3行まとめ

  • 箱の形は小学2年、立方体・直方体は4年、体積の単位(cm³・m³)と計算による求め方は5年の算数で学ぶ。
  • 令和8年度の全国調査(小6)では、立方体の体積の式の正答率72.9%に対し、1cm³の立方体36個でできた直方体の体積は40.4%。
  • 家庭では、公式を当てはめる前に「1cm³の立方体がいくつ分か」を数え、1段分の個数と段の数をかけて確かめるとずれにくい。

この記事でわかること

  • 体積や立方体・直方体を学ぶ学年
  • 全国調査で見えた「式は書けても意味がずれる」形
  • 箱の面や辺の長さでつまずく場所
  • ブロックやお菓子の箱で体積を確かめる工夫
  • 学校に相談したほうがよい様子の目安

36個のブロックが「144」になった宿題

5年生の算数プリントに、1cm³の立方体を積み重ねた直方体の絵がありました。「この直方体の体積は何cm³ですか」。子どもは立方体を数えて36個とわかったのに、そこへ高さの4をかけて「144」と書きました。「縦×横×高さって習ったから」と言います。

公式は覚えている。数えることもできている。それなのに、数えた36個がそのまま36cm³だということには、つながっていません。親から見ると不思議ですが、これは決して珍しいずれではないことが、全国調査の結果からわかっています。

体積は何年生で習うのですか

体積は小学5年の算数で学びます。体積の単位(立方センチメートル cm³、立方メートル m³)を知り、立方体や直方体の体積を計算で求める方法を理解するのがこの学年の内容です。その前に、2年で正方形や長方形の面でできた箱の形を作ったり分解したりし、4年で立方体と直方体について学んでいます。

長さは1cmの何個分、面積は1cm²の何個分で表してきました。体積も同じように、一辺1cmの立方体(1cm³)を単位にして、その何個分かで表します。「縦×横×高さ」は、1cm³の立方体を1段に敷き詰めた個数と、その段がいくつ重なっているかをかけ合わせたものです。小学校学習指導要領解説 算数編も、1段分の個数を(縦)×(横)、段の数を(高さ)で表せることの理解を確実にする必要があるとしています。公式は、この数え方を短くした道具だといえます。解説は、一辺10cmの立方体の体積が1Lに当たることにも触れるとしています。

全国調査で見えた、式と意味のずれ

令和8年4月に小学6年生を対象に行われた全国学力・学習状況調査では、立方体・直方体を扱う大問が出ました。一辺8cmの立方体の体積を求める式を書く問題(1(1))の正答率は72.9%。一方、1cm³の立方体36個でできた直方体の体積を答える問題(1(3))は40.4%でした。

令和8年度 全国学力・学習状況調査 小学校算数1(3)の解答の分かれ方(報告書より)
答え割合
正答(36)40.4%
14419.9%
914.2%
36・144・4以外の4の倍数15.1%
4・その他・無解答10.4%

報告書は、144や9などと答えた子(合わせて49.2%)について、36や高さの数4を使った計算の答えを体積としていると分析しています。さらに二つの問題を突き合わせると、立方体の体積の式を正しく書けた子のうち51.2%は、体積の意味を問う問題では正答していませんでした。逆に、意味の問題に正答した子の88.4%は式の問題にも正答しています。意味がわかっている子は公式も使える一方、公式が書けることは意味の理解を保証しない、という形です。

式の問題にもつまずきの形があります。8×8と書いた子が10.2%で、報告書は正方形の面積の公式を使ってしまったと見ています。8×6、8×3、8+8+8なども含め、体積の求め方そのものがつかめていない答えもありました。

同じ立体の体積でも、式を書く問題と意味を問う問題で正答率が違うことを示した図。上の枠は式を書く問題で、一辺8cmの立方体の体積の式は正答率72.9パーセント。下の枠は意味を問う問題で、1cm³の立方体36個でできた直方体の体積は正答率40.4パーセント、144や9と答えた子も多かった。式が書けた子の51.2パーセントは意味の問題で正答していない。
図1:公式で式が書けても、「1cm³の何個分か」という意味とはつながっていないことがあります。(令和8年度 全国学力・学習状況調査 小学校算数より作成)

箱の面と辺でもつまずく

同じ大問では、直方体の箱を作るのに足りない長方形の縦と横の長さを答える問題(1(2))の正答率が63.2%でした。報告書は、直方体が3種類の長方形2枚ずつでできていることの理解に課題があるとしています。お菓子の箱4個をまとめて送るときの送料を、まとめた直方体の3辺の長さから考えて説明する問題(1(4))は45.5%で、4個がどう組み合わさって縦・横・高さになっているかを捉えにくい様子がうかがえます。

報告書が誤答の例として挙げているのが、もとの箱1個の3辺の長さの合計を、そのまま4倍してしまう答えです。4個をまとめた荷物の縦・横・高さは、もとの箱の辺の何個分かで決まります。報告書は、まとめた直方体がもとの箱でどう組み立てられているかを考えて3辺の長さを捉えること、同じ4個でもまとめ方によって3辺の合計が変わり、送料が変わる場合があることに気づけるようにすることを挙げています。

報告書のコラムは、ノートや黒板の見取図だけで立体の性質をつかむのは難しく、具体的な操作が必要だと書いています。箱を切り開いて6つの面に分けたり、組み立て直したりする活動や、1cm³の立方体で形の違う36cm³の立体をいくつも作る活動が例に挙げられています。うまく組み立てられなかった経験も、正しい作り方に気づく材料になるとしています。

家庭で体積を確かめる3つの手順を示した図。1つ目は1cm³の立方体がいくつあるかを数えること。2つ目は1段分の個数を数えること。3つ目は1段分の個数に段の数をかけることで、これが縦×横×高さと同じになる。
図2:公式を使う前に、「何個分か」の数え方から確かめます。

家にある箱やブロックを使い、手を動かして確かめます。正しい答えより、「1cm³が何個分か」を自分で言えたかを見ます。

家庭で試す3つの工夫

  1. 同じ個数で違う形を作る:ブロックや角砂糖など同じ大きさの立方体を12個使い、形の違う立体をいくつか作ります。「どれも12個分で、かさは同じ」を手で確かめられます。
  2. 1段分×段の数を声に出す:積んだ立体を上から見て1段分を数え、「1段に6個、それが2段で12個」と言ってから式にします。公式と数え方がつながります。
  3. 空き箱を切り開く:お菓子の空き箱を開いて6つの面を並べ、向かい合う面が同じ形かを確かめます。切るのは大人が担当します。

声かけの言い換え例

  • 「公式に入れればいいでしょ」→「1cm³の立方体、何個ある?」。意味に戻れる。
  • 「144は違うよ」→「数えたら何個だった?」。数えた結果が答えだと気づける。
  • 「縦×横×高さって覚えたよね」→「1段に何個並んでる?」。公式の中身が見える。
  • 「見ればわかるでしょ」→「箱を開いてみようか」。図で見えない面を手で確かめられる。

家庭で確認するチェックリスト

  • 1cm³が「一辺1cmの立方体1個分のかさ」だと説明できる。
  • 積んだ立方体の数が、そのまま体積の数になるとわかっている。
  • 1段分の個数と段の数をかけて、全体の個数を出せる。
  • 形が違っても、立方体の数が同じなら体積は同じだと知っている。
  • 直方体の向かい合う面が同じ形の長方形だと言える。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

全国調査の数字は小学6年生全体の傾向で、一人ひとりの理解度を判断するものではありません。教科書や学校によって扱う順番や言い方が違うことがあるので、説明は学校のノートや教科書の表し方に合わせてください。空き箱を切り開くときは、はさみやカッターは大人が扱い、角砂糖など食べられるものを使うときは衛生や食べすぎにも気をつけてください。小さなブロックは、年下のきょうだいが口に入れない場所で使います。

文部科学省は学習障害を、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態としています。体積に限らず、数の大きさや簡単な計算でも止まる様子が長く続くときは、担任の先生や学校に相談する選択肢があります。つまずいた場所の見つけ方は算数につまずいた時、家庭で「どこで止まったか」を見つける、支援の仕組みは勉強のつまずきを家庭だけで抱えないために ― 学校の相談窓口と支援の仕組みで整理しています。

よくある質問

体積は何年生で習いますか。
体積の単位(cm³・m³)と、立方体・直方体の体積を計算で求める方法は小学5年の算数です。その前に、2年で箱の形を作ったり分解したりし、4年で立方体と直方体について学びます。
体積の公式は言えるのに、問題を間違えるのはなぜですか。
公式と「1cm³の何個分か」という体積の意味がつながっていない可能性があります。令和8年度の全国調査では、立方体の体積の式を正しく書けた子の51.2%が、1cm³の立方体36個でできた直方体の体積を問う問題では正答していませんでした。
家でできる練習はありますか。
同じ大きさのブロックで形の違う立体を作り、どれも同じ個数分だと確かめる方法があります。1段分の個数と段の数をかけて全体の個数を出したり、空き箱を切り開いて6つの面を並べたりするのも、報告書が挙げる活動に沿った練習です。

出典・参考

  • 国立教育政策研究所「令和8年度全国学力・学習状況調査報告書【小学校/算数】」小学校算数
    https://www.nier.go.jp/26chousakekkahoukoku/report/data/26pmath_04.pdf(確認日 2026-10-21)。
    この出典で確認した記述
    大問1「図形を構成する要素に着目し、立体図形について考察すること(立方体・直方体)」。設問(1)(本文28〜29ページ、PDF 6〜7ページ目)趣旨「立方体の体積の計算による求め方について理解しているかどうかをみる。」学習指導要領の領域・内容〔第5学年〕B図形(4)「(イ) 立方体及び直方体の体積の計算による求め方について理解すること。」。解答類型と反応率「1 8×8×8 と解答しているもの 72.9 ◎」「2 8×8 と解答しているもの 10.2」「3 8×6 と解答しているもの 2.1」「4 8×3 又は 8+8+8 と解答しているもの 3.4」「99 上記以外の解答 10.1」「0 無解答 1.2」。分析「解答類型2について、このように解答した児童は、立方体の全ての辺が等しいことは理解しているが、誤って正方形の面積の公式を用いていると考えられる。」「解答類型3、4、99の反応率の合計は15.6%である。…立方体の特徴や、体積の計算による求め方について理解していないと考えられる。」学習指導に当たって「単位体積の立方体をきちんと敷き詰めた1段分の個数と、その段の個数をかけあわせることで、直方体や立方体の体積を求められることを理解できるようにすることが大切である。」設問(2)(本文30〜31ページ、PDF 8〜9ページ目)趣旨「直方体の箱の形を構成する面について理解しているかどうかをみる。」領域・内容〔第2学年〕B図形(1)「(ウ) 正方形や長方形の面で構成される箱の形をしたものについて理解し、それらを構成したり分解したりすること。」〔第4学年〕B図形(2)「(ア) 立方体、直方体について知ること。」。正答(縦5・横12)63.2%。「解答類型2、3の反応率の合計は20.2%である。…示された四つの長方形の辺の長さを基に、残りの長方形の縦と横のそれぞれの長さが5cm、8cm又は、8cm、12cmと誤って捉えていると考えられる。箱の形について、3種類の長方形が二組で構成されていることの理解に課題がある」。指導に当たって「紙の箱を切って六つの面に分解したり、それらを使って元の箱を組み立てたりする活動も考えられる。その際、箱を正しく組み立てられない経験も大切にしながら」。設問(3)(本文32〜35ページ、PDF 10〜13ページ目)趣旨「体積の意味について理解しているかどうかをみる。」領域・内容〔第5学年〕B図形(4)「(ア) 体積の単位(立方センチメートル(cm3)、立方メートル(m3))について知ること。」。解答類型と反応率「1 36 と解答しているもの 40.4 ◎」「2 144 と解答しているもの 19.9」「3 9 と解答しているもの 14.2」「4 4 と解答しているもの 1.4」「5 36、144、4 以外で4の倍数を解答しているもの 15.1」「99 上記以外の解答 4.8」「0 無解答 4.2」。「解答類型2、3、5の反応率の合計は49.2%である。このように解答した児童は、36や高さの数である4を使った計算の答えなどを体積としていると考えられる。体積は単位体積の立方体の幾つ分で表すことができることの理解に課題がある」。クロス集計「1(1)、1(3)ともに正答の児童の割合は、35.7%である。これは、1(3)で正答の児童の88.4%に当たる。」「1(1)で正答、1(3)で誤答又は無解答の児童の割合は、37.3%である。これは、1(1)で正答の児童の51.2%に当たる。この結果から、立方体の体積の計算による求め方について理解している児童の約半数は、体積の意味については理解できていないと考えられる。」指導例「長さは1cmの何個分か、面積は1cm²の何個分かで表しましたね。」「1cm3の立方体を使って36cm3になる立体を作る活動が考えられる。その際、1cm3の立方体を36個使えばよいことや、立体の形が違っても体積は同じであることを理解できるようにすることが大切である。」設問(4)(本文36〜39ページ、PDF 14〜17ページ目)趣旨「日常生活の問題を解決するために、図形を構成する要素に着目して直方体の三つの辺の長さを捉え、示された条件を基に、調べたい数量の求め方を数や言葉を用いて記述できるかどうかをみる。」正答率45.5%(お菓子の箱4個をまとめた荷物の3辺の長さの合計から宅配便の送料を求める)。解答類型6の具体例「【求め方】42×4=168【送料】1510円」「直方体イの三つの辺の長さの合計を、誤って図2の直方体の三つの辺の長さの合計の4倍と捉えていると考えられる。」学習指導に当たって「まとめた直方体が図1の直方体でどのように構成されているかについて考え、まとめた直方体の縦の長さ、横の長さ、高さを捉えることができるようにすることが大切である。また、同じ直方体4個をまとめた直方体でも、まとめ方により三つの辺の長さやその合計が変わり、送料が変わる場合があることに気付くことができるようにすることも大切である。」「解答類型3について、このように解答した児童は、直方体イが図2の直方体4個で構成されていることを捉えることができず、直方体イの三つの辺のそれぞれの長さを、25cm、10cm、7cmと誤って捉えていると考えられる。」コラム①既習事項(本文42ページ)「立体図形については、ノートや黒板などに示された見取図からその性質を捉えていくことが難しい。そのため具体的な操作が必要になる。」表の「4・その他・無解答」は類型4(1.4%)・99(4.8%)・無解答(4.2%)の合計。本文「3行まとめ」2項目、「全国調査で見えた、式と意味のずれ」の節と表、「箱の面と辺でもつまずく」の節、「体積は何年生で習うのですか」第1段落(2年・4年・5年の内容)と第2段落(長さ・面積との対比、1段分×段の数)、図1・図2、工夫1〜3、チェックリスト、FAQ全問の根拠。
  • 国立教育政策研究所「令和8年度全国学力・学習状況調査報告書【小学校/算数】」調査の概要
    https://www.nier.go.jp/26chousakekkahoukoku/report/data/26pmath_01.pdf(確認日 2026-10-21)。
    この出典で確認した記述
    調査の対象とする児童生徒【小学校調査】「小学校第6学年、義務教育学校前期課程第6学年、特別支援学校小学部第6学年」(本文2ページ、PDF 5ページ目)。調査日時「教科に関する調査(中学校英語以外) 令和8年4月 23 日(木)」(本文3ページ、PDF 6ページ目)。本文「全国調査で見えた、式と意味のずれ」第1段落の「令和8年4月に小学6年生を対象に」の根拠。
  • 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」(平成29年7月)
    https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387017_004.pdf(確認日 2026-10-21)。
    この出典で確認した記述
    第2章第2節の各学年の内容一覧(本文14ページ、PDF 20ページ目)に、第4学年B図形「2 立方体,直方体などの立体図形 立方体,直方体/直線や平面の平行や垂直の関係/見取図,展開図」、第5学年B図形「4 立体図形の体積 体積の単位(㎤,㎥)と測定 立方体及び直方体の体積の計算による求め方」。第5学年 B(4) 立体図形の体積(本文260ページ、PDF 266ページ目)「第5学年では,立体の体積も面積などと同じように単位の大きさを決めるとその幾つ分として数値化して捉えることができるなど,立体の体積についてその単位や測定の意味を理解し,体積を求めることができるようにする。」「なお,一辺が 10㎝の立方体の体積が1Lに当たることにも触れるようにする。」「立方体や直方体は,一辺が1㎝や1mなどの単位体積の立方体を積み重ねてつくることができる。」「単位体積の立方体をきちんと敷き詰めた1段分の個数を (縦) × (横) ,その段の個数を (高さ) でそれぞれ表すことができることについての理解を確実にする必要がある。」本文「体積は何年生で習うのですか」の節の根拠。
  • 文部科学省「学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について」(中央教育審議会答申 参考資料)
    https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1396626.htm(確認日 2026-10-21)。
    この出典で確認した記述
    平成11年7月の「学習障害児に対する指導について(報告)」より抜粋とされる定義「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。」。本文「気をつけたいこと」第2段落の根拠。

この記事について

本記事は家庭での工夫を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。研究知見や公的資料は「一つの考え方」として紹介しており、家庭ごとに合う・合わないがあります。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

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