと説明するよう口止めされる事例。「4.1」に電話をかけていない場合は「対処は偽のセキュリティ警告画面を閉じるだけです」、閉じ方は「キーボードのESCキーを3秒程長押しする」→「✖」ボタンで閉じる、表示されない場合は【Ctrl】【Alt】【Delete】を同時に押して再起動、警告音がうるさいときは音量を下げる。「4.2」に遠隔操作ソフトのアンインストールと「システムの復元」を推奨。「4.3」にネットバンキングにログインさせられた場合はパスワード変更と取引の確認・銀行への相談、送金した場合は振込先の銀行、自身の口座がある銀行と警察に連絡。「6」に操作していないのに勝手に画面を開かれた場合はネットワークを切断。本文の「とは何ですか」節・「きっかけ」節1段落目・「閉じれば」節1段落目・気をつけたいこと・図1・図2・3行まとめ・よくある質問はこれによる。 - IPA「偽セキュリティ警告(サポート詐欺)対策特集ページ」(最終更新 2024年11月19日)
この出典で確認した記述
全文を保存して確認。「画面が表示されただけであれば、パソコンは『コンピュータウイルス』には感染しておらず、『偽セキュリティ警告画面』を閉じるだけで問題ありません」。体験サイトについて「体験サイトはパソコンでの動作に対応しています。スマートフォンでは体験できません」「別ウインドウで起動したあと約2分間で自動的に終了します」「体験を開始した直後に、音声が流れます」。学ぶ操作は「『ESCキー』を長押しして『閉じるボタン』を出現させ、ブラウザを閉じる操作」。「ESCキー」長押しで閉じるボタンが現れない場合は「マウスで偽の警告画面内をクリックした後に再度『ESCキー』長押し」。タブレット端末では×マークをタップする操作も追記されている。本文の「閉じれば」節3段落目、工夫1はこれによる。 - IPA「情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況[2026年第3四半期(7月~9月)]」(2026年10月23日公開)
この出典で確認した記述
全文を保存して確認。相談対応件数は3,369件。「今四半期の主な手口別相談件数は、相談件数の多い手口の順に『ウイルス検出の偽警告』1,160件(構成比34.4%)が最も多く」。「ウイルス検出の偽警告」は「ウイルスを検出したという偽警告で不安を煽り、電話をかけさせてサポート契約に誘導する」手口で、前四半期から約18.8%減の1,160件。推移は2025年7〜9月647件、10〜12月789件、2026年1〜3月1,154件、4〜6月1,428件、7〜9月1,160件。本文の「相談は」節1段落目はこれによる。 - IPA「サポート詐欺レポート」2024(情報セキュリティ安心相談窓口)
この出典で確認した記述
PDF全59ページを保存して確認。PDF11ページ「話題性ある検索から罠ページへ誘導するパターン」に「『2024年賀状 無料 イラスト』と検索」「2023.10~12 図例のとおり、年賀状のイラストを検索中に遭遇した相談が相次ぐ」。PDF13ページに次のページへ進むボタンのように見せかけた広告画像。PDF28ページ「ESC長押しが効かないケース」に、電源を切ったつもりがノートパソコンはスリープ状態で、電源を入れなおすとスリープ直前の状態に復旧して偽警告画面表示が継続する、対処は「マウスをクリックしてもらう」「その後、ESCキー長押し」。PDF41ページ「国際通話料金」に「アメリカへの国際通話は1分間当たり約70~80円」「偽の警告画面ではフリーダイヤルと嘘が書いてある」。PDF7ページに年度別件数 FY2022 2,749件・FY2023 4,521件。本文の「きっかけ」節2段落目、「閉じれば」節2段落目、気をつけたいこと1段落目はこれによる。 - 国民生活センター「パソコンで警告が出たらサポート詐欺に注意!-70歳以上で大幅に増加-」(2024年3月27日公表)
この出典で確認した記述
全文を保存して確認。「相談件数は年間5,000件台で推移してきましたが、2023年度は、2022年度同期と比べて約1.3倍に増加しています。特に70歳以上の相談件数が大幅に増加しており、新たな手口として、インターネットバンキングで送金を指示されるケースも確認されています」。相談事例として、修理代100円のはずが遠隔操作で0を追加され100万円が送金された例(2023年7月受付 70歳代男性)。相談先として消費者ホットライン「188」、警察相談専用電話「#9110」、IPAの情報セキュリティ安心相談窓口。本文の「相談は」節2段落目、気をつけたいこと3段落目はこれによる(このページに載るIPAの受付時間は2024年当時のもので、現在の時間は次の出典で確認した)。 - IPA「情報セキュリティ安心相談窓口」(最終更新 2026年10月28日)
この出典で確認した記述
電話 03-5978-7509、受付時間「10時00分から17時00分」「土日祝日・年末年始は除く」。相談は無料で通話料は相談者負担、1回あたり30分以内。メールでも受け付け(アドレスは画像表示)。本文の気をつけたいこと3段落目の窓口と受付時間はこれによる。
この記事について
本記事は家庭での工夫を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。特定の機器・アプリ・設定・サービスを推奨するものでもありません。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。