3行まとめ
- 不登校の子が学校外の施設で相談・指導を受けた日や、自宅でICT等を使って学んだ日は、要件を満たせば出席扱いにできる。判断するのは在籍校の校長。
- 2024年8月の法令改正で、欠席中に学んだ成果を成績に反映できることがはっきりした。2024年度は全国で81,467人が反映されている。
- 出席扱いを目的にせず、子どもに合う学びの場を選んだうえで、学校と連絡を取り合える形をつくる。
この記事でわかること
- 学校の外で学んでいる不登校の子がどのくらいいるか
- 学校外の施設と自宅のICT学習、それぞれの出席扱いの要件
- 欠席中の学習が成績に反映される条件
- 学校に相談するときの話の切り出し方
「出席にならないなら意味がない」と思った夜
中学1年の息子が学校に行かなくなって2か月。家ではゲームと動画の時間が増え、母親は市の教育支援センターや近くのフリースクールを調べ始めた。見学に誘うと、息子は少し考えてから「そこに行っても、学校は欠席なんでしょ」と言った。母親も同じことが気になっていて、すぐには答えられなかった。
学校外の場所で学んでも欠席が積み上がるだけなら、通わせる意味があるのか。そう感じる保護者は少なくないと思います。実は、学校外の施設や自宅での学びを出席扱いにしたり、成績に反映したりする仕組みは国の通知と法令で定められています。ただし自動的にそうなるわけではなく、在籍校との連携が前提です。
学校の外で学ぶ子は少なくない
文部科学省の令和6年度調査によると、小・中学校の不登校児童生徒は353,970人で過去最多でした。このうち学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けた子は218,246人(61.7%)です。受けていない135,724人のうち89.0%は、担任等から週1回程度以上の継続的な相談・指導を受けていました。
同じ調査で、学校外の機関等で相談・指導を受けて指導要録上出席扱いとされた子は42,978人、自宅でのICT等を活用した学習活動が出席扱いとされた子は13,261人でした。両者には重複もあります。数字からは、学校の外での学びを出席として扱う運用が、すでに各地の学校で行われていることがわかります。
出席扱いは誰が、どう決めるのですか
決めるのは在籍校の校長で、国が一律に認めるものではありません。2026年4月に文部科学省が出した保護者等向けの資料も、判断は学校が行うので、在籍する学校や教育委員会に問い合わせるよう案内しています。
学校外の施設の場合、令和元年の通知は、保護者と学校の連携・協力関係が保たれていること、施設は教育支援センター等の公的機関が基本であること、通所または入所して相談・指導を受けることなどを要件としています。公的機関での指導の機会が得られない、または通うことが難しいときは、本人や保護者の希望もあり適切と判断されれば、フリースクールなどの民間施設も考慮されてよいとされています。民間施設が適切かどうかは、校長が教育委員会と連携して判断します。
自宅でICT等を使って学ぶ場合は、訪問などによる対面指導が定期的・継続的に行われること、理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること、校長が学習の状況を十分に把握することが求められます。また、学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けられない場合の学習活動であることが基本とされています。
| 学ぶ場所 | 主な要件 |
|---|---|
| 学校外の施設 | 保護者と学校の連携/公的機関が基本、民間施設も考慮されうる/通所・入所が前提 |
| 自宅のICT等 | 保護者と学校の連携/定期的な対面指導/計画的な学習プログラム/校長が状況を把握 |
欠席中の学びは成績にも反映できる
2024年8月には学校教育法施行規則が改正され、一定の要件のもとで、不登校の子が欠席中に行った学習の成果を学校の判断で成績に反映できることが法令上はっきりしました。要件は、学習の計画・内容が在籍校の教育課程に照らして適切であること、学校が保護者や施設の職員を通じて学習の状況を定期的・継続的に把握すること、学校が訪問やオンラインで本人と直接の関わりを続けることの3つです。対象は小・中学校段階で、高校は通信教育などの別の仕組みがあります。
すべての教科で評定がつくとは限りません。通知は、下の学年の内容を学んでいる教科などでは観点別の評価や評定を書かなくてもよく、その場合も所見欄に学習の様子を文章で残すよう求めています。2024年度にこの仕組みで学習の成果が指導要録に反映された子は81,467人でした。
出席扱いを目的にしない
令和元年の通知は、不登校の支援は「学校に登校する」という結果だけを目標にするのではなく、子どもが自分の進路を主体的に考え、社会的に自立することを目指すものだとしています。不登校の時期が休養や自分を見つめ直す意味を持つことがある一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益といったリスクにも触れています。
2024年の通知は、学校外での学習を評価する際、必要な程度を超えて不登校の期間が長引くことを助長しないよう留意するとも書いています。教室に入れなくても校内教育支援センターなどで先生から指導を受けている場合は、登校しているものとして成績評価ができるともしています。出席扱いは、子どもに合う学びの場を選んだ結果としてついてくるものと考えると、選び方を誤りにくくなります。
次の3つは、家庭で取り入れやすい工夫です。
家庭で試す3つの工夫
- 施設を決める前に学校へ伝える:「学校の外で学ぶことを考えています」と先に担任に伝え、出席扱いや成績の扱いを相談したいと話しておきます。
- 選ぶ基準は子どもの気持ちから:見学のあと「どこなら行ってみたい?」と聞き、出席扱いになるかどうかは学校と大人が確かめる、と役割を分けます。
- 学びの記録を残す:通った日や取り組んだ内容をメモや写真で残しておくと、学校が学習の状況を把握するときの材料になります。
声かけの言い換え例
- 「出席にならないなら行く意味ないよね」→学ぶこと自体の価値が伝わらない。
- 「どこで学ぶかは一緒に考えよう。出席のことは学校に聞いてみるね」→安心して選べる。
- 「出席扱いになるんだから毎日行きなさい」→新しい場所も義務になる。
- 「行けた日があったら、それで十分だよ」→自分のペースを保てる。
家庭で確認するチェックリスト
- 出席扱いを判断するのは在籍校の校長だと知っている。
- 学校外で学ぶことを、担任や学校に伝えた。
- 地域の教育支援センターの場所と利用方法を調べた。
- 学校と施設が学習の様子を伝え合う方法を確かめた。
- 子ども自身が、どこで学びたいかを話す機会をつくった。
家庭の工夫だけで抱え込まないために
この記事は国の通知と保護者向け資料の内容を整理したもので、個々のお子さんが出席扱いや成績評価の対象になるかを判断するものではありません。運用の目安は自治体ごとに定められていることがあり、同じ施設でも学校によって扱いが異なる場合があります。最終的な判断は在籍校が行うので、必ず学校や教育委員会に確かめてください。
保護者の教育方針などによって正当な理由なく登校していない場合は、2024年の法令改正による成績評価の対象にならないとされています。高校の出欠の扱いは、義務教育段階とは別の通知によります。
相談先としては、担任や学年の先生のほか、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、教育委員会が置く教育支援センターがあります。文部科学省は、各教育委員会が作成した地域の相談窓口の情報をホームページにまとめています。眠れない、食事がとれないといった体や心の不調が続くときは、学校と並行して医療機関への相談も考えてください。
よくある質問
- フリースクールに通うと出席になりますか。
- 要件を満たし、在籍校の校長が適切と判断すれば出席扱いにできます。施設は教育支援センターなどの公的機関が基本で、公的機関に通うことが難しい場合などに民間施設も考慮されてよいとされています。まず在籍校に相談してください。
- 家でオンライン学習をした日も出席扱いになりますか。
- なる場合があります。保護者と学校の連携、訪問などによる定期的な対面指導、理解に合った計画的な学習、校長による状況の把握が要件です。学校外の施設で相談・指導を受けられない場合の学習活動であることが基本とされています。
- 不登校でも成績はつきますか。
- 2024年8月の法令改正で、欠席中の学習の成果を学校の判断で成績に反映できることが明確になりました。教育課程に照らした適切さ、学校による学習状況の把握、本人との継続的な関わりが要件で、すべての教科に評定がつくとは限りません。
出典・参考
- 文部科学省「【保護者等向け】不登校児童生徒の出席扱い・成績評価について」(2026年4月)
この出典で確認した記述
全1ページ(全文を取得して確認)。冒頭に「不登校児童生徒が学校外の施設で相談・指導を受けている場合や自宅でICT等を活用した学習活動を行っている場合、一定の要件を満たせば、学校は出席扱いや成績評価を行うことができます。その判断は学校が行うこととしていますので、在籍する学校やその設置者である教育委員会等にお問い合わせください」。「学校外の施設で相談・指導を受けている場合」として「保護者と学校との間に十分な連携・協力体制が保たれていること」「学校外の施設は、教育委員会等が設置する教育支援センター等の公的機関とするが、公的機関での指導の機会が得られないあるいは公的機関に通うことが困難な場合で、本人や保護者の希望もあり適切と判断される場合は、民間の相談・指導施設も考慮されてよいこと」「当該施設に通所又は入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること」。「自宅においてICT等を活用した学習活動を行っている場合」として「訪問等による対面指導が定期的かつ継続的に行われることを前提とすること」「学習活動は、当該児童生徒の学習の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること」「校長は、当該児童生徒に対する対面指導や学習活動の状況等について、十分に把握すること」「ICT等を活用した学習活動を出席扱いとするのは,基本的に当該児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動であること」。成績評価の主な要件(義務教育段階)3点。「各教育委員会において作成された地域の相談支援機関等に関する情報を文部科学省のホームページ上にまとめています」(不登校に関する地元の相談窓口 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112214.html)。高等学校の出欠の取扱いは別ページ(1309943.htm)を参照とある。本文の「誰が、どう決める」節、表、図1、気をつけたいこと、よくある質問1・2つ目はこれによる。 - 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日 元文科初第698号)
この出典で確認した記述
通知本文の全文を取得して確認。記1(1)「不登校児童生徒への支援は,『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること」。記2(4)「義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において,指導・助言等を受けている場合の指導要録上の出席扱いについては,別記1によるものとし,高等学校における…(平成21年3月12日付け…通知)によるものとすること。また,義務教育段階の不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出席扱いについては,別記2によるものとすること」。別記1(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00004.htm)も全文確認:「一定の要件を満たす場合に,これらの施設において相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができる」、要件(1)保護者と学校の連携・協力関係(2)公的機関が基本、民間施設も考慮されてよい、民間施設の適切さは「校長が,設置者である教育委員会と十分な連携をとって判断する」(3)通所又は入所が前提、「校長は指導要録上出席扱いとすることができる」。本文の「誰が、どう決める」節2段落目、「出席扱いを目的にしない」節1段落目、気をつけたいこと(高校は別の通知)はこれによる。 - 文部科学省「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」(令和6年8月29日 6文科初第1126号)
この出典で確認した記述
通知本文の全文を取得して確認。記1(1)「学校の判断で不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を考慮することができることとすること」「本改正は令和元年通知の内容を法令上明確化するものであること」。(2)対象は小学校・中学校・義務教育学校・中等教育学校前期課程・特別支援学校小学部・中学部。「保護者の教育に関する考え方に基づき、正当な事由無く登校していない児童生徒については、本省令に基づく成績評価の対象とはならないこと」。高等学校は通信教育等の別途の措置がある。記2 第1号「学習の計画・内容が…在籍する学校の教育課程に照らし適切と認められるか確認」、第2号「学校が保護者等を通じて当該児童生徒の学習活動の状況等について、定期的・継続的に把握する」、第3号「学校は訪問による対面指導やICTを活用したオンラインでの相談・指導等を通じて…定期的・継続的に把握する」。記3-2「必要な程度を超えて不登校の期間が長期にわたることを助長しないように留意すること」。記3-3「必ずしもすべての教科・観点について観点別学習状況及び評定を記載することが求められるものではない」「指導要録の所見欄にその学習状況を文章記述する」。記3-9「校内教育支援センター等で教師等から相談・指導を受けている児童生徒については…学校に登校しているものとして成績評価を行うことが可能」。本文の「成績にも反映できる」節、「出席扱いを目的にしない」節2段落目、気をつけたいこと2段落目、よくある質問3つ目はこれによる。 - 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(不登校抜粋版)」
この出典で確認した記述
全16ページ(資料2。全文を取得して確認)。PDF2ページ(印刷1)「小・中学校における不登校児童生徒数は353,970人(前年度346,482人)と過去最多となり、12年連続で増加」。PDF9ページ(印刷8)「学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けた不登校児童生徒数は218,246人(前年度212,114人)で、不登校児童生徒に占める割合は61.7%」。PDF10ページ(印刷9)「学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けていない不登校児童生徒数は135,724人であり、不登校児童生徒全体の38.3%」「うち、120,759人(89.0%)は担任等から週1回程度以上の継続的な相談・指導等を受けていた」。PDF11ページ(印刷10)「学校外の機関等で専門的な相談・指導等を受け、指導要録上出席扱いとした児童生徒数は、42,978人」「自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数は13,261人」「自宅や学校外の機関等において欠席期間中に行った学習の成果を指導要録に反映した児童生徒数は81,467人」、注記「…重複もあり得る」。調査結果の通知(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm)にも、反映人数(約8万1千人)の把握は今回の調査から始めたとある。本文の「学校の外で学ぶ子」節、3行まとめ2つ目、「成績にも反映できる」節2段落目はこれによる。
この記事について
本記事は家庭での関わりを整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や治療の判断に代わるものではありません。研究知見や公的資料は「一つの考え方」として紹介しており、家庭ごとに合う・合わないがあります。お子さんの状態が気になる場合は、専門機関や学校にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。