3行まとめ

  • 時計は1年で「時刻を読む」、2年で日・時・分の関係と午前・午後、3年で秒と時刻や時間の求め方を学ぶ。
  • アナログ時計では、長い針の指す「4」を「20分」と読み替える必要がある。海外の研究では、10〜11歳でもアナログ時計を読めない子が一定数いた。
  • 解説は、時刻を家庭生活で使い、時刻と時間を区別することを重んじている。家では、生活の場面で一緒に読む回数を増やすのが近道。

この記事でわかること

  • 時計の読み方を学ぶ学年と、各学年で学ぶこと
  • アナログ時計の「何分」でつまずく理由
  • 研究で見えた、デジタルとアナログの差
  • 「時刻」と「時間」を分けて話すコツ
  • 家にある時計を使った練習のしかた

長い針が4なのに「4分」

朝の支度の途中、「あと何分で出る?」と聞かれて時計を見た子が「7時4分」と答える。実際の針は7時20分を指しています。短い針の読み方は合っていて、長い針が指す数字をそのまま「分」にしてしまったのです。別の日には、短い針が8と9のあいだにあるのを見て「9時」と言う。どちらも、時計の数字は読めているのに、針ごとの読み替えでつまずいています。

親から見ると「さっきも教えたのに」となりがちですが、間違い方には型があります。長い針の数字の読み替えなのか、短い針の位置なのか。どちらで止まっているかを分けるだけで、練習の中身が変わります。

時計は何年生で、どこまで習うのですか

小学1年で時刻を読み、2年で時間の単位、3年で秒と時刻や時間の求め方まで、3年かけて段階的に学びます。小学校学習指導要領解説 算数編は、時間の指導について次のように整理しています。

小学校算数で時計・時間を学ぶ順序(学習指導要領解説 算数編より)
学年学ぶこと
1年日常生活の中で時刻を読む。長い針は5とびで数える
2年日・時・分の関係(1時間=60分、1日=24時間)、午前・午後・正午
3年秒(1分=60秒)、日常生活に必要な時刻や時間を求める

1年の解説には、時刻を知りたいとき、時計の長い針が4を示していれば「5,10,15,20と数えて,20分であることが分かる」という例があります。数の学習で習う「5とびで数える」が、そのまま時計の読み方につながっているわけです。短い針については、8と9のあいだのような曖昧な位置にある場合を取り上げ、短い針と長い針が連動していることや、「8時は過ぎたけれど、まだ9時にはなっていない」と日常生活に結び付けて捉えることを大切にしています。

アナログ時計がむずかしい理由

トルコの小学3年生290人を調べた研究(Mutlu & Korkmaz, 2020)は、アナログ時計がむずかしい理由として、時間が60で一区切りの数え方であること、同じ数字が針によって違う意味になること、右回りに動く2本の針を空間的に捉える必要があることを挙げています。この研究では算数の成績と時計を読む力に中程度の関連(相関0.56)があり、算数に困難のある可能性が高いとされた子20人への面接では、5分刻みの意味に正しく答えられたのは4人でした。

年齢が上がれば自然に解決するとも限りません。イングランドの10〜11歳の子ども81人を調べた研究(Brace ほか, 2019)では、デジタル時計の絵は全員が読めた一方、アナログ時計の絵の時刻を言えなかった子が11人(約14%)いました。「30分後は何時か」を答えられなかった子も、デジタル時計では10人、アナログ時計では25人と差が出ています。同論文が紹介する先行研究では、10時20分を「10時4分」と答える誤りを、長い針の「4」が「20分」を表すと結び付いていない例として挙げています。

どちらも海外の研究で、日本の子どもにそのまま当てはまるとは限りません。それでも、デジタル表示が読めることと、アナログ時計の針を読み替えられることは別の力だという点は、家庭で様子を見るときの手がかりになります。

アナログ時計でつまずきやすい3つの場所を縦に並べた図。1つ目は長い針の読み替えで、長い針が4を指していたら5とびで数えて20分と読む。2つ目は短い針のあいだで、8と9のあいだなら8時を過ぎてまだ9時前と読む。3つ目は時刻と時間の区別で、何時何分という点と、何分間という長さを分けて言う。
図1:同じ「読めない」でも、止まっている場所は3つに分けられます。

時刻と時間を分けて、生活の中で読む

2年の解説は、時間を「時刻のある点からある点までの間隔の大きさを表す量」とし、日常生活では時刻と時間の区別が明確でない場合もあるため区別が必要だとしています。例に挙がっているのは「朝7時に起きてから、学校が始まる8時まで」という場面で、長い針が1回転すると1時間、それが60分であることを実感させる、と書かれています。

家庭の会話では「何時?」と「何分かかる?」が混ざりがちです。「7時」は時刻、「30分」は時間、と親が言葉を使い分けるだけでも、子どもは二つを区別しやすくなります。1年の解説も、与えられた時刻を読むだけでなく、学校生活や家庭生活で適切に用いて時刻への関心を高めることを大切にしています。プリントを増やすより、毎日の支度や寝る時刻を一緒に読むほうが、教科書のねらいに沿っています。

3年になると、日常生活に必要な時刻や時間を求める学習に進みます。解説は、その例として家から学校まで歩いてかかる時間や読書にかかる時間を挙げ、ちょうど何時や正午を区切りにして考えることにも触れています。「7時50分に出て8時10分に着くと何分?」のような計算も、8時で一度区切ると考えやすくなります。

家庭でアナログ時計を読む3つの手順を示した図。1つ目は短い針を先に見ることで、どの数字とどの数字のあいだかを言う。2つ目は長い針を5とびで数えることで、12から順に5、10、15と指でたどる。3つ目は生活に結び付けることで、出発や寝る時刻まであと何分かを一緒に確かめる。
図2:短い針、長い針、生活の順に読むと、どこで止まったかが見えます。

練習は、家にある時計を使って短い時間で。正解を言わせるより、どう読んだかを聞く役に回ると、止まっている場所が見えてきます。

家庭で試す3つの工夫

  1. 目に入る場所にアナログ時計を置く:食卓や玄関など、毎日見る場所に数字の書かれた時計を置きます。「出発は長い針が6のところ」のように、生活の約束を針の位置で伝えます。
  2. 長い針を指でたどって5とび:12から順に「5、10、15」と声に出して指でたどります。解説が1年の例に挙げる数え方そのままです。慣れたら、数字のあいだの目盛りを1分ずつ数えます。
  3. 「あと何分?」を一日一回:寝る時刻やおやつの時刻まで、あと何分かを一緒に確かめます。2年の解説が挙げる、起きる・寝る時刻とその間の時間を調べる活動に近い練習です。

声かけの言い換え例

  • 「何回も教えたでしょ」→「短い針は、どの数字とどの数字のあいだ?」。止まった場所を一緒に探せる。
  • 「4分じゃなくて20分」→「長い針を5、10って数えてみよう」。読み替えのしかたが残る。
  • 「早くして、時間ないよ」→「長い針が6に来たら出発ね」。時刻を目で確かめる習慣になる。
  • 「スマホを見ればいいじゃない」→「丸い時計だと何時になる?」。二つの表示を結び付けられる。

家庭で確認するチェックリスト

  • 短い針と長い針を、子どもが指で示して区別できる。
  • 長い針が指す数字を、5とびで「分」に読み替えられる。
  • 短い針が数字のあいだにあるとき、何時台かを言える。
  • 家族が「何時」と「何分かかる」を言い分けている。
  • 家の中に、毎日目に入るアナログ時計がある。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

時計を扱う時期や、教科書の時計の模型の使い方は学校によって違います。家で別の読み方を教えると混乱することがあるので、教科書やノートの言い方に合わせてください。紹介した研究はトルコとイングランドのもので、調べた年齢や方法も限られています。何歳までに読めるべきかの基準として使うものではありません。3年の解説も、時刻や時間の計算では、いたずらに複雑な単位の換算は避けるよう求めています。

文部科学省は学習障害を、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態としています。時計に限らず、数を数えることや簡単な計算でも止まる様子が長く続くときは、担任の先生や学校に相談する選択肢があります。つまずいた場所の見つけ方は算数につまずいた時、家庭で「どこで止まったか」を見つける、支援の仕組みは勉強のつまずきを家庭だけで抱えないために ― 学校の相談窓口と支援の仕組みで整理しています。

よくある質問

時計の読み方は何年生で習いますか。
小学1年の算数です。学習指導要領では、1年で日常生活の中で時刻を読み、2年で日・時・分の関係や午前・午後、3年で秒と、日常生活に必要な時刻や時間の求め方を扱います。3年かけて段階的に学ぶ内容です。
デジタル時計が読めれば、アナログ時計は読めなくてもいいですか。
算数では長い針と短い針の位置から時刻を読むことを学びます。イングランドの10〜11歳を調べた研究では、デジタル時計は全員が読めた一方、アナログ時計を読めない子が約14%いました。二つは別の力と考え、両方に触れる機会をつくると安心です。
長い針の「4」を「4分」と読んでしまうのはなぜですか。
長い針の数字を5とびで数える読み替えが、まだ結び付いていない状態と考えられます。学習指導要領解説も、長い針が4なら「5,10,15,20」と数えて20分とわかる例を挙げています。12から指でたどって声に出す練習が手がかりになります。

出典・参考

  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」(平成29年7月)
    https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387017_004.pdf(確認日 2026-10-06)。
    この出典で確認した記述
    「時間の単位」に「第1学年では,日常生活の中で時刻を読むことができるようにする。第2学年では,時間の単位(日,時,分)とそれらの関係について理解できるようにする。第3学年では,時間の単位(秒)と,時刻や時間の計算について指導する。その際,長針や短針の動きを観察するなどの活動を設定し,時間の概念を実感をもって理解できるようにすることが大切である。」(本文60ページ、PDF 66ページ目)。第1学年 数と計算に「アのクでは5とびで数えることを学習する。時刻を知りたいとき,時計の長い針が4を示していれば,5,10,15,20 と数えて,20 分であることが分かる。」(本文83ページ、PDF 89ページ目)。第1学年 C(2)時刻の読み方に「ア 日常生活の中で時刻を読むこと。」「短針と長針の位置を基に,それぞれの針が示す数と時刻を表す数との対応を理解し,時計の観察や操作を通して時刻を読むことができるようにする。」「曖昧な位置にある短針について,時計の短針と長針が連動していることや,『8時は過ぎたけれど,まだ1時間目が始まる9時にはなっていない』というように,時刻と日常生活を関連付けて捉えることが大切である。」「与えられた時刻を読んだり表したりするだけでなく,児童の日常生活での活動などと時刻とを関連させ,学習の時間以外の学校生活や家庭生活で適切に用い,時刻への関心を高めていくことが大切である。」(本文93〜94ページ、PDF 99〜100ページ目)。第2学年 C(2)時間の単位に「ア 日,時,分について知り,それらの関係を理解すること。」「時間は,時刻のある点からある点までの間隔の大きさを表す量である。日常生活の中では,時刻と時間の区別が明確ではない場合もあるため,時刻と時間を区別する必要がある。例えば,『朝7時に起きてから,学校が始まる8時まで』などの時刻についての具体的な場面を通して,長針が1回転する時間は1時間であるが,それが60 分間であることを実感する。」「1日が24 時間であるという関係」「『午前』『午後』『正午』の時間帯を捉え,午前や午後はそれぞれ12 時間ずつあることを理解」「起きている時刻や学校が始まる時刻,学校から帰る時刻や寝る時刻などを『午前』『午後』を用いて表現し,その間の時間を調べて生活リズムを意識したりすることは大切である。」(本文124〜125ページ、PDF 130〜131ページ目)。第3学年 C(2)時刻と時間に「ア 秒について知ること。イ 日常生活に必要な時刻や時間を求めること。」「1分間が60 秒という関係を指導し」「日常生活で必要となる時間については,例えば,家から学校まで歩いてかかる時間や読書にかかる時間などである。」「正時(分や秒の端数の付かない時刻)や正午を区切りとして考えることにも触れる」「いたずらに複雑な単位の換算は避けるようにする。」(本文166〜167ページ、PDF 172〜173ページ目。同ページは2段組みの重なりがあり、テキスト抽出で語句を照合)。本文の表、3年の段落、「時計は何年生で、どこまで習うのですか」「時刻と時間を分けて、生活の中で読む」の節、工夫2・3、図1・図2、FAQ1・3問目の根拠。
  • Brace, N., Doran, C., Pembery, J., Fitzpatrick, E., & Herman, R. (2019). Assessing time knowledge in children aged 10 to 11 years. International Journal of Assessment Tools in Education, 6(4), 580–591.
    https://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ1243518.pdf(確認日 2026-10-06)。
    この出典で確認した記述
    対象はイングランドの公立小学校5校のYear 6の子どもで、同意書が返送された81人(123〜136か月)。結果に「Whereas all children were able to read correctly the time displayed by an image of a digital clock … 11 participants (nearly 14%) did not read the time when shown an image of an analogue clock using either type of expression.」「whereas only 10 children did not say accurately what the time would be in half an hour when looking at the digital clock, 25 children did not provide a correct response when shown the image of the analogue clock.」(587ページ、PDF 8ページ目、Results)。序論で先行研究 Burny, Valcke & Desoete (2012) を紹介し「reporting 10:04 rather than 10:20 suggests that the child was not counting in fives, reflecting a lack of knowledge that the '4' on the analogue clock means '20'.」(581ページ、PDF 2ページ目)。本文「アナログ時計がむずかしい理由」第2段落とFAQ2問目の根拠。
  • Mutlu, Y., & Korkmaz, E. (2020). Investigating clock reading skills of third graders with and without dyscalculia risk. International Online Journal of Primary Education, 9(1).
    https://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ1258500.pdf(確認日 2026-10-06)。
    この出典で確認した記述
    抄録に「Data were collected from 290 (136 girls, 154 boys) third graders」「There is a moderate (.56) relationship between mathematics achievement and clock reading skills」「only four students gave correct answers to the question regarding five-minute intervals.」。面接は算数到達度テストで下位10%未満だった29人のうち20人に実施(Method)。序論に、アナログ時計の読みがむずかしい理由として、時間は直接知覚できないこと、数える・計算する力が必要なこと、60進法を使うこと、「the numbers are interpreted differently depending on the hour, minute, and second hands」、右回りの針の動きの理解に空間的な力が要ることが挙げられている。調査地はトルコ・ムシュ市中心部の小学校3校。本文「アナログ時計がむずかしい理由」第1段落の根拠。
  • 文部科学省「学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について」(中央教育審議会答申 参考資料)
    https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1396626.htm(確認日 2026-10-06)。
    この出典で確認した記述
    平成11年7月の「学習障害児に対する指導について(報告)」による定義として「学習障害とは,基本的には全般的な知的発達に遅れはないが,聞く,話す,読む,書く,計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。」。本文「気をつけたいこと」第2段落の根拠。

この記事について

本記事は家庭での工夫を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。研究知見や公的資料は「一つの考え方」として紹介しており、家庭ごとに合う・合わないがあります。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

筆者コメント