「最近、なんだか話が合わない…」思春期の子どもとの会話のきっかけ、見つけませんか?
「最近、子どもとの会話が減ったな…」「学校での話もあまりしてくれないし、何を考えているのか分からない…」思春期のお子さんを持つ親御さんなら、誰もが一度は感じる寂しさや戸惑いではないでしょうか。そんな時、映画や物語の世界は、親子の間に新しい共通の話題を生み出す最高のきっかけになります。今回は、子育て情報サイト『parents.jp』編集部が、小学生高学年から高校生のお子さんと親が一緒になって本気で楽しめる、少し大人向けのエンタメ作品を3つ、ジャンルが偏らないように厳選しました。ただ面白いだけじゃない、見終わった後にきっと何かを語り合いたくなる。そんな作品ばかりです。
そして、バトンは渡された
| ジャンル | 家族小説 / 青春ドラマ |
|---|---|
| ターゲット年齢 | 中学生~高校生 |
親子で語り合いたいポイント
本屋大賞を受賞し映画化もされた本作は、「家族とは何か?」という普遍的な問いを、これまでにない瑞々しい形で投げかけてきます。主人公の優子は、血の繋がらない親たちの間をリレーされ、4回も名字が変わるという複雑な環境で育ちます。しかし、物語は決して暗くならず、彼女を取り巻く大人たちの深い愛情と、彼女自身の持つ天性の明るさが、温かい感動を呼び起こします。この作品の最大の魅力は、「血の繋がりだけが家族の証ではない」というメッセージです。親の視点から見れば、実の親であることの重圧や、子を想う気持ちのエゴについて考えさせられるかもしれません。一方、子どもの視点では、多様な愛情の形に触れ、自分にとっての「幸せ」や「家族」の定義を考えるきっかけになるでしょう。「もし自分が優子の立場だったら?」「物語に出てきた親たちの中で、誰の考え方に一番共感する?」など、少し踏み込んだ問いを投げかけてみることで、お互いの価値観を深く知る絶好の機会になります。普通の家族ドラマとは一線を画す、新しい時代の家族の物語をぜひ体感してみてください。
精霊の守り人
| ジャンル | ハイ・ファンタジー / 冒険活劇 |
|---|---|
| ターゲット年齢 | 小学生高学年~高校生 |
親子で語り合いたいポイント
「ファンタジーは子ども向け」なんて思っていたら、その奥深さに驚かされること間違いなしの一作です。女用心棒バルサと、精霊の卵を宿したために命を狙われる皇子チャグム。本来なら交わるはずのなかった二人の逃避行と成長を描いた壮大な物語は、児童文学の枠を超えて多くの大人を魅了し続けています。この作品を通して親子で語りたいのは、「守ること、守られること」の関係性です。当初は一方的にチャグムを守る立場だったバルサですが、旅を続ける中で二人の間には擬似親子のような、師弟のような、そして対等なパートナーとして認め合うような、複雑で深い絆が生まれていきます。守られるだけだったチャグムが、自らの運命と向き合い、他者を守る側に立とうと成長していく姿は、まさに思春期の子どもたちが自立へと向かう姿と重なります。「本当の強さとは何か」「自分の信念を貫くとはどういうことか」といった、生きる上で大切なテーマが、緻密に作り込まれた異世界の物語の中に散りばめられています。原作小説はもちろん、アニメや実写ドラマなど、メディアミックスも豊富なので、お子さんの好みに合わせて入口を選べるのも大きな魅力です。
重力ピエロ
| ジャンル | ミステリー / 家族ドラマ |
|---|---|
| ターゲット年齢 | 中学生~高校生 |
親子で語り合いたいポイント
人気作家・伊坂幸太郎の代表作の一つである本作は、巧妙なミステリーと、切なくも温かい家族の物語が完璧に融合した傑作です。遺伝子の研究をする兄・泉水と、自分がピカソの生まれ変わりだと信じる美しい弟・春。彼らが暮らす街で起こる連続放火事件の謎を追ううちに、家族が抱える過去の秘密が明らかになっていきます。この物語が親子で楽しむのに最適なのは、スリリングな謎解きを共有できる点です。散りばめられた伏線や、登場人物たちの何気ない会話に隠された意味について、「これはどういうことだろう?」「犯人は誰だと思う?」と推理を交わしながら読み進めれば、最高のエンタメ体験になるでしょう。そして物語の核心に触れた時、親子で語り合いたいのは「家族の絆」というテーマです。辛い過去を乗り越え、互いを深く思いやる兄弟の姿は、「本当の繋がりとは何か」を問いかけます。少し重いテーマを扱ってはいますが、伊坂作品特有の軽妙なユーモアと、希望に満ちたラストが、読後感を爽やかなものにしてくれます。「もし自分たちの家族に秘密があったらどうする?」そんなシリアスな対話も、この物語がクッションとなり、自然に話せるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回ご紹介した3つの作品は、それぞれ全く異なるジャンルでありながら、いずれも親子の心に深く響き、対話のきっかけを与えてくれる力を持っています。エンターテインメントは、ただ時間を消費するためのものではなく、家族の「共通言語」を増やし、コミュニケーションを豊かにしてくれる素晴らしいツールです。ぜひ、次のお休みにお子さんと一緒に作品を選んで、鑑賞後に感想を語り合う、そんな豊かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
※免責事項:本記事で紹介する作品の対象年齢(レーティング)や配信状況は、記事作成時点のものです。視聴・購入の際は、公式サイトや各プラットフォームで最新の情報をご確認ください。また、作品のテーマに触れる上で、軽微なネタバレを含む場合がありますのでご了承ください。

