3行まとめ

  • ファミリー・サポート・センター事業は、預かりの援助を受けたい人と行いたい人をつなぐ市町村の事業。令和6年度は1,009市町村で実施され、依頼会員は約60万人。放課後児童クラブ終了後の預かりや送迎なども想定されている。
  • 数日単位で家庭での養育が難しくなったときには、子育て短期支援事業がある。育児疲れ、出張、冠婚葬祭も対象として明記されている。
  • どの窓口か分からないときの入口として、こども家庭センターの設置が進んでいる(令和6年10月1日時点で1,741市区町村中917、52.7%)。

この記事でわかること

  • 小学生の家庭が使える、地域の預かり支援の全体像
  • ファミリー・サポート・センターで実際に何を頼めるのか
  • 登録から利用までの流れと、先に確認しておきたいこと

「その日だけ」が、毎回いちばん難しい

共働き家庭で本当に困るのは、毎日の運用ではありません。毎日のことは、多少無理があっても仕組みになります。困るのは、その仕組みが一日だけ崩れる日です。研修が夜まである。出張が入る。親のほうが熱を出す。年に数回しか起こらないので新しい仕組みを作る気になれず、それでいて起きたときには本気で困ります。

公的な支援を探そうとしても、自治体のサイトは乳幼児の保育や医療費助成が中心で、「学童が終わったあとの一時間」をどうするかは書かれていない。けれどその一時間は、国の実施要綱に例示として書かれている場面です。使えないのではなく、探し方の問題であることが多いのです。

公的情報の見方 ― 制度が想定している「頼り方」

中心になるのは、こども家庭庁が所管する子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)です。実施要綱は目的を「乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員として、児童の預かりの援助を受けたい者と当該援助を行いたい者との相互援助活動に関する連絡、調整等を行う」ことと定めています。対象に「小学生等」がはっきり含まれている点が要点です。

実施市町村は令和6年度で1,009市町村(令和5年度は996市町村)。会員数は依頼会員が約60万人、提供会員が約14万人、両方会員が約4万人です。実施主体は市町村(特別区を含む)で、国・都道府県・市町村がそれぞれ3分の1を負担します。

相互援助活動として要綱が例示しているのは六つ。保育施設の保育開始前・終了後のこどもの預かり、保育施設等までの送迎、放課後児童クラブ終了後のこどもの預かり、学校の放課後のこどもの預かり、冠婚葬祭や他のこどもの学校行事の際の預かり、買い物等外出の際の預かりです。

安全面も具体的です。活動中の事故に備えた補償保険への加入、提供会員全員へのAEDの使用方法や心肺蘇生等の実習を含む緊急救命講習と事故防止講習(参考カリキュラムは9項目・合計24時間)、少なくとも5年に1回のフォローアップ。一度に預かることができるのは、提供会員1人につき原則として1人です。報酬は原則として会員間で決めますが、適正と認められる額を目安として会則等に定めることができるとされ、多くの自治体が1時間あたりの目安額を公表しています。

もう一つ、病児・緊急対応強化事業という枠組みがあります。病児・病後児の預かり、宿泊を伴う預かり、早朝・夜間等の緊急時の預かりと送迎を行うもので、実施市町村には医療機関との連携体制の整備や協力医療機関の選定が求められます。すべての市町村が実施しているわけではありません。

三つの入口を知っておく

ファミリー・サポート・センターは「数時間」の単位で使う仕組みです。親が入院する、遠方の葬儀に行く、心身の疲れが限界に来ている——こうしたときには、別の制度があります。

地域の預かり支援の三つの入口を示した図。一つ目はファミリー・サポート・センターで、数時間単位の送迎や放課後の預かりを会員同士の相互援助として行う。二つ目は子育て短期支援事業で、ショートステイとトワイライトステイにより数日単位や夜間の養育を児童養護施設等が担う。三つ目はこども家庭センターで、どこに相談すればよいか分からないときの入口として市区町村に設置が進んでいる。
図1:使う場面で入口が変わる。時間単位はファミサポ、日単位は子育て短期支援事業、分からないときはこども家庭センター(こども家庭庁の各資料をもとに作成)。

子育て短期支援事業は、保護者の疾病その他の理由により家庭でこどもを養育することが一時的に困難となった場合等に、児童養護施設等で一定期間の養育・保護を行う事業です。短期入所生活援助(ショートステイ)事業の対象事由には、保護者の疾病、育児疲れ等の身体上または精神上の事由、出産・看護・事故など家庭養育上の事由、冠婚葬祭・出張など社会的な事由が挙げられています。夜間養護等(トワイライトステイ)事業は、保護者が平日の夜間または休日に不在となる場合に、こどもを施設で保護するものです。

注目したいのは、対象事由に「育児疲れ」や「出張」が明記されていることです。児童福祉法の改正に伴い、親子でレスパイト・ケアに利用する場合なども対象として整理され、令和6年度から支援が拡充されています。実施主体は市区町村で、事前の申請が必要になるのが一般的です。

三つ目の入口がこども家庭センターです。設置が進んでおり、令和6年10月1日時点で全国1,741市区町村のうち917市区町村(52.7%)が設置済みでした。地元に無い場合は、市区町村の子育て支援課などが同じ役割を担います。

登録から利用までの流れ

いちばんもったいないのは、必要になった当日に調べ始めることです。ファミリー・サポート・センターは会員制で、登録、提供会員とのマッチング、事前の顔合わせという手順を踏みます。困った日の朝に電話をして夕方に預かってもらう使い方は、基本的にできません。

ファミリー・サポート・センターの登録から利用までの流れを四段階で示した図。第一段階は市区町村のサイトや窓口で実施の有無と対象年齢と料金の目安を確認する。第二段階は説明会に参加して依頼会員として登録する。第三段階はアドバイザーの調整で提供会員と事前の顔合わせを行い場所と持ち物と連絡方法を決める。第四段階は必要な日に依頼して活動を行い終了後に報酬を支払う。
図2:登録から利用までの一般的な流れ。困る前に第2段階まで済ませておくと、当日の選択肢が増える。

第1段階・調べる。市区町村のサイトで検索するか、子育て支援の担当課に電話します。確認したいのは、地元で実施されているか、小学生が対象か、報酬の目安はいくらか、病児や早朝・夜間の預かりに対応しているかの四点。なお実施要綱は、病児・緊急対応強化事業について、事業実施市町村以外の住民も登録・利用できるよう努めるとしています。

第2段階・登録する。多くの自治体では説明会への参加と登録申込がセットです。ここまでを困っていない時期に済ませておくのが要点で、登録自体に費用はかからないのが一般的です。

第3段階・顔合わせて、依頼する。活動の前に依頼会員・提供会員・こどもで打ち合わせをし、預かる場所、時間、持ち物、食事やおやつの扱い、アレルギーや持病、緊急時の連絡方法を決めます。報酬は活動終了後に会員間で直接支払うのが一般的です。

家庭で試す3つの工夫

  1. 「困る前に登録だけしておく」を今月のタスクにする:説明会と登録という手順があるため、必要になってからでは間に合いません。登録さえ済ませておけば選択肢が一つ増え、使わなくても不利益はありません。地元に病児・緊急対応強化事業があるかも、同じ電話で聞いておけます。
  2. 「起こりそうな日」を先にカレンダーで洗い出す:学童の閉所日、始業式・終業式の午後、長期休みの初日、面談で早く帰る日、年度末の繁忙期。一年分を見て印をつけ、「有給で埋める日」「ファミサポに頼む日」「留守番をお願いする日」に仕分けておくと、当日の判断が要らなくなります(留守番を始める前に親子で確認すること)。
  3. 「頼む練習」を、困っていない日にしてみる:初めて預ける日が、いちばん切羽詰まった日になってしまうと余裕がありません。用事のない土曜の午前中に2時間だけ頼んでみる。子どもは相手と場所に慣れ、親は当日の流れをつかめます。

声かけの言い換え例

  • 「ごめんね、ママが仕事だから預かってもらうの」→謝罪から入ると、子どもは「自分は迷惑をかけている」と受け取りやすい。
  • 「水曜は◯◯さんのお家で5時まで待っててね。6時にお迎えに行くよ」→場所・終わりの時間・迎えに来る人を具体的に。
  • 「知らない人だけど、いい子にしててね」→「知らない人」のままにしない。安全の約束とも矛盾する。
  • 「その前に一度、一緒に会いに行こう」→事前の顔合わせは制度に組み込まれた手順。

今月のうちに確認したいこと

  • 市区町村でファミリー・サポート・センター事業が実施されているか、対象年齢に小学生が含まれるかを確認した。
  • 報酬の目安額と、病児・早朝・夜間の預かりに対応しているかを確認した。
  • 説明会の日程を調べ、依頼会員としての登録を予定に入れた。
  • 子育て短期支援事業の有無と申請方法を確認した。
  • 地元のこども家庭センター(または子育て支援担当課)の連絡先を控えた。

家庭の工夫だけで抱え込まないために

実際の運用は自治体ごとに大きく異なります。実施の有無、対象年齢、報酬の目安、受付時間、病児対応の可否、申請の方法は、地元の案内で確認してください。要綱に例示があっても、地域の提供会員の状況によっては希望どおりの調整がつかないこともあります。

実施要綱は補償保険への加入、緊急救命講習と事故防止講習、預かり場所の安全点検、原則として提供会員1人につきこども1人という考え方を定めています。それでも、事前の打ち合わせでアレルギーや持病、けがをしたときの連絡順を共有しておくことは家庭側の役割です。病児・病後児の預かりについては、預かる前または預かった後直ちにかかりつけ医に受診させ、保護者と協議のうえ可否を判断することとされています。

「使ってよい状態かどうか」を自分で判定しないこと。判断は市区町村の窓口が行います。勤務先で使える仕組みは子どもの用事で仕事を休むとき、夜間・休日の連絡先は夜間・休日に子どもの具合が悪くなったらで整理しています。

出典・参考

  • こども家庭庁「子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)実施要綱」(こ成環第120号・令和6年3月30日/令和6年4月1日適用)
    https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e18b0699-53bd-4d02-bd42-f7ebb30c362b/2aae4f46/20260612_policies_kosodateshien_family-support_13.pdf(掲載元ページ:https://www.cfa.go.jp/policies/kosodateshien/family-support)(確認日 2026-08-21)。
    この出典で確認した記述
    事業の目的(「乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員として、児童の預かりの援助を受けたい者と当該援助を行いたい者との相互援助活動に関する連絡、調整等を行うことにより、地域における育児の相互援助活動を推進するとともに、病児・病後児の預かり、早朝・夜間等の緊急時の預かりや、ひとり親家庭等の支援など多様なニーズへの対応を図る」)、実施主体が市町村(特別区及び一部事務組合を含む)であること、会員数20人以上という実施要件、相互援助活動の内容として「保育施設の保育開始前や保育終了後のこどもの預かり」「保育施設等までの送迎」「放課後児童クラブ終了後のこどもの預かり」「学校の放課後のこどもの預かり」「冠婚葬祭や他のこどもの学校行事の際のこどもの預かり」「買い物等外出の際のこどもの預かり」が例示されていること、依頼会員・提供会員の定義と請負または準委任契約に基づくこと、補償保険への加入、こどもを預かる場所が会員の自宅・児童館や地域子育て支援拠点等でこどもの安全が確保できる場所とされ会員間の合意により決定すること、一度に預かることができるこどもの人数が提供会員1人につき原則として1人であること、報酬が原則として会員間で決定され会則等で目安を定めることができること、提供会員全員へのAEDの使用方法や心肺蘇生等の実習を含んだ緊急救命講習および事故防止に関する講習の実施と少なくとも5年に1回のフォローアップ講習、参考講習カリキュラムが9項目・合計24時間であること、病児・緊急対応強化事業の内容(病児及び病後児の預かり/宿泊を伴うこどもの預かり/早朝・夜間等の緊急時のこどもの預かり/それに伴う自宅・保育施設・病児病後児保育施設等の間の送迎)と医療機関との連携体制の整備・医療アドバイザーの選定・協力医療機関の選定、1日8時間を超えて依頼の受付を行う体制、病児・病後児の預かりは預かる前または預かった後直ちにかかりつけ医に受診させ保護者と協議のうえ可否を判断すること、および近隣市町村住民の利用について居住・在勤等の条件を付さずに会員登録・利用できるよう会則等に定め周知するよう努めることの根拠。
  • こども家庭庁「子育て援助活動支援事業(ファミリー・サポート・センター事業)」事業概要資料
    https://www.cfa.go.jp/policies/kosodateshien/family-support(確認日 2026-08-21)。
    この出典で確認した記述
    実施市町村数が令和6年度で1,009市町村・令和5年度で996市町村であること、依頼会員(預ける側)60万人・提供会員(預かる側)14万人・両方会員4万人という会員数、補助率が国3分の1・都道府県3分の1・市町村3分の1であること、主な実施要件(会員数20人以上、相互援助活動中のこどもの事故に備えた補償保険への加入、こどもの預かり場所の定期的な安全点検の実施、事故発生時の円滑な解決に向けた会員間の連絡等の実施、提供会員に対する緊急救命講習および事故防止に関する講習と少なくとも5年に1回のフォローアップ講習)、および相互援助活動の例として「保育施設や放課後児童クラブ等までの送迎」「保育施設の開始前、終了後又は学校の放課後、冠婚葬祭、買い物等の外出の際のこどもの預かり」が挙げられていることの根拠。
  • こども家庭庁「子育て短期支援事業について」および同事業の施策概要資料
    https://www.cfa.go.jp/policies/kosodateshien/jido-short(確認日 2026-08-21)。
    この出典で確認した記述
    事業の目的(「保護者の疾病その他の理由により家庭においてこどもを養育することが一時的に困難となった場合等に、児童養護施設等において一定期間、養育・保護を行うことにより、これらのこども及びその家庭の福祉の向上を図る」)、短期入所生活援助(ショートステイ)事業の内容と対象事由(こどもの保護者の疾病・育児疲れ等の身体上又は精神上の事由/出産、看護、事故など家庭養育上の事由/冠婚葬祭、出張や公的行事への参加など社会的な事由/養育環境等に課題があり児童自身が一時的に保護者と離れることを希望する場合/保護者が児童と一緒にレスパイト・ケアや児童との関わり方・養育方法等について親子での利用が必要である場合/経済的問題等により緊急一時的に親子の保護が必要な場合)、夜間養護等(トワイライトステイ)事業の内容(保護者が仕事その他の理由により平日の夜間又は休日に不在となることで家庭においてこどもを養育することが困難となった場合等に、こども及び保護者を児童養護施設等において保護し、生活指導、食事の提供等を行う)、実施主体が市区町村(市区町村が認めたものに委託可)であること、および児童福祉法の改正に伴い親子入所等支援・入所希望児童支援・専用人員配置支援を令和6年度より拡充したことの根拠。
  • こども家庭庁「市区町村(こども家庭センター等)状況調査の結果について(令和6年10月1日時点)」(令和7年4月21日)
    https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/789978d2-3893-4f2c-8c7f-4f672458f015/e9e234ad/20250422_policies_jidougyakutai_shikuchoson-jokyochosa_02.pdf(掲載元ページ:https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/setchijokyochosa)(確認日 2026-08-21)。
    この出典で確認した記述
    全国の市区町村数1,741に対し、こども家庭センターを1箇所以上設置した市区町村が917(52.7%)、未設置が824(47.3%)であること、1箇所設置の市区町村が892・複数箇所設置の市区町村が25であること、および人口規模別・分類別の設置状況(指定都市75.0%、中核市・特別区78.8%、市72.0%、町38.4%、村21.3%)の根拠。

この記事について

本記事は家庭での準備を整理した一般的な情報であり、医療・発達・心理の診断や、制度の可否を判断するものではありません。研究知見や公的資料は「一つの考え方」として紹介しており、家庭や地域ごとに合う・合わないがあります。気になる場合は、専門機関・学校・自治体にご相談ください。制度・統計の内容は各資料の公表時点のものであり、更新されることがあります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

筆者コメント